仕事に対して大きな負担を感じるのは普通のことですが、そこから身を引いても、力の向ける先を変えようとしても、どんなことをしてもその感覚が持続するようになった時には、燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥っている可能性があります。
そして、問題はおそらく雇用主にあるのです。
カリフォルニア大学バークレー校、ラトガース大学、ディーキン大学の研究によると、職場でのバーンアウトの主な原因は6つあります。
- 持続不可能な仕事量
- コントロールが不十分だという認識
- 努力に対する対価が不十分
- 支えとなるコミュニティがない
- 公平性に欠けている
- 価値観やスキルの不一致
どこであれ働いたことがあれば、少なくともこうした要素には、すべて心当たりがあるでしょう。
従業員が常にストレスや憂鬱、怒りを抱えていることを知らないか、気にも留めない雇用主もいます。上司や会社のなかには、そのような状態を好んでいる人さえいるようです。
新しい仕事の面接を受けている時、有害な職場の兆候は、見つけようとしていなければ見逃してしまいがちです。簡単に引き込まれ、一度入ってしまうとなかなか抜け出せなくなることがあります。
ここでは、バーンアウトを引き起こしやすいタイプの職場を見分けるためのヒントをいくつかご紹介します。
求人広告に見る警告のサイン
オンライン広告の中には、仕事でバーンアウトに陥る可能性を避けようとする人には、警告を発していると考えたほうがいい言葉やフレーズがあります。次はその一例です。
「高い業績を追求する文化」
要求の高い仕事で成功する人もいますが、ほとんどの人は数ヵ月以上続けて働くために協力的な環境が必要です。
「ストレスに対処できる能力」
求人広告で「ストレス」に触れる雇用主は、特に「ストレスの多い環境に対応できる人」というような表現が使われている場合、避けたい相手でしょう。
これは、従業員が燃え尽きつつあることをすでにわかっていて、それを職場の問題と考えるのではなく従業員を非難している、ということです。
「プレッシャーのなかで仕事ができる」
上記「ストレスに対処できる能力」と同様です。
「ロックスター」または「ニンジャ」を探している
モトリー・クルーが新しいベーシストを探しているのでない限り、求人情報でこのフレーズを見るのは嫌いです。
実際のロックスターは概して、四半期ごとの計画会議や水曜日の人事研修への出席、ファイリングは苦手です(ニンジャも同じです)。
このような表現を広告に使う雇用主は、実際に求めている能力について不明確にしています。私には「自分たちが利用できる人を求めている」と言っているようにしか思えません。
「私たちは家族同然」
これは、職場に適切な境界線がないことを示している可能性があります。
私の家族は、顔を見せてもお金を払ってくれるわけではありませんが、職場が期待する権利を持っているのとは異なる種類の忠誠心と責任感を感じさせてくれます。
給与に触れていない
キャリア・コーチのLeah Tillyerは、Yahoo!newsにこう語っています。
求人広告に給与の記載がない場合、給与に関するオープンで公平な文化がないということです。(中略)柔軟性のないオフィスベースの仕事であれば、通常、信頼に欠ける環境です。
ずっと掲載されている求人広告
同じ職種がずっと掲載されていることに気づいたら、それは誰も望んでいない毒薬のような仕事だということかもしれません。
あるいは、実在しない「ゴーストジョブ」かもしれません。
採用プロセスで気をつけるべきバーンアウト文化の兆候
「ストレスが大好きな経理ニンジャ」を募集している雇用主には、履歴書を送る必要がないため、実は用心深い求職者には時間の節約になっています。
しかし、有害な雇用主はこっそりと身を潜めていることが多く、普通の職場で妥当な職種を提示している「ように見える」かもしれません。実際に採用手続きをはじめるまでは、その隙は見えてきません。
気になる会社の情報を集めるには、従業員や元従業員からの率直な職場の評価を読むことができるGlassdoorをチェックしましょう。
雇用主候補となる企業の全体的な雰囲気をチェックするにはうってつけです。運営方法に問題があれば、Glassdoorの誰かが教えてくれるでしょう。
メールや、やりとりから見える危険信号
面接に至るまでのプロセスでも、その企業の文化についてたくさんのことがわかります。
メールが職業倫理に反していたりまったく無礼な内容であったりすれば、働きたくない環境だということを教えてくれるかもしれません。
迅速に返信してこないのは、仕事が整っていないか、従業員になるかもしれない人に対する敬意が欠けている、あるいはその両方である可能性があります。
また、募集職種の内容や担当者、面接の場所や日時がよくわからない場合も、秩序の無さの表れです。無秩序な職場には、バーンアウトに陥っている社員がいることがよくあります。
もうひとつの危険信号は、無闇に早く面接を受けさせようとしてくることです。その場合、その会社の計画に問題があるということかもしれず、(比喩的な意味で)燃え盛るビルの中に直接投げ込まれたくなければ近づかないほうが良いでしょう。
面接では、こちら側も確かめる立場である
面接までたどり着いたのであれば、おめでとうございます。これは、職場の環境を調べて自分がどのように溶け込めるかを確かめるチャンスです。
しかし、その前に職場の全体的な雰囲気をチェックしましょう。働いている人たちは満足していそうですか? 応接室で「逃げろ」と静かにつぶやいている人はいませんか?
基本的にすべての人にとってやる気をそがれるような職場もあれば、ある人にはぴったりでも別の人には最悪な職場もあるので、面接では一番心配していることに関する質問をしましょう。
自分が面接されているのと同じように、自分も相手を面接しているのです。これは陳腐に聞こえるかもしれませんが、真実でもあります。
言い回しに注意しながら、核心をつく
この『ハーバード・ビジネス・レビュー』の優れた記事では、バーンアウトにつながる可能性のある6つの主な事柄のそれぞれについて具体的な質問が提案されています。
巧みな表現を使っており、いずれも面接で質問するであろう内容から大きく外れているものではありません。
つまり、「追加の手当もなしに長時間残業させるつもりじゃないですよね?」と言う代わりに「標準的な勤務時間はどれくらいですか? 週末に仕事をしなければならないことはどのくらいありますか?」と言ってみると良いでしょう。
これらの質問に対する回答が漠然とし過ぎているようであれば、遠慮せず具体的な例を尋ねましょう。
居心地が悪く感じるような質問(たとえば「チーム内でミスがあった場合、どのように対処されるか教えていただけますか?」など)であっても、訊いてみる価値はあります。
回答に細心の注意を払い、言い逃れや焦り、不誠実な態度のサインに耳を澄ましましょう。
直接的でわかりやすい質問(『ハーバード』の例にあるように、「仕事が多すぎる時、チームはどのようにコミュニケーションを取りますか?」など)であれば、簡単に答えられるはずです。
しかし、もし面接担当者が準備できていないことを突いた質問だった場合は「調べてからご連絡します」という丁寧な返事を期待しましょう。そして、実際に満足のいく答えが返ってくるかどうかを確認しましょう。
最後に1つ、覚えておいてください。完璧な仕事はありませんし、たとえ素晴らしい仕事に就いていて協力的な環境で働いていたとしても、バーンアウトに陥る可能性はあるのです。
このライフハッカーの記事(英語)で仕事でのバーンアウトに対処するためのヒントをチェックしてみましょう。
Source: ResearchGate, Yahoo!news, Entrepreneur, Glassdoor, Harvard Business Review