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『プロフェッショナルを究める 志村けんの言葉』(桑原晃弥 著、リベラル社)は、2020年3月に新型コロナ感染症に伴う肺炎のため、惜しまれながら世を去った志村けんが残した数々の名言をコンパクトにまとめた一冊。
24歳でザ・ドリフターズの一員となって以来、70歳までお笑い一筋で生き抜いた彼について、編著者は次のように述べています。
SNSの台頭により、テレビを家族揃って見ることはまれになった時代、志村が思い描く理想の笑いを届けることは徐々に難しくなり始めていましたが、それでも多くの人にとって志村はたくさんの笑いを届けてくれる愛すべきコメディアンであり続けました。
(中略)
ほんの数日前までテレビでコントを演じていた人が突然亡くなるという衝撃は大きく、コロナの怖さと同時に、志村けんという不世出のコメディアンを失った喪失感はあまりに大きなものでしたが、志村がつくり上げたコントは今も残り、志村の演じたキャラクターたちは演じ手がいなくなっても愛され続けています。(「はじめに」より)
だからこそ志村けんという人物の残像は、いまだ多くの人々の心のなかに残り続けているのでしょうか。そして苦しいことが多く、生きづらい時代を生きていくにあたって、ストイックなまでに笑いを追求した彼の生き様は大きな力を与えてもくれるはずです。
志村の生き方を知ることは、自分の好きなことに生涯を賭けることの素晴らしさを知ることにつながります。志村の言葉を知ることは、今を生きる皆さまにとってもきっと生きる支えとなるのではないでしょうか。(「はじめに」より)
こうした考え方に基づく本書のなかから、きょうは第三章「人間関係の築き方」に焦点を当ててみたいと思います。
怒っても解決しないことには、怒らない
怒ってもお前が困るだけで、
何も解決しないだろ。
『我が師・志村けん』(84ページより)
志村けんは、付き人だった乾き亭げそ太郎のある大失態に対し、一切怒らなかったことがあるのだそうです。
げそ太郎が付き人になって4年くらい経った頃、志村が川上麻衣子や上島竜平と、スウェーデンへロケに行ったことがあります。その時、げそ太郎は志村の財布やパスポートの入ったバッグをタクシーに忘れてきてしまいます。
朝になって気づいたげそ太郎は、慌てて志村たちが朝食を食べているレストランに行って報告します。怒鳴られ、殴られることさえ覚悟していましたが、志村は「しょうがねえなあ」の一言だけでした。(85ページより)
幸いバッグは戻ってきたそうですが、後日、げそ太郎が「どうして怒らなかったんですか」と尋ねると、志村は「怒ってもお前が困るだけで、なにも解決しないだろ」と答えたそう。
いえば直せることについては激しく叱ったものの、怒ったからといってなにも解決しないことを怒ることはなかった。そんな懐の深さが、志村にはあったということです。(84ページより)
人はいくつになってもほめられたい生き物である
ほめ言葉は重要なコミュニケーションだ、とオレは思っている。
『志村流』(90ページより)
仕事をするうえでは「ほめると叱るは車の両輪」といわれますが、できることならほめられたいし、ほめられたら悪い気はしないのが人間というもの。
志村けんも「ほめ言葉は重要なコミュニケーションだ」と考えており、どこかによいところがあったり、感心することをしたりすると、その人のことを素直にほめてあげるように心がけていたのだといいます。
志村によると、外見に始まって、心や性格、仕事の内容や質など、ほめるところはいくらでもあります。ただし、間違えてはいけないのは、相手の関心を引こうと、心にもないことを言うことです。それは「ほめ言葉」ではなく、単なるおべっかやお世辞になってしまいます。相手に見透かされるのは当然で、言った本人の評価を下げるだけになってしまいます。(91ページより)
人はいくつになってもほめられたいし、ほめられることでレベルアップするものなのかもしれません。(90ページより)
心があれば、「心ない言葉」を投げつけることはない
僕は心のない人間が一番嫌い。
『変なおじさん』(98ページより)
志村けんは好きなことばとして、「忍耐」「努力」「心」を挙げていたそうです。自分が本当にやりたいことをやるためには努力が欠かせませんが、それは簡単なことではありません。投げ出さず、忍耐強く、努力し続けることで、初めてやりたいことができるようになるわけです。
「心」については、人とつきあう際にいちばん大事なものと考えていたようです。自分がやりたいことをやるためには自分のみならず、周囲の協力が欠かせませんが、その際に必要なのは「心を込めて話す」こと。心を込めて伝えたことばは相手に必ず伝わるものだと、志村は考えていたのです。
一方で、志村は「心ない言葉」を嫌っていました。相手に対する思いやりがないからこそ、想像力が足りないからこそ、相手のことを考えもせずに「心ない言葉」を投げつけてしまうのです。(99ページより)
志村はそんな「心のない人間」とは、仕事でもプライベートでも絶対につきあわなかったそうです。(98ページより)
努力の仕方から遊び方まで、複数のテーマごとに名言を収録。どこからでも読めるような構成になっているため、志村けんというフィルターを通してさまざまな知見を身につけることができるはずです。
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