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『即効性バツグン、あらゆる場面で使える 営業テクニック図鑑』(伊庭正康 著、日本実業出版社)の著者は、「営業ほどクリエイティブな仕事はない」と確信しているのだそうです。なぜなら、テクニックを身につけ、自分なりの知恵を働かすことができれば、無限にお客様に感動を与えることができる仕事だから。
そう思えるようになるまでには苦難も多かったようですが、前職の支社長から勧められた『高額商品セールスマンのための驚異のセールス・アクション・プログラム』(森鶴夫 著、1991年刊行、産能大学出版部 現在は絶版)という“「超」硬派な営業の本”と出会ったことで「営業観」が変わったのだとか。
そこにはこう記載されていたというのです。
営業力(販売力)=行動量×実力×営業基盤(「はじめに」より)
これに衝撃を受けた著者が同書のテクニックを取り入れてみたところ、契約単価が以前の2倍になり、お客様からの紹介案件も増えることに。おかげで営業テクニックの探求がさらに加速し、心理学、マーケティング、経営戦略などの理論のなかからも“営業に生かせるさまざまなテクニック”を身につけるに至ったのだそうです。
でも、こんなに素晴らしいテクニックがたくさんあるのに、それらを教わる機会はあまりないのが現状ではないでしょうか。だからこそ、この本は「テクニックの紹介に特化した図鑑のような本」にしました。(「はじめに」より)
きょうはそんな本書のCHAPTER 3「会話編」に焦点を当ててみたいと思います。
「反復」と「代弁」で聞き上手になれる
営業は、話し上手よりも聞き上手であることのほうが重要。なぜなら営業は、お客様の「声にならない声」を聞くことによって“提案のチャンス”をつくる仕事だから。とはいえ、意外とできないことが多いのもまた事実。
たとえば「相槌」の仕方ひとつをとっても、聞き上手の人は違うのだそうです。そこで著者は、まず次の2つの相槌の仕方を覚えておくべきだといいます。これだけでも、ずいぶん相手に寄り添った聞き方ができるようになるというのです。
❶相手の言葉に「反復」をする相槌
❷相手の「気持ち」を代弁する相槌
(相手が、こう思っているであろうな……)
(64ページより)
会話のイメージとしては、こんな感じになるようです。
営 業:「差し支えなければ、伺ってもよろしいですか? 最近は、どんなことでお忙しいのですか?」
お客様:「期末なので、決算業務が増えているのです」
営 業:「決算業務でございますか。勉強の意味で、伺ってもよろしいですか? どのような業務をされているのですか?」
お客様:「実は、社内の伝票処理なのです。1人でやっているので大変で……」
営 業:「お1人でされているのですか」
お客様:「今は1人ですが、来週から、3人の増員が決まっているので、忙しさから解放されそうです」
営 業:「それは、楽しみでございますね」
お客様:「ほんと、やっとです」
(64〜65ページより)
「決算業務でございますか」「お1人でされているのですか」という部分は、❶の相手のことばを反復している相槌。
「それは、楽しみでございますね」は、❷の相手の感情を代弁している相槌。
この2つの相槌を使うだけでも、会話のテンポがよくなるということ。その結果、お客様はたくさんのことを話してくれるようになるというのです。すなわち、これが聞き上手になる第一歩。(64ページより)
「先読み」すると嫌われてしまうことも
なお上記の「気持ちを代弁する相槌」には注意点も。相手の感情を先読みし、“外して”しまうと「空気が悪くなる」可能性もあるわけです。たとえば、次のような会話。
お客様:「最近、頼まれ仕事が増えているんですよね」
営 業:「それは困りますよね」
(66ページより)
営業が一方的にお客様の気持ちを先読みしてしまうのは危険。実際には「困っている」と思っていないこともあるからです。
相手がどう思っているのかよくわからない場合は、むやみに相手の気持ちを読もうとせず、「それって、どうなのですか?」というように、先に確認することが大切。
お客様:「最近、頼まれ仕事が増えているんですよね」
営 業:「それって、●●さんにとって、どうなのですか?」
お客様:「まぁ、嬉しいことですよ。頼りにされるのは」
(66ページより)
たしかに、こちらのほうがスマートです。(66ページより)
「なるほど」と返事をしてはいけない理由
口癖のように「なるほど」「なるほどです」などと返事をする方は少なくありませんが、著者によればそれはやめておいたほうが無難。
なかには、「なるほど」といわれるとストレスを感じる人もいるというのがその理由です。もちろん人によりますが、リスクのあることは避けたほうがよいわけです。
ではどうすればいいのでしょうか? この問いに対する著者の答えは非常にシンプルです。
「そうなのですね」もしくは「そうですか」と返事をすれば解消します。(70ページより)
口癖で損をするのはもったいないので、会話中に自分が「なるほど」と無自覚に使っていないかと意識するべき。ただし例外もあるようで、それは自分自身が本当に感心したり、感動したとき。素晴らしい話を聞いて、「なるほど…。そういうことですか、勉強になります」といった返事をするのであれば問題ないそう。
つまり、感心する「なるほど」はOKですが、相槌としての「なるほど」はNGだということ。そこを押さえておけば間違いないわけです。(70ページより)
著者は、実践にこだわる企業専門の研修トレーナー。つまり本書は、そうしたバックグラウンドに基づいて書かれているわけです。
そして、ここで紹介されているテクニックを実践していけば、冒頭でご紹介した「営業ほどクリエイティブな仕事はない」ということを実感できるはずだといいます。営業力を高めるために、ぜひとも活用したいところです。
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