ものを読むときは、集中力が欠かせませんね。ただ、何か気がかりなことがあるときは、目でページを追っていても、読み終わっても実は何も頭に入っていなかった、ということはありませんか?

読んでいる途中に気がつくかもしれないし、まったく気がつかないかもしれません。 読んでいるものに集中せずに、仕事での大きなプロジェクトのことを考えていたり、あのときは別の言い方ややり方があったのにと思い悩んだり、あのメールにはもう返信したかな、夕食は何にしようかな、と気が散ってしまうこともありますね。

ここまで読んでくださっているあなた。まだ気が散っていないのなら上出来と言っていいでしょう。

もしこれがスティーブ・ジョブズの会議だったら、そうはならないように彼はしていたはずです。

ジョブズが会議前に欠かさず投げかけた「ある質問」

スティーブ・ジョブズが、先見の明があり、技術の天才であり、カリスマ的な指導者だったから、というだけではありません。むしろ、彼は心のマスターマインドでありながら、これらすべてを兼ね備えていたからです。

目の前にいる優秀なチームから最大限の力を引き出すには、彼らの集中力を高めることが不可欠であることを、スティーブ・ジョブズはよく理解していました。

そして、そのためには、彼らのマインドを曇らせたり、インスピレーションやイノベーション、意欲を削いだりするものを排除する必要があることも。スティーブ・ジョブズがスクリーム・セラピー(絶叫療法)を実践していたのもこの考えからです。

ジョブズが集中力を高めるために使っていた裏技はほかにもありますが、その多くは私たちが知る由もありません。

ただ、ジョブズの師匠であるビル・キャンベルの洞察から、会議に対するジョブスのアプローチは私たちの知るところとなっています。

書籍『1兆ドルコーチ』には、ジョブズと過ごした時間を含む、キャンベルのエピソードが紹介されています。

キャンベルによると、ジョブズは、「今、気になっていることは?」と会議の冒頭でチームに問いかけることでチームの皆を会議に集中させていたそうです。

簡単なことのようですが、これを実行している人は多くないでしょう。

人は自分の胸の内にあるものを吐き出すことで、より目の前のことに集中して、実質的に会議に集中することができます

さもないと、会議に出席しているにもかかわらず、その気がかりなことに気を取られて注意散漫な状態で、本当の意味で会議には参加できていないことになります。簡単なようですが、これを効果的に行なうには、いくつかのポイントがあります。

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ジョブズがこの質問を投げかけたのはなぜ? 3つの理由
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