毎日のように、選択と決断を繰り返さなければいけないビジネスパーソンたち。
そこへ「正解のないこの世の中で正しい選択をするためには、自分なりのミッション(使命)を持つことが大切」と語るのは、AppleやGoogleといったシリコンバレーの名だたるIT企業の本社で重職を歴任してきた松岡陽子さんです。
現在はパナソニック執行役員であり、シリコンバレー発の次世代ファミリーコンシェルジュサービス「Yohana(ヨハナ)」のファウンダー兼CEOでもある彼女が歩んできた「ミッション・ドリブンな生き方」とは?
今年3月に出版した自身の著書『選択できる未来をつくる』(東洋経済新報社)を紐解くとともに、アメリカ在住の松岡さんにオンライン取材を実施。ミッション・ドリブンで悔いのない選択をするための方法について聞きました。
「ミッション・ドリブン」の生き方で得るものとは

「皆さんには、何か打ち込めるものがあるでしょうか」
自分の生き方について話すとき、松岡さんは決まってこう問いかけるそうです。松岡さんが勧める「ミッション・ドリブン」とは、ミッションを原動力にして、その軸で判断していくこと。そのためには、まず自分のミッションを探すところから始めなくてはいけません。
ミッションというと、とても大きなテーマに感じられますし、それを自分に課すのは難題です。そこへ「ミッションが見つけられなければ、パッションを注げることを探してみてほしい」と松岡さん。
テニスプレーヤーの夢はケガで断念、ロボット工学の道へ
松岡さんにとって、夢中になれるものはテニスでした。英語が話せないという壁を物ともせず、10代で親元を離れてアメリカへ渡ったのも、プロのテニスプレーヤーになりたいというパッションに突き動かされてのことだったと容易に想像できます。

しかしケガで断念せざるを得なくなると、何らかの形でテニスに関わるためにロボット工学の道へ。人と互角に打ち合えるロボットのテニス・バディをつくるためです。その後、開発したロボットアームが体の不自由な人の動きに役立つのではないかと考え、ミッションは「人のためになるかどうか」という軸に変化して今に至ります。
これまでのキャリアも、すべて「人のためになるかどうか」を軸にして選択してきたという松岡さん。現在は「テクノロジーで人が『なりたい自分』になれるように助ける」というミッションを掲げています。
仕事のオファーが複数重なったときや、自分が道に迷ったとき、正しい選択ができたのはミッション・ドリブンを貫いてきたからだと思います。自分のなかにミッションがあると迷いがなくなり、選択や決断に後悔することもなくなります。(松岡さん、以下同)
もしかしたら、「世の中のためにこうありたい」という思いがあるのに自分では気づけていない人も多いかもしれません。または、「自分はこれをやっているときが一番幸せ」とわかっているけれど、それが人生のミッションになるはずはないと蓋をしてしまっている人もいるでしょう。
そんなミッションの種を探すには、自分と向き合い心の中にある思いを書き出してみると整理できると松岡さんは言います。
【ミッションの種となる「パッション」を探すステップ】
- 自分の好きなこと
- 大切にしていること
- 情熱を注げること
- 解決したい課題
心の中にある思いをそれぞれ書き出して検証する。
後悔しない選択するための2つの「見える化」ステップ

「ミッションがあれば、迷いがなくなる」とはいえ、松岡さんがパッションのまま大胆に選択をしてきたわけではありません。常日頃から自分で大切にしていることを書き出し、あらゆる選択肢を徹底的に検証しているそうです。
いってみれば、選択肢と自分の価値観の「見える化」です。人生で新しいチャプターを開くたびにこの手法を使ってきました、日常のプロジェクトや事業に関しても、即断即決で突き進むことは実はほとんどありません。
(『選択できる未来をつくる』188ページ)
たとえば、今の仕事を続けるか、オファーが来ている仕事(あるいは興味がある仕事)に挑戦するかを迷ったとします。そんなとき、松岡さんはどのように選択を最適化しているのでしょうか。私たちが毎日の仕事でも生かせるヒントの一部を著書から紹介します。
1. カテゴリーをつくる
まず、仕事と価値観のカテゴリーをつくります。そして「自分のスキルと仕事のフィット感」「社内政治(勢力争いや権力闘争は嫌い)」「文化(自分と合いそうか)」「家からの距離(近いほうがいい)」「出張の頻度(少ないほうがいい)」「子どもたちとの時間を守れる」といった、自分が大切にしていることを書き出します。
実際、松岡さんは30近くの項目を並べて比較することもあるそうです。
2. カテゴリーごとにウエイトをつける
下の先ほど並べたカテゴリーが自分にとってどのぐらい重要なのかをそれぞれ書き出します。そして、たとえば「社内政治」は6、「子どもたちとの時間を守れる」は10というように重要度に応じて1から10までを書き入れ、自分にとって大切なことを可視化します。
カテゴリー | ウエイト |
自分のスキルと仕事のフィット感(レベルも含めて) | 7 |
組織のマネジメント vs テクニカルな仕事のバランス | 5 |
人の質 | 9 |
予算取り(自分のプロジェクトと自分のチーム)の簡単さ | 4 |
社内政治(勢力争いや権力闘争は嫌い) | 6 |
文化(自分と合いそうか) | 8 |
家からの距離(近いほうがいい) | 7 |
勤務時間のフレキシビリティ(フレキシブルなほうがいい) | 6 |
子どもたちとの時間を守れる | 10 |
出張の頻度(少ないほうが良い) | 8 |
(図表:『選択できる未来をつくる』190ページ改編)
この2工程だけでも、仕事の内容や環境で、自分が何を大切にしているかに気づけるのではないでしょうか。カテゴリーを設けてウエイトを検討するという方法は、他のテーマでも同様に選択を最適化するときに使えます。
松岡さんの著書では、オファーや興味のある仕事にスコアをつけ、より迷いや後悔のない選択をするための残りの3工程が図表入りで紹介されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
キャリアと家庭での体験をすべて注いで開発した新サービス

