多くのビジネスパーソンが悩んでいる腰痛、肩こり、食いしばりといった身体の不調。
整体師やマッサージサロンに通うも、調子が良くなるのはその時だけ。翌日にはぶりかえすという、不調のループに見舞われている方は少なくないのではないでしょうか。
不調の主因は“あご”のゆがみにあり
多くの不調は「ゆがみ」から生じます。
骨盤や背骨のゆがみにアプローチする治療家は多いのですが、実は「あご」のゆがみから不調になる人が多数派なのです。
こう説くのは、さつま骨格矯正鍼灸整骨院(東京都渋谷区)の柔道整復師・薩摩宗治総院長です。
たとえば、猫背のような悪い姿勢をとると、どこかで身体はバランスを取ろうとします。
その1つがバランサーの役目を担うあごです。
生活習慣に問題があると、あごはゆがんでしまいます。
そこからさまざまな不調が生じるのです。
ですから、あごのゆがみを治すことで、長年の不調が改善されるということもよくあります。(薩摩総院長、以下同)
この考えをもとに薩摩総院長は、あごに重点的にアプローチする「さつま式メソッド」を編み出します。このメソッドにより、治らないとあきらめていた数々の人たちの不調や外見の悩みに大きな効果をあげています。
2022年12月には、「さつま式メソッド」のセルフケア集『90秒 あご筋ほぐし』(世界文化社)を出版。自分でできる不調改善法は多くの人から高い評価を得ています。

悪い姿勢がもたらす「あごのゆがみ」
今回は、「さつま式メソッド」の基本と実践について、薩摩総院長にうかがいました。
取材に同行したのは、ライフハッカー編集部・内藤。若いながら腰痛持ちで、あごのゆがみも気になっているそうです。
薩摩総院長はまず、内藤に「上の歯と下の歯が接触してますか?」と質問を投げかけました。
「わりと離れていますね」と内藤が答えると、薩摩総院長は「それはいいですね」とのこと。なんでも「前かがみの悪い姿勢だと、必ず歯はついてしまう」そうなのです。
続いて「舌は上あごについていますか?」という薩摩総院長の質問に対し、内藤は「ついています」答えました。
それはよかったです。
舌が上についていないと、舌の筋肉が弱っている証拠なのです。
そのままだと、顎関節症になる、強い肩こりが起きる、むせやすい、食いしばりとか、何かしらトラブルが出てきます。
特に食いしばりは、いたずらに交感神経を活性化しますが、それは常に緊張した戦闘態勢でいるような状態です。
ビジネスパーソンなら1日1、2時間なら、それでも構わないでしょう。けれども、1日中戦闘モードであれば、リラックスというのができません。それだと仕事のパフォーマンスも下がってしまうはず。
舌の状態ひとつとっても、1日のパフォーマンスに影響があるというのです。
現代人で、あごの状態が完璧にいい人は、おそらくいません。
だから、「これまで肩こりがまったくない」という人も非常に珍しい。
肩のこりとあごの問題は、必ず相関があります。同時に偏頭痛や耳鳴りになっている人もいますが、みな関連しているのです。
薩摩総院長は、このように舌を含めたあご回りの重要性を解説します。
「さつま式メソッド」をいざ実践
解説がひととおり済んだところで実践です。
『90秒 あご筋ほぐし』でも紹介されている、日中の歯ぎしり・食いしばり対策のセルフケアです。
薩摩総院長は、まず内藤の姿勢を診断。
前傾になっていて、さらに左側にずれているようです。
脚を組む癖があるのなら、それはやめた方がよいでしょう。
呼吸が浅めなので、まずは胸郭を広げて1回の鼻呼吸でたくさん空気を吸えるようにしたいと思います。
そう話しながら、セルフケアの準備を整えます。

ではこの姿勢から、口を開けて舌を出してみましょう。
その舌を上に上げましょう。
本当は90秒持続させるのが理想なのですが、最初からそれは大変なので、まず30秒やってみましょう。
こう指示を受けた内藤。慣れぬ舌根上げを、がんばって30秒続けます。
30秒後、「これはキツイですね。舌の裏側の筋肉をかなり使う感じがします」と内藤。薩摩総院長によれば、1回30秒、1日3回を2週間続けることで、効果が見えてくるそうです。
では読者の皆さんも、やってみましょう。若干異なる部分がありますが、以下『90秒 あご筋ほぐし』のメソッドの抜粋(102~103P)となります。
1. 椅子に浅く座り、背筋を伸ばす。体の後ろで利き手で反対側の手首を掴み下に引っ張る。自然に左右の肩甲骨が寄るのを感じて。
2. 腕を下に引っ張った姿勢をキープしてあごを上げ、舌を上に10秒あげる。舌と腕を引っ張り合うようなイメージで、あごと首、背中の筋膜のよれを取り、あごのリフトアップ力を取り戻す。

疲れ、ゆがんだ顎をリセット
続いて薩摩総院長から、「教えているなかで、一番多い」というセルフケアを見せていただきました。口の中に指を入れ、咬筋(下あごと上あごをつなぐ筋肉)にアプローチする方法で、疲れたり、ゆがんだ顎をリセットする効果があります。

取材の現場では、わかりやすいよう薩摩総院長が内藤の口内に指を入れていますが、1人で手軽に行えます。こちらも『90秒 あご筋ほぐし』から抜粋(100~101P)しましょう。
1. 左手の人さし指で、口の中から右の咬筋を押す。右手の人さし指はほおの表面から咬筋を押す。左右の指で咬筋をはさんで円を描くように回し、咬筋を10秒ほぐす。同時に硬直した翼突筋(噛む際にはたらく咀嚼筋を構成する筋肉)もほぐすことができる。反対側も同様に。


2. 両手をほおの側面にあて、外側から顔の中央に向かって10秒押し込む。整った顔の筋膜を両手でクセづけるように押すのがポイント

このように「さつま式メソッド」の一端を経験した内藤。終わったあとで、次のように感想を話しました。
全身のバランスが整ったような気がします。普段、どれだけ自分が傾いたスタンスで生活しているのか、再確認させられました。また、噛み合わせが良くなったように感じます。あご全体に、均等に力がかかっているようです。(内藤)
今回取材を行った筆者も、長年の肩こり・頭痛持ちという不調に悩まされている1人。
数々の整体師を訪れるも効果が見られず、最近はほぼ諦めていました。しかし、薩摩総院長の技法を間近で見て、「本物!」と実感しました。
まずは、『90秒 あご筋ほぐし』にあるセルフケアをひととおり実践し、そう遠くないうちに総院長の施術を受けるつもりです。
もし、同じような不調を抱えていれば、ぜひとも試してみることをおすすめします。
薩摩宗治
柔道整復師。さつま骨格矯正鍼灸整骨院・総院長。柔道整復の技術と口腔医学のエビデンス、37万人にもおよぶ臨床データをもとに、矯正術とセルフケア、ゆがみ予防の重要性を説いた「さつま式メソッド」を提唱。独自メソッドで、治らないとあきらめていた数々の顔や体の悩みに大きな効果をあげる。また、その技術の高さにより美意識の高いモデル・女優など、多くの著名人からも厚い信頼を得るとともに、幅広いメディアでも活躍。歯科医師を目指し、歯学部を卒業。同時に、積極的なセミナー開催するなど後進の育成に力を注いでいる。
Source: さつま骨格矯正鍼灸整骨院, Amazon