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日常生活を送るなかで、漠然とした「生きづらさ」を感じている方も少なくないはず。でも、それはなぜなのでしょうか?

原因は「発達性トラウマ」である可能性が高いと指摘するのは、公認心理士である『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』(みき いちたろう 著、ディスカヴァー携書)の著者です。

「発達性トラウマ(Developmental Trauma)」とは、複雑性PTSDの原因となる子ども時代に負ったトラウマのことなのだそう。それは「複雑性PTSD」の原因でもあるようですが、こちらに関しては、眞子さまがご結婚に際して執拗な報道やバッシングにさらされたため複雑性PTSDと診断されたことが記憶に新しいところです。

子どものころに家庭や学校などで負った慢性的な(反復性)ストレスが複雑性PTSDの原因であることがとても多いのです(もちろん、眞子さまのように成人してからのストレスも同様に複雑性PTSDにつながるトラウマの原因となります)。

そのため、発達性トラウマは、私たちが抱える生きづらさの原因を明らかにするものとして近年注目されています。(「はじめに」より)

「トラウマ」と聞くと、なにか特別な体験をした人が被る症状だと思われるかもしれません。しかし、それは遠い世界のことではなく、日常の不調や悩み、生きづらさなど、多くの方が日常的に感じている症状としても現れているもの。つまり私たちにとって、とても身近な存在だということです。

たとえば、「緊張しやすい」「人の気持ちを考えすぎる」「人と打ち解けられない、うまくつきあえない」「経験が積み上がらない、ミスや不注意が多い」「人に対するイライラが止まらない」「なぜだかわからないけれど自信がない、将来が不安」「依存症」「パニックを起こしてしまう」などなど、症状は多種多様。いずれにしても、決して人ごとではないようです。

トラウマとは「ストレス障害」である

トラウマについての考え方には複雑な部分を多いのですが、正しく理解するために必要なのは、まず「トラウマとはストレス障害である」と捉えることだと著者は記しています。ストレス障害という捉え方はシンプルで理解しやすく、当事者や治療者にとってメリットが大きいというのです。そして、理由は3つあるようです。

1つ目は、トラウマの影響が心理のみならず、脳や自律神経、内臓など身体全体におよぶこと。ストレス障害と捉えることは、そういった実態とも適合することになるはず。

2つ目は、応用や展開のしやすさ。ストレス障害とすればメカニズムをイメージしやすく、当事者や治療者が見立てやケアの方向性を検討するにあたっても、心理から身体までさまざまに応用が利くのです。

3つ目は、ストレスということばの親和性と連続性。つまりそれはすでに、専門家ではない当事者にとっても馴染みのあることばだということ。しかも日常のストレスはもちろん、災害、戦争など非日常性のストレスまでさまざまな場面で用いられています。そのため、トラウマを“日常から連続した身近な現象”として捉える助けになるわけです。

またトラウマが「心の傷」と解釈された場合、治療者もメカニズムがイメージできず、“専門家でなければ扱えない特殊な事象”として敬遠されがちだったようです。

しかし「ストレス障害」であれば、一般の治療者でも手当をイメージでき、治療の機会が広がるというのです。単なる表現の違いだとはいえ、そこには大きな意味があるのでしょう。(131ページより)

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トラウマを克服する5つのステップ
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