いまの時代、アプリ内課金から逃げることはできません。
ダウンロードは無料でできても、結構な確率でポップアップが表示され、月額料金を支払うか、あるいは年間サブスクに加入しなければ、アプリ内でベストな機能は利用できないということをすぐさま知らされます。
ですが、サブスクや課金に進む前に、ちょっと立ち止まってみましょう。どうせ料金を支払うなら、アプリではなく、ブラウザで(ウェブサイト経由で)支払ってはどうでしょう?
このひと手間が、いくらかの節約につながるかもしれません。
アプリで購入すると、高くなる場合がある
iPhoneであれ、Androidデバイスであれ、ユーザーがアプリ内で何かを買ったとしましょう。デベロッパーは、その購入代金の全額を受け取ることはできません。
GoogleもAppleも、デベロッパーと契約を結んで、自分たちのデジタルマーケットプレイスでアプリをホストしています。そしてその手数料として、アプリの売上からかなりのパーセンテージを懐に入れています。
App Storeの場合
AppleのApp Storeの場合、iOSアプリ内でデジタル商品・サービスを販売するデベロッパーに対しては、売上の30%が請求されます(App Store Small Business Programの対象者で、売上が100万ドル以下のデベロッパーは15%)。
つまり、アプリのサブスク料金が月額10ドルの場合、Appleはそこから3ドルを得ることになります。5ドルのゲームなら、1.50ドルです。ただし、サブスク期間が1年よりも長い場合は、Appleの取り分は15%まで下がります。
Google Storeの場合
Google Playストアも似たようなものですが、こちらのほうがやや緩いかもしれません。
こちらは累進課税のようなシステムで、売上が100万ドル以下の場合は15%、それを超える場合は30%がデベロッパーに請求されます。ただしサブスクに対しては、その期間にかかわらず、売上の15%しか請求されません。
こうしたビジネスモデルは、App Store(これは、MacのApp Storeも含みます)またはPlayストアからダウンロードしたアプリのなかで行なわれたすべての購入に適用されます。
特に、30%の「アプリ税」の対象者であるデベロッパーにとっては、このパーセンテージは法外と言っていいでしょう。
そこから得る全売上の3分の1近くを持っていかれるのですから。なかには、これを避けるべく、ほかの方法に目を向けるデベロッパーもいます。
ちなみに、ユーザーがアプリ内で買った、デジタルではない「物理的な」商品には、このルールは適用されません。
たとえば、Amazonで何か物を買ったときや、DoorDashでテイクアウトを注文したときがその例です。AppleまたはGoogleからデベロッパーが手数料を請求されることはないので、ユーザーも、この余分なコストを転嫁される心配はありません。
「アプリ以外の方法で払うユーザー」には料金を安くしているサービス
なかには、アプリ内からのサブスクを制限することで、この問題を回避しているサービスもあります。たとえば、NetflixやSpotifyがそうです。
Netflixの場合、iOSまたはAndroidアプリでサブスクを申し込むことはできません。Spotifyも、iOSユーザーはアプリ内でPremiumプランへの登録ができません(Androidに関しては、Googleが先日、Spotifyに特別な手配を行なったので、Androidユーザーはアプリ内でもサブスクを申し込めるようになりました)。
NetflixやSpotifyはどちらも、ユーザーにわざわざ遠回りしてコンピューターやブラウザからサブスクを申し込んでほしいと考えているわけです。たとえ、その途中で潜在ユーザーを失うことになってもです。
YouTube Premiumは料金をディスカウントしてくれる
また、アプリではなくブラウザでサブスクや機能を購入した場合に、料金をディスカウントするサービスもあります。これが宣伝されることはあまりありませんが。
たとえば、YouTube Premiumがそうです。個人プランの場合、iOSアプリ経由での月額料金は1550円ですが、ブラウザ経由なら1180円です(Android版アプリ経由は1180円です)。
TikTokコインも、ブラウザで買うと、最大31%安くなります。Twitter BlueのiOSとAndroidアプリの月額料金は1380円ですが(ほかに、年額1万4300円のプランもあります)、ウェブサイト経由ならたったの980円です(どちらを選んでも、あなたがTwitterに課金したことは世間に知られますが)。
ディスカウントはサブスクに適用されるのが一般的ですが、1回限りの購入もその対象になるケースもあります。
デスクトップで購入するとお得なものも
デスクトップでサブスクに加入すると、ほかのかたちでディスカウントが受けられる場合もあります。マインドフル系アプリ「Headspace」のサブスクは通常、アプリからでもデスクトップからでも料金は同じですが、デスクトップからの新規登録で7%のキャッシュバックが受けられるキャンペーンが、現在アメリカのRakutenで実施されています。
アプリで月額または年額プランの料金を払うと、この特典は受けられません。わざわざブラウザから申し込んでこそ、その努力が報われます。
どのアプリが、アプリ内のサブスク登録で高い料金を請求してくるのでしょうか?
それを見分けるのは簡単ではありません。だからこそ、スマホで購入に踏み切る前に、自分の目で確認することが大切です。
調べてみた結果、アプリとブラウザの料金が同じこともありますが、その場合はどちらでも好きな方法で料金を払いましょう。
運がよければ、ブラウザで買うと、いくらか節約できます。また、あなたが支払ったお金は、巨大テック企業に上前をはねられることなく、すべてデベロッパーの手に渡ります。
Source: ai, Play Console ヘルプ, The Verge, VARIETY, YouTube Premium, Twitter, TikTok, Rakuten