Apple Watchの最上位モデルである「Apple Watch Ultra」。最大36時間の長時間バッテリーに加えて、スキューバダイビングのダイブコンピューターとしても使える最強モデル。そのスペックの高さに、登場当時は多くの話題を集めました。

「正直自分には使いこなせないのでは…」。そんなかつての考えを葬りたいと今なら言えます。

なぜって? Apple Watch Ultraを使ったランニングを通して、「超シームレスなランニング」を経験してしまったから。

Apple Watch Ultraのファーストインプレッション

まずはApple Watch Ultraの基本スペックをおさらい。主な特徴は以下の通りです。

基本スペック

  • 本体サイズ:49×44×14.4mm
  • 重量:61.3 g
  • ボディ:チタニウム
  • ディスプレイ:LTPO OLED常時表示Retinaディスプレイ、最大2000ニトの輝度
  • バッテリー駆動:最大36時間
  • 高精度2周波GPSを採用
  • アクションボタンを配置
  • 水深40mまで耐えられる耐水性能

バンド

右からアルパインループ、トレイルループ、オーシャンバンド(各3色)
右からアルパインループ、トレイルループ、オーシャンバンド(各3色)
  • アルパインループ:ナイロン素材をベースにした軽くて丈夫なバンド。ランニングはもちろん、普段使いにも最適。
  • トレイルループ:2層のポリエステル生地が織り込まれた一体型のバンド。手首にしっかりと固定できるG字フックを搭載。登山やハイキングに最適。
  • オーシャンバンド:厚手のフルオロエラストマー素材を使ったバンド。ダイビングなどのマリンスポーツに最適。

着用した第一印象は「大きい!」の一言。一方で、走る時に重さが気にならないかと懸念していたものの、むしろ手首との一体感がコンパクトなバンドタイプのスマートウォッチよりも増したように感じ、意外にも気にならず。

また、個人的には3種のバンドのこだわりぶりに、「アウトドア・アスリート向け」を謳う熱意を感じました。実際、筆者はランニング・登山・ダイビングのどれも日常的に楽しむため、事欠かないバリエーションに「さすが!」と拍手を送りたくなったほど。

知られざるワークアウトのカスタマイズ機能を駆使せよ!

さて早速本題へ。今回のランニングが一味違うのは、Apple Watch Ultraで「ワークアウトのカスタマイズ」を行なったから。意外と使いこなせていない人も多いのではないでしょうか?

今回実施したランニングは1km×3回。それぞれ以下の通りカスタマイズ設定を行ないました。

ウォームアップ・インターバル・クールダウン

ワークアウトを調整することで、ウォームアップ、繰り返すワークや、リカバリーのインターバル、クールダウン時間などを自由に設定可能(設定方法の詳細はこちら)。

今回は、次のようなメニューにしました。

  • ウォームアップ:650m
  • ワーク:1km(ランニングルートに入るタイミングで自動切り替え)
  • クールダウン:3分間
Screenshot: ライフハッカー編集部
Screenshot: ライフハッカー編集部

ペーサー

「ペーサー」を設定すると、ランニング中に、平均ペースと現在のペース、そして設定したペースを上回っているか/下回っているかを示すグラフがApple Watchに表示されるようになります。

ここでは、いつも自分が走る際の平均ペース(6分/km)に設定。

Screenshot: ライフハッカー編集部
Screenshot: ライフハッカー編集部

いずれも、5mごと、1秒ごとに細かなカスタムが可能。また、どのタイミング・どの数値を通知するかなども設定できます。これまでは「3km走れたら帰ろう」などのざっくり目標だった指標も、これなら細かくゴールを設定でき、効率的なトレーニングに役立てられそうです。

自動切り替え&通知でランニングに集中できる

実際に走ってみて驚いたのが、自動切り替えのシームレスさ。

たとえば、1つ目の「インターバル走」では、ランニングに集中しながらもApple Watch Ultraが自動で切り替え&通知で教えてくれるため、その都度何かしらの操作をせずに、ランニングペースの調節に取り組めました。

次のインターバルまでの距離数を示すとともに、心拍数やペースが表示される。
次のインターバルまでの距離数を示すとともに、心拍数やペースが表示される。
Screenshot: ライフハッカー編集部

「ペース走」では、タイムリーにペース把握が可能。

画面内のセンターラインから左側(赤色)が、設定したペースよりも表示時間分「遅く」、右側(緑色)では設定ペースよりもその分「速い」ことが表示されます。

この時も、設定ペースより遅れている場合は通知でそのことを指摘してくれるので、目標達成に向けた調整がしやすかったです。

Screenshot: ライフハッカー編集部
Screenshot: ライフハッカー編集部

可能性は無限大。あらゆるランニング指標での計測もできる!

