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「相手との距離感がなかなか縮まらない」
「気がきかない、といわれてしまうことがよくある」
「気持ちがうまく伝わらず、誤解や勘違いをされることが多い」
などなど。
自分では気遣いをしているつもりなのに、コミュニケーションについて悩んでしまうというケースは決して珍しいものではありません。
とはいえ、それはぜひともなんとかしたいところ。そこできょうは、解決の糸口になりそうな『「気がきく人」と「気がきかない人」の習慣』(山本衣奈子 著、明日香出版社)をご紹介したいと思います。
著者は、「伝わる表現アドバイザー」として、講演・研修の講師をしている人物。おもにコミュニケーションをテーマとして、人づきあいを円滑にするヒントを伝えたり、人間関係の改善や職場活性のサポートをしているのだそうです。
いわばコミュニケーションのプロフェッショナルですが、かつては相手を気遣ったつもりで口にしたことが相手を怒らせたり、気を遣おうとするあまり伝えたいことが伝えられなくなったりすることがよくあったのだといいます。
しかしそんななか、学生時代に没頭していた演劇の世界のなかから気遣いのヒントを見つけたのだそう。
舞台上にいる人たちは、おたがいに相手を気遣いつつも堂々としており、しっかりことばを発し、自分の想いや意見をきちんと表現していたというのです。つまり、はからずも演劇のなかから、気遣いの本質を学んだということなのでしょう。
“気遣い”は目に見えるものではありませんが、言葉や態度、考え方などの細部に宿ります。ほんの小さな表現の違いが、相手との関係性だけではなく、全体の雰囲気をいい方向にも悪い方向にも変化させていくのです。(「はじめに」より)
そこで本書においては、20年以上の歳月を通して著者が接してきた“気がきく人の習慣”が紹介されているわけです。しかも著者自身が「効果が高い」と感じたものを厳選しているのだとか。
第1章「話し方編」のなかから、2つのトピックスを抜き出してみることにしましょう。
気がきく人は語尾を相手の前に置き、気がきかない人は語尾を濁す
基本的に日本語は、結論が語尾にくるもの。たとえば、「きのう、私は会社に行きました」という文章の結論は当然ながら「行きました」。「きのう、私は会社に」では、いったかいかなかったのかがわからないわけです。
したがって“日本語を聞く耳”は、語尾までしっかり聞こうとするようになるでしょう。いうまでもなく、語尾を聞き逃してしまうと結論を理解することができないからです。
ところが、気がきかない人の語尾は、濁したままプツリと消えるような感じになることが多いのだと著者は指摘しています。次のように「。」で終わらず、「、」で終わるイメージ。
理解度を聞かれると「理解はできているのですが、」
参加の有無を問われると「行こうとは思っているのですが、」
(19ページより)
多くの場合、こうした返答の根底には「いい切ることへの不安」「自信のなさ」があるようです。しかし語尾を濁らせると、ただ理解しづらいだけではなく、なにか含みがあるようにも響いてしまいます。そのため、誤解を与えてしまう危険性も否定できないのです。
なお、ここでは著者が以前勤めていた会社にいた先輩のことが引き合いに出されています。部署を超え、多くの人に頼りにされており、誰よりも早くリーダーになった人物。相手への気遣いにあふれていたその人は、とくに語尾をていねいに扱う話し方をしていたというのです。
理解度確認には「大筋は理解できました。ただ、ちょっと曖昧なところがあります。」
食事の際には「苦手はないので何でも大丈夫。できればさっぱりしたものがいいかな。」
このように、すべての発言を「。」で止める文章にして伝えていたのです。
その分メッセージがとてもクリアでまっすぐ届き、そこから伝わってくる彼女の自信も、信頼を生み出す大きな要素となっていました。(20ページより)
なお語尾を「止める」だけではなく、相手の前に「置く」こともまた、気がつく人の特徴なのだといいます。
言い切ると語気が強くなりがちなので、それを「投げる」ように言うと、傲慢な印象になることがあります。そのため、気がきく人は、語尾を言い切り、かつ相手の前にそっと置くように話します。(21ページより)
この感覚をつかむには、小さな箱を持つように手を構え、語尾の部分で相手の前に「置く」というジェスチャーをしてみるといいそうです。そうすれば、イメージを理解しやすくなるというわけです。(18ページより)
気がきく人は肯定形で話し、気がきかない人は否定形で話す
「絶対遅れるなよ!」
「余裕を持って5分前には来てくれませんか」
(46ページより)
さて、自分が相手からいわれるとしたら、どちらが気持ちいいでしょうか? おそらくほとんどの方は、後者を選ぶはずです。
このことに関連し、ここではカナダの心理学者アルバート・バンデューラが提唱した「自己効力感」という心理学のことばが紹介されています。端的にいえばこれは、「自分にはできる」と信じる力のこと。
自己効力感が高いほど、不安や恐れを感じにくく、積極的に努力・行動しやすいと考えられているのです。つまり前向きに行動を起こすためには、「自分にはできる」と言う自信を持つ必要があるということ。
気がきく人はここをきちんと理解して、相手が前向きに動けるような伝え方を心がけています。
「できないこと」「しないでほしいこと」を押しつけるのではなく、「できること」「してほしいこと」を言葉にすることで、前向きな行動を起こしやすくしているのです。(47ページより)
たしかに、なにか問題が起きたとき、「できないこと」を並べるよりも「できること」を並べたほうが建設的。そういった思考性が、おのずと前向きな行動につながっていくわけです。
人間関係で問題を起こしやすい人が、よく「どうしてあの人はこちらの思うように動けないのでしょうか」とおっしゃいます。
よく話を聞くと、押しつけや強制で失敗しているケースがほとんどです。「ああしろ」「これをするな」といったメッセージを連発して、相手の行動をむしろ阻害してしまっているのですね。それでは、“動けない”のではなく、“動かない”のです。(49ページより)
相手がことばを気持ちよく受け取って動いてくれたとしたら、実のところ、いちばん気持ちがいいのは伝えた側。自分のことばの結果は、すべて自分に跳ね返ってくるということです。
だからこそ、相手のためだけではなく、自分のためにも、ことばに心を配っていくことが大切なのでしょう。(46ページより)
どこからでも読める構成になっているので、自分が気になっているところをチェックしてみるだけでもOK。必要なノウハウを無理なく取り入れられ、そして毎日の生活のなかで活用できるはずです。「気がきく人」に近づくために、参考にしてみてはいかがでしょうか?
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Source: 明日香出版社