松岡さんが選択の最適化を繰り返し、これまでのキャリアや家庭での体験をすべて注ぎ込んで開発した「Yohana」についても紹介します。
Yohanaは、忙しい家族の暮らしをサポートするというコンセプトに、家庭におけるさまざまな課題を解決するサブスク型の次世代ファミリーコンシェルジュサービス。
「あれをやらなくちゃ…」といつも心に引っかかっているのにできていないタスク(To-do)を、専属スタッフがアプリを通じてワンストップでサポートします。
たとえば、家族旅行の計画、プレゼントのリサーチ、1週間分の作り置きレシピ提案や料理代行などの家族や暮らしに関するタスクだけでなく、リスキリング方法のリサーチや、資格取得のための学習計画プランやリマインドといった自分自身のことまで。
リサーチをしてもらうだけでなく、必要に応じた買い物代行(※)や予約・手配まで担ってもらえます(※一部のECやサービスでは、対応不可のものがあります)。
また家事代行、クリーニング、住宅修繕など家の中のリアルなお困りごとには、独自のトレーニングを受けたスタッフが対応するメニューも提供しています。

スタッフとのやり取りは、PCやタブレット、スマホなどのデバイスのアプリから簡単に行なうことが可能なので、忙しい人の手間にもなりません。
アメリカ発のサービスを日本で展開するにあたり、大変だったことを聞いてみると「どちらの国でも、家庭内の困りごとに大差はない」と松岡さん。日本での展開当時には、シリコンバレーのエンジニアが持つスピード感を日本のスタッフで実現できるかが課題だったそうですが、「素晴らしいチームができている」と松岡さんも自負しているようです。
チームビルディングにおいて松岡さんが大切にしていることは、自分のエネルギーをメンバーに渡し、より良い仕事に落とし込んでもらうこと。
ビジョンを描き、そこへメンバーを引っ張っていくのが私の役目。ビジョンを達成するためにはエネルギーが必要で、エネルギーはチーム内に伝播すると思っているので、元気のない朝でも気持ちを切り替えて会社に向かいます。
周りのエネルギーが誰かのモチベーションになるというのはテニスから学んだこと。観衆の喝采はプレイヤーの勇気となり、力になる。そのことは身をもって経験してきましたから。
松岡さんのミッションと生き方にふれる2つの機会

2023年3月に刊行した松岡さんの初の著書『選択できる未来をつくる』には、「ミッション・ドリブン」で生きることのベネフィットのほか、松岡さんが各ステージで抱いた悩みや葛藤、そしてIT企業からの引き抜きといった名場面が数多くつづられています。
また巻末には、これまでの何十年は苦労の連続であり、「何度もパンクしそうになったし、たくさんの失敗を重ねてきました。読者の皆さんには最短ルートで近道をしてほしい」と出版に至った経緯を述べています。
自分の生き方や働き方の糧になるヒントが満載の一冊を、ぜひ手にとってみてください。
そして2020年にシリコンバレーで始まったYohanaが、昨年の神奈川県に続き、今年は東京都(一部エリアを除く)でサービスを展開したことを記念して、キャンペーンを開催中。
Yohanaのキャンペーンサイトでプロモーションコード【LAUNCHTOKYOAZ01】を入力して登録すると、1年間、通常月額18,000円(税込)の利用料が月額9,900円(税込)に。
2023年6月30日(金)までの登録分が対象となりますので、お見逃しなく。著書とともに、松岡さんが描きたかったミッションにふれてみてください。
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松岡陽子(まつおか・ようこ)
1971年、東京都生まれ。幼少からテニスに打ち込み、16歳で単身渡米。カリフォルニア大学バークレー校を卒業後、マサチューセッツ工科大学に進み博⼠課程修了(理学博士)。ハーバード大学の博士研究員を経て、カーネギーメロン大学助教授、ワシントン大学准教授として、人体・脳のリハビリを促すロボット機器の開発に携わる。2007年「天才賞」と呼ばれるマッカーサー賞を受賞し、その賞金を元手に身体面および学習面の課題を抱える子どもたちのために「ヨーキーワークス財団」を設立。Google Xの共同創業者、QuanttusのCEO、Appleの副社長、Google NestのCTO、Googleの副社長などシリコンバレーにおける要職を歴任。 2019年10月、パナソニック株式会社(現パナソニック ホールディングス株式会社)へ入社。2020年にYohanaをファウンダー兼CEOとして設立。著書に『選択できる未来をつくる』(東洋経済新報社)がある。
Source&Image: Yohana