これだけではありません。

ワークアウトのカスタマイズで「フリー」を選択すると、「歩幅」「足の接地時間の長さ」「ケイデンス(ランニングにおける1分間あたりの足の回転数=ステップ数)」など、ランニング中に確認したい指標を選択できます。

設定した指標は、ワークアウト中にDigital Crown(本体右側面のダイヤル)を回して各ワークアウト表示に切り替えることで確認が可能。

Screenshot: ライフハッカー編集部
Screenshot: ライフハッカー編集部

個人的にありがたかったのは、上記画像中央にあるワークアウト中の心拍数範囲の表示。

運動強度を測る指標として心拍数はよく用いられており、平常時の心拍数とトレーニング中の心拍数から、どの程度の強度でトレーニングしているかを判定できるようになっています。

心拍数を計りながら走ると、オーバーペースを未然に防ぎ、安全かつ効果的な練習ができるだけでなく、心肺機能の向上が数値で分かるようにもなります。

視覚的にわかりやすいため、心拍数を意識した強度調整もさることながら、モチベーションアップにも一役買ってくれそうです。

Apple Watch Ultraの「わかってるね!」ポイント

上記のカスタム以外にも、Apple Watch Ultraにはランナーにうれしいスペックを搭載。

画面の視認性が高い

先述した通り、ディスプレイの輝度は最大2000ニト。これだけ明るければ、屋外でのランニング時、日差しが強い環境でも画面が見づらいことはないでしょう。

実際、ラン当日は晴天でしたが、強い日差しが照りつける中でも、少し手首を傾けるだけで画面をしっかり確認できました。画面を見ようと手首を近づけたり、明るさの調整をしなくて済むのは、ランニング中の不要な動作を減らせて便利です。

音声通知が専属サポーターに

カスタマイズの部分でも触れましたが、音声通知を有効にすれば、確認したい指標に応じて自動で知らせてくれるため、いちいちスマートウォッチを確認する必要がありません。

ワークアウトのカスタマイズと併用すれば、走り出しからクールダウン、ワークアウト終了まで、一切手を触れずに切り替え・計測が可能になるのです。

アクションボタンがとにかく便利!

Apple Watch Ultraの利便性を深く実感したのが、本体左横に配置されたアクションボタンの存在

アクションボタンでできること

  • アクションボタン(ワークアウト前):即時開始
  • アクションボタン(ワークアウト中):セグメントをマーク
  • アクションボタン+サイドボタン:ワークアウトの一時停止

ワンプッシュでワークアウトの即時開始ができるため、走りはじめる前のモーションが最小限になるだけでなく、横断歩道などの場所ではすぐに一時停止が可能

これまでは、横断歩道で捕まってしまっても「一旦止めるのが面倒だから」と起動したままにしていたプチストレスも、このボタンのおかげで一掃。

これだけでもApple Watch Ultraを選ぶ理由になると言えるのではないでしょうか。ぜひこの便利さは実際に使って走って体感していただきたいところ。

シームレスな快適ランを実現するApple Watch Ultra

今回のランニングを通じて、Apple Watch Ultraに抱いていた印象は大きく激変。

アスリートのようなエクストリームスポーツ向けかと思い込んでいましたが、これはワークアウトを効率的かつ効果的に行ないたいと思うすべての人におすすめできるスマートウォッチだと感じました。

自由なカスタマイズで独自のトレーニングを構築できるのはもちろん、一度設定してしまえば操作不要でランニングに集中できるのは大いに評価すべきポイントと言えます。

一度スマートウォッチを使ったことがある人なら誰でも「ちょっと面倒だな」と感じていたストレスをなくし、完全にワークアウトに集中できる環境づくりをサポートしてくれるApple Watch Ultra。

約12.5万円の価値は確かにあり、ワークアウトを日常的に行なうなら、これもApple Watchの選択肢として「十分アリ」だと思わせてくれました。

Source/Photo: Apple(1, 2)