以前にもInc.com で述べましたが、私は卒業式での祝辞スピーチというものがあまり好きではありません。例外的に印象的なスピーチもありますが、ほとんどはお決まりのセリフで塗り固められたものだからです。

ビル・ゲイツが、最近ノーザン・アリゾナ大学で行ったスピーチも同様といえるでしょう。

学び続けるように、友情を大切に

という彼のアドバイスは、堅実ではあるものの、精彩に欠けていたといえましょう。ただ、彼のスピーチで1ヶ所だけ印象に残るものがありました。仕事中毒といわれているゲイツの言葉としては特に。

人生にもっと遊びの時間を取り入れるように。

という若い人々へのメッセージです。

仕事中毒だった彼の後悔

リラックスすることや余暇がいかに大切かということを自分は苦労して会得した。

と若い人々へ贈るスピーチの終盤でゲイツは説明しました。さらに、 次のように述べました。

私が、みなさんの歳の頃は、休暇なんて必要ないと思っていました。週末もしかりです。周りの者たちにも長時間労働を強いていました。

マイクロソフトの創業間もない頃は、私のオフィスから駐車場が見渡せたので、誰が早々に退社して、誰が残業しているかを見ていました。

このように、おもしろみのない昔のゲイツ自身の姿について打ち明けたのです。

ところが、歳をとるごとに、特に父親になってからは、仕事だけが人生ではない、と悟ったのです。

とも続けました。 彼の言うように、仕事から離れて大切な人間関係を育むための時間を確保することは本当に大切です。

ハーバード大学の八十年にわたる研究で、人生の満足度を決定づける最大の要因は人間関係の質であることが明かされています。

研究の最初の責任者は「幸せとは、愛です。それ以外の何でもありません」とのこと。 しかし、人生において遊びの時間を確保する理由はそれだけではありません。

あなたが人生でやり遂げようとしていることに、遊びの時間がよりポジティブに作用することが科学で示唆されているのです。

遊びの科学

どんな関係があるでしょうか? 遊びは、燃え尽き症候群への処方箋であり、創造性の源だからです。

物理学者リチャード・ファインマンは、遊びが彼をキャリアのどん底から救ってくれたばかりでなく、後にノーベル賞受賞に至る研究に直接導いてくれた、と語りました。

アルベルト・アインシュタインは、ヨットの上でくつろぎながら自分のアイデアを練っていたそうです。

創造的なエネルギーと「サボり」の間に関連性があると考えていたのは、これら天才たちだけではなかったとの研究結果もあります。

アメリカ心理学協会のブログでも以下のように報告されています。

職場での遊びが、労働者の疲労や退屈、ストレス、燃え尽き症候群の軽減につながるという裏付けも研究によって示されています。

さらに、遊びは、仕事の満足度、自信、創造性とも正の関連が認められるそうです。

遊び心をもってアサインされた課題には、参加者はより夢中になり、より長い時間を費やします。

多くのタイムマネジメントやイノベーションの専門家が「高い生産性やインパクトを目指すには、遊びの時間をスケジュールに確保しておくことが肝要」だと主張しています。

こうした遊びの時間を設けることで、普段の思考パターンから解き放たれてまだまとまっていないアイデアを頭の中に浸透させることができるのです。

時を超えたゲイツの助言

いろんな方法を試行錯誤し、何がうまくいって何がうまくいかないかを会得した人からは、第一級のアドバイスが得られることが往々にしてあります。

仕事中毒に関しては、ビル・ゲイツの言葉に耳を傾けるのがいいでしょう。彼は、楽しいことには目もくれず、ひたすら仕事の鬼として働くタイプでしたが、晩年にはほどほどにバランスのとれたライフスタイルにシフトしていったようです。

彼のような並外れたキャリアを目指す人でも、遊びの時間を確保することが大切だと、ゲイツのこの卒業式のスピーチが物語っています。 彼は卒業生に次のように語りかけました。

遊びの時間を確保してください。いつでもかまいません。今晩でも、この週末でも、この夏でも。

これを読んでいるあなたがこのアドバイスを取り入れるのは、人生でもっと後のことかもしれません。それでも遊びを大切にするのに遅すぎるということはありません。

遊びは大事とわかっていてもなかなか実行に移せないというあなた、仕事中毒にブレーキをかけたり人生にもっと遊びを取り入れたりするには、これらのアドバイスをご覧ください。

ジョブズ、ゲイツ、ザッカーバーグ。トップ企業家を描いた映画5作品から読み解く「成功者だけがやっている習慣」 | ライフハッカー・ジャパン

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Source:YouTube, Gates Notes,aps

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