オフィスへの出社が増え、外出の機会が増えていく中、ゴールデンウィークを前に遠出を計画する人も多いでしょう。
しかし、旅行だけでなく普段の通勤でも「安さ」や「快適」という理由でいつもと同じ方法で移動していませんか?
この記事では、いつもの通勤や旅行でも充実した時間を過ごすために、移動の選択肢を再考するヒントを提案してみたいと思います。
安いから最適な移動手段とは限らない
コロナ禍による新たな生活様式の変化は、移動に関するサービスにも大きな影響を与えました。公共交通機関に限らず、タクシーの配車サービスやカーシェアが一般的になってきています。
1人で移動する場合、電車やバスがコストパフォーマンスに優れているかもしれません。しかし、複数人で移動する場合は、タクシーやカーシェアを利用するとグループ全体の移動費用を抑えられる可能性があります。
筆者は学生のころ剣道をしていて、夏休みには防具を持って飛行機で帰省していました。当時の自宅から空港までは90分ほどありましたが、「安い」という理由だけで、総重量30kgほどになる荷物を持って、電車で移動していたのです。
流石にこれは辛く、700円ほど追加してリムジンバスで移動したり、防具だけ送ったりするようになりましたが。安さだけを追求して、結果的に自分の首を締めるお金の使い方だったと思います。
このように、実は状況に応じてさまざまな選択肢を使い分けることで、快適さは違ってくるのです。普段自家用車で移動している人は公共交通機関を使ってみる。逆に電車やバスがメインの人はタクシーやカーシェアを利用してみると、新たな発見があるかもしれません。
電車やバスが快適に過ごせる意外な秘密
収入に余裕が出てくると、タクシーを使う場面も多くなると思います。混雑する時間帯や悪天候の際は、電車利用時の数倍の金額になるかもしれませんが、タクシーを利用すれば、リラックスしながら移動することができるでしょう。疲れていれば休息のひとときになるかもしれません。
しかし、道路を走る以上、渋滞に巻き込まれる可能性や運転手さんとの思わぬトラブルの可能性もゼロではありません。
経営コンサルタントとして活躍された文筆家の千田琢哉さんは、年間100万円以上タクシーを利用していた時期もあったそうです。現在は公共交通機関との併用で、より快適に人生を過ごされているとのこと。
『決定版 人生を変える、お金の使い方』(株式会社Gakken)の、「CHAPTER3 時間を最大化する、お金の使い方」でその理由を以下のように述べています。
「タクシーで移動中に仕事してパフォーマンスを上げろ」
「自動車を所有する年間費用より、タクシー移動の年間費用のほうが安い」
右のように、ビジネス書ではタクシーの重要性が説かれる記述が多く見られるが、時間と場所によっては、電車やバスを利用したほうがずっと早く到着し、平日の昼間にはガラガラに空いているから優雅な気持ちで座れることも多い。
これはかなりマニアックな話になるが、電車やバスの椅子や背もたれ等の設備には、タクシーのそれらと比較して桁違いに高価なものが使用されている。
電車やバスが公共のものである以上、耐用性も考慮されており、想像以上に、優良な素材が惜しみなく使われているのだ。
もちろん、電車やバスにもマナーの悪い人たちがいるかもしれないが、その場合は、サッと席を離れたり、車両を替えたりすれば即時に解決できるだろう。(『決定版 人生を変える、お金の使い方』より引用)
どちらかというと人口密度が高くネガティブなイメージもある電車ですが、こんな秘密があったとは。時間帯によって「快適さ」は変化するのです。電車やバスのシートが「動くソファ」だと思うと、違った乗り物に思えてきますね。
移動手段は「安さ」「快適さ」だけで選ばない
とはいえ、急いでいる時に迷わずタクシーに乗った経験のある人は多いのではないでしょうか。ここで一度考えたいのは、「なぜ急がなければならない状況になったのか?」です。
もしも、仕事に関わるアポに遅れそうなら、事前の計画が甘かったことになります。
千田琢哉さんは、状況に応じて積極的にタクシーを活用することをおすすめしつつも、CHAPTER3を以下のように結んでいます。
あなたが何かのプロとして行動したいなら、0.1%の可能性でも遅刻しない移動手段を選ぶべきだ。私は今でも仕事で約束の時間に決められた場所に向かう際は、ある程度時間にゆとりがない限り、タクシーは使わないようにしている。
交通手段は金額に関係なく臨機応変に使い分け、あなたの人生の時間を豊かにしよう。
お金の使い方は、時と場合により変化する。臨機応変に対応することが重要だ。(『決定版 人生を変える、お金の使い方』より引用)
移動手段は一つの選択肢に固執せず、状況に応じて使い分けることが、合理的で快適な移動につながるでしょう。
時間に余裕があるときには、優雅にタクシーで。遅刻できないときは、用意周到に公共交通機関を利用するなど、安易に「安さ」「快適さ」だけで選ばないようにしたいですね。
実は、お金を使う場面で選択肢を考え直すことは、移動手段に限らず、普段の買い物や食事でもできますよね。
その小さな選択を吟味する習慣は、日々の仕事や生活に新たな気づきを与え、より人生を豊かにすることでしょう。