ChatGPTが流行りだしてから、テック業界はAIチャットボットのコンセプトとそれがユーザーに与える影響が気になって仕方がない状態です。
現に、Microsoftは、ChatGPTと似たようなチャットボットを今やBingに直接組み込み、Googleの独占状態を崩すためにつくられた「新しいBing」と名付けています。
予想通り、GoogleはGoogle検索の一部となる「Bard」という独自のチャットボットを披露することでこれに報復。
こうなると、これらの近未来のAI搭載検索エンジンが、インターネットをどのように変えていくのかが大きな疑問になります。
まだ確実なことは何もありませんが、以下6つの予測が今後期待されることのヒントになるかもしれません。
1. ユーザーはチャットですぐに答えをもらえる

ChatGPTやBardのようなAIチャットボットの基本的な目標は、ユーザーの時間を節約すること。
たとえば今は、Googleでクエリを検索すると、無限に記事のリストが表示され、十分な数の記事に目を通して手動で答えを見つけなければなりません。しかし、考えてみれば、これはあまり効率的なやり方ではありません。
仮に、実際に誰かに何かを質問するとき、質問者はそのテーマに関するすべてを詳細にわたり長々と解説してほしいとは思っていません。経験に基づいて、実例や比喩を使い、わかりやすく、短い言葉で答えてほしいと思っているはずです。後でもっと詳しいことが知りたいと思えば、さらに詳しい説明を求めるかもしれませんが。
これこそ、AI検索が再現しようとしていること。インターネット検索の手間を省き、自分で頑張らなくても、即座に、適切で正確な答えを提供しようとしています。しかし、お察しの通り、それはそう簡単にできることではありません。
AIチャットボットには、不正確性、偏り、同じことを繰り返す傾向など、まだ多くの問題があります。
こうした長期的な問題を解決するには、アルゴリズムがユーザーの検索クエリの背後にある意図と文脈を識別する能力を高められるように、多くのユーザーからのフィードバックが必要です。
2. 検索が会話型近づく

だからこそ、「今年の休暇はどこに行くべき?」と検索するのではなく、「2023年のベストな休暇先10選 」と検索します。
検索エンジンを使うと何となく調査しているような感じになるので理路整然としますが、チャットボットに話しかけるときは、会話をしているような形式になります。
つまり、より自然な言葉を選べるようになるのです。
3. ファクトチェックを職業にする人が増える

不正確性は、当面AI検索の最大の問題であり、この問題の解消にはしばらく時間がかかりそうです。
AIが普及するにつれて、多くの人が自分で調べることから、チャットボットを信頼し、その言葉を鵜呑みにすることへと徐々に移行していくのではないかと思われます。これは非常に危険であり、その理由は明白です。
これに対抗するため、GoogleやMicrosoftが、ファクトチェックや誤報の拡散を抑えることに特化した大規模なチームを雇用する可能性が非常に高くなります。
SNSにおいてモデレーション(投稿されたコンテンツをチェックし、不適切なものを削除する作業)が重要な役割を果たすのと同じように、ファクトチェックはAI検索の重要な役割を果たすようになるでしょう。
4. オンラインショッピングがもっと簡単になる

AI検索は、オンラインショッピングの利便性をさらに高めてくれるでしょう。
複数のクリエイターによる、複数の商品の、複数のレビューに目を通す必要がなくなり、探している商品カテゴリの上位推奨品をチャットボットに尋ねるだけでよくなります。
スペックや価格の比較を依頼することもでき、気になる製品の特徴や制限をささっと要約してもらい、その中から選べばよくなるでしょう。要約には、Amazonのリンクも貼られるので、そのプラットフォームにさっと飛び、商品を購入することが可能。
このような状況では、勝ち組はユーザーとAmazonだけです。クリエイター、出版社、製品レビュアーは難しい立場に立たされ、自分のコンテンツをチャットボットによる要約に使ってほしくないと思うかもしれません。
5. 人の手で書かれたコンテンツが優先されるようになる

AIが生成したコンテンツは、厳密にはGoogleの検索ガイドラインに反していませんが、同社は 「検索結果における順位操作を主目的としたコンテンツの生成にAIを含む自動化を使用することは、Googleのスパムポリシーに違反する」と明言しています。
基本的に、AIが生成したコンテンツをテンプレートとして使用するのは自由ですが、最終的な製品として使用するのはNGです。
ChatGPTを宿題に使っても構いませんが、商業的なコンテンツを書くために使うのは、倫理的に問題があるだけでなく、長期的に見ても非常に良くない考えです。
オリジナリティ、過去の経験、判断力、ストーリー性、独自の視点など、人間が書いたコンテンツにしかない資質が、AI検索時代には価値が上がります。
なぜか? それは、多くの人が自動音声通話に答えたくないのと同じように、人間が書いたものではないとわかっている記事を読みたいと思わないからです。
6. ウェブサイトは検索トラフィックを失う

AI検索がユーザーの時間を節約し、雇用の機会を増やす可能性があることがわかりました。一方、「収益化」という重要な問題にはまだ取り組めていません。
最終的には、AI検索が十分に満足できるものになり、ユーザーはウェブページを訪問する必要性を感じなくなるでしょう。これはユーザーにとってはすばらしいことですが、出版業界にとっては悪夢です。
ご存知の通り、現在のインターネットは、広告収入で成り立っています。ネットの記事が読まれなくなれば、出版物はトラフィックを失い、広告収入を失うことになります。
広告収入がなくなれば、スタッフに給料を払えなくなり、スタッフに給料を払えなければ、新しいコンテンツは生まれなくなります。そして、新しいコンテンツが生まれなければ、AIチャットボットは要約するものがなくなるので、結局、インターネットは死に絶えてしまいます。
この議論に対するMicrosoftの回答は、「チャットボットというアシスタントがいても、人々はより深く掘り下げてウェブページをクリックしたいと思うでしょう」というものでした。しかし、そうはならないかもしれません。
短かいコンテンツが幅を利かせてきているように、多くの人は、たとえ文脈を失うという代償を払っても、クエリに対して迅速で簡潔な回答が既に得られているなら、わざわざウェブページをクリックして深堀したいとは思わないでしょう。
どうなるかは、時がたってみないとわかりません。
AI検索の時代はもうすでに到来している
AI検索については、まだ山ほど疑問や不確定要素があり、それに取り組んでいく必要があります。テクノロジーフリークとしては、テクノロジーの進化や、テクノロジーが人間に利益をもたらす方法を体験することが楽しみで本当にワクワクしています。
しかし、この新しい検索方法には、いくつかの欠点もありそうです。
ユーザーとしては、調べたいことの要約がすぐにわかるので、時間を節約できるかもしれません。しかし、お気に入りのクリエイターや出版物がインセンティブを失ったら、新しいコンテンツはどこから生み出されるのでしょう。
今年のテックトレンドの中で、どのような展開があるのか、興味深く見守っていきたいと思います。
Original Article: 6 Ways AI-Powered Search Engines Will Change the Internet Forever by MakeUseOf