泥臭い道が、唯一にして一番の近道だった
──「泥臭さ」なんて感じさせないほど、スマートな経営をしているように見えます。
決してそんなことはないんです。僕のキャリアは「大学時代にカナダへ留学し、メルカリに入社して…」といえば順風満帆のように思われがちなのですが、実際は劣等感と共に歩んできた道のりで、これまでの人生もずっと泥臭いものでした。
他人の何倍も努力をして、勉強量は学年で一番だったと自負していますが、それでも高校受験も大学受験も失敗。母子家庭の末っ子で、いつも独りでした。試行錯誤しながら何でも1人でやってきたのですが、それが正解かどうかもわからずに、ここまでたどり着きました。
なので、クライアントからフィードバックやお褒めの言葉をもらえると、「正解なのかな」と答え合わせをしていただいているようなうれしい気持ちになります。
一方、起業して気づいたのは、自分は「泥臭いやり方が得意」ということです。泥臭くやることがむしろ楽しい。会社ではスタッフに「泥臭くやろう」と言いながらも、僕にとってはこれまでとなに1つ変わらない、当たり前のやり方なのだと認識できました。

──ビジネスの鍵を握るエンジニアの確保は? どのように信頼を築いていますか?
メルカリに3年勤めたあと、1社を経て独立したのですが、そのときの同僚が1人目のスタッフです。ほかにも、カナダ留学中に知り合った友人や、シェアハウスで出会った友人、就活中に知り合った友人など、いろんなご縁をたぐり寄せながら仲間を集めたという感じですね。
ありがたいことに、最近は「弊社に興味がある」とご連絡をくださる方も。
僕なりの信頼の築き方ですが、まず第一に、繰り返しになってしまいますが「自分が誰よりも泥臭く仕事をすること」。それを見てもらうことで、自分や会社への信頼につながればいいと思っています。
もう1つは「任せ切ること」。優秀なメンバー各人の能力を存分に発揮してもらうために、縛りすぎない、指示しすぎない。信頼していることを感じてもらえたらと願っています。

──「AnyGift」のビジネスで目指すゴールは?
世界中で使えるギフトプラットフォームにすることです。
日本である程度、固まってから海外進出したほうがいいかもしれない、とも考えましたが「それだと腰が重くなってしまう」と思い直し、アメリカでテスト的なローンチも開始しました。
旅行や出張で訪ねた国で、そこで暮らす人が僕たちのサービスを使ったり話題にしたりしてくれていたら。そんな妄想をするだけでワクワクします。