Twitterの次期CEOリンダ・ヤッカリーノ氏には、大変な仕事が待ち受けています。
ヤッカリーノ氏は、あと数週間でTwitterのCEOを引き継ぎます。
彼女は、多方面のステークホルダー(利害関係者)を満足させる責務を負いますが、こうしたステークホルダーは、相反する意見をもっていることが多いものです。
Twitterにおけるステークホルダーとは、以下の人たちです。
- イーロン・マスク氏(新しい上司)
- 広告主
- 日常的にTwitterを使用しているユーザー
イーロン・マスク氏は、なぜ、ヤッカリーノ氏こそがこの仕事にふさわしいと考えたのでしょう。
そしてヤッカリーノ氏はどのようにして、マスク氏や広告主、ユーザーを巻き込み、Twitterを新しくつくり変えていくのでしょうか。
繰り返し使われた重要なフレーズ
最近のヤッカリーノ氏の一連のツイートに、その答えのヒントがあります(同じメッセージは、翌日LinkedInにも投稿されました)。
より明るい未来の創造に向けた(イーロン・マスク氏の)ビジョンには、昔から感銘を受けてきました。このビジョンをTwitterに取り入れるお手伝いをし、ともにこの事業をつくり変えていくことに、胸をおどらせています。
その未来には、あなたからのフィードバックが欠かせません。私がいるのは、そのためです。ぜひ意見を交わし合い、ともにTwitter 2.0をつくっていきましょう。
メッセージでは、ある言葉が存在感を放っています。LinkedInに投稿されたメッセージと合わせると、その言葉は4回繰り返されています。
「ともに(together)」という言葉です。
一見すると、特別な言葉ではないように思えるかもしれませんが、経営改革を行なうとなると、「ともに」という言葉は強力なメッセージを発します。
そこには、感情を理解しコントロールする能力である「心の知能指数」における教訓もあります。
あなたが事業主なら、このメッセージから何を学びますか。どうすれば、それを自分の職場に適用できますか。
さあ、考えてみましょう(この記事が気に入ったら、ぜひこちらの無料講座をチェックしてみてください。あなたやチームが心の知能指数を高めるのに役立つ、シンプルな方法を紹介します)。
変化を成功させる「イケア効果」とは
人は変化を嫌います。
マスク氏がTwitterを買収して以来、これほど強い抵抗を受けてきた理由の1つがそれです。
また、それはヤッカリーノ氏の仕事が困難な理由でもあります。なぜなら、彼女もおそらくTwitterでのマスク流のやり方を変えようとするからです。
しかし、当たり前のように発生するその抵抗に、打ち勝つための方法があります。それは、解決策を生み出す助けとなるよう、「人々を力づけること」です。
ここで関わってくるのが「イケア効果」です。
「イケア効果」とは、ハーバード・ビジネス・スクールの論文によって知られるようになった心理効果です。
ある調査で被検者を2組に分け、イケアの収納箱セットに値段をつけてもらいました。
1つ目のグループには、自分たちでその収納箱を組み立てさせ、2つ目のグループには、ただ見ただけで値段をつけさせました。
すると、自分で組み立てた人たちは、見ただけの人たちよりもずっと高い値段をつけたのです。そこから、次の結論が導き出されました。
「つくる工程に自分が参加すると、その成果物をより高く評価する」
ヤッカリーノ氏のメッセージを強力なものにしているのは、この点です。
ヤッカリーノ氏は、マスク氏とともにTwitter 2.0をつくりたいという意思を示すことによって、彼に事業再編のプロセスに参加してもらうことを約束しているのです。
そして、Twitterの広告主やユーザーに対しても、そのメッセージを繰り返しています。
どのように改善すればいいかフィードバックしてほしいと促すことによって、ここでも相手に参加してもらい、そうすることでTwitterに対する彼らの愛着心を強めています。
周りに「参加意識」を持ってもらうために
それでは、この教訓をあなたの職場に取り入れるには、どうしたらいいでしょうか。
あなたが変化を起こそうとしているなら、初めから解決策を示してはいけません。その代わり、周りの人たちに問題を明確に提示し、どのように解決すべきか意見を求めるのです。
彼らの意見を実際に検討し、新しい道を決めたら、それを彼らが試せるような、少なくとも事前に見られるような機会を設けましょう。
そして、さらにフィードバックをもらい、手順や製品に微調整を加えてください(もちろん、調整内容についても彼らに伝え、自分も参加しているという意識を持ってもらう必要があります)。
時間がかかると感じるかもしれませんが、「イケア効果」を用いると、長い目で見れば時間を節約できますし、成功する可能性は大幅に増えます。
変化を成功させる唯一の方法は、「ともに実行すること」です。それをヤッカリーノ氏はわかっているのです。
Source:Twitter, Linkedin, eq applied,Harvard Business School
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