人と話していて、「いい声だなあ」と思わず聞き入ってしまったことはありませんか?

プライベートに限らずビジネスシーンにおいても、私たちは相手の声から、「この人のプレゼンには説得力がある」「この人になら叱られていても威圧感がない」とさまざまな印象を感じ取っています。“声”が人に与える影響力は、想像以上に大きいものと言えそうです。

今回は、これまでに3万例を超える音声の分析を行ない、音や声と脳の関係を研究調査してきた「声・脳・教育研究所」の山﨑広子さんに、気になる“声”の正体や人に与える影響、そしてビジネスシーンにおける「いい声」について、お話を伺いました。

声は、その人の情報が詰まった「履歴書」のようなもの

──山﨑さんは、どんなきっかけで「声」の研究をはじめられたんですか?

失声症という、声を出す器官に異常がないにも関わらず急に声が出なくなってしまう症状があるのですが、私は中学生くらいのときからそれを繰り返していました。

病院に行っても声楽の先生やボイストレーナーの方を頼っても、結局、根本的な原因はわかりませんでした。なんとかしたいと思い、自分でも勉強をはじめることにしたんです。

解剖学から音声生理学、音響心理学、認知心理学などを横断的に学んでいくうちに、声というあまりにも日常的なものが、非常に複雑なしくみを持っていることのおもしろさに魅了され、研究をするようになりました。

私たちが普段耳にしている「声」って、どこから出ていると思いますか?

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Image /Source: はたわらワイド