最近では、多くの日本人選手がMLBで活躍する姿を目にすることができます。
中でも大谷翔平選手は、投手と打者の二刀流をリーグトップクラスの高いレベルで両立し、「ベーブ・ルース以来」として注目されています。その活躍は、国内外を問わず連日のように報じられていますよね。
そんな大谷選手、岩手県の花巻東高校の1年生だった頃、すでに大きな目標を立てており、その多くを現在、実現しているのです。
そこで今回は、大谷選手の取り組みから目標設計や目標達成のために何が必要なのかについて考えていきましょう。
大谷選手が「マンダラチャート」に書いたもの
大谷選手が花巻東高校1年生のときに作成した「目標達成シート」は、経営コンサルタントの松村寧雄氏が開発した「マンダラチャート」を原型としています。
マンダラチャートはシートの中心に大目標、放射状に広がる周辺のマスに小目標を書くことで、各目標の関連性をわかりやすくしたもの。
それまで漠然としていた目標や目標が、その達成のために今何をやるべきなのか、一目でわかるようになります。
マンダラチャートの詳しい作り方は以前、こちらの記事でもご紹介しています。
では、実際に大谷選手が設定した目標について見ていきましょう。
フィジカル面の取り組みは数値目標を設定
大谷選手のマンダラチャートの中心には「ドラ1(ドラフト1位)8球団」と書かれており、その実現のための小目標には「運」「メンタル」「コントロール」「スピード160㎞」「人間性」「体づくり」「キレ」「変化球」などの項目が並んでいます。
アスリートとして成果を残すには、フィジカル面の向上が必要不可欠です。
「体づくり」「キレ」「スピード160㎞」などの目標のさらに外側には、重量上げの数値目標や夜7杯朝3杯食事をとることなどが取り組むべきこととして書かれています。
今でこそ193センチ、95キロというMLBの巨漢選手にも見劣りしない大きな体を持つ大谷選手ですが、以前は食が細く、高校に入るまでガリガリだったと母加代子さんは語っています。
高校時代の目標設定では、こうした自分の課題に向き合い、しっかり課題を反映していることがわかります。
これらの努力の結果、大谷選手は高校時代にすでに160kmのストレートを投げており、当時多くの話題を呼びました。
ちなみに、大目標だった「ドラ1」については、ドラフト前にMLB挑戦の意向を示していたことで多くの球団が指名を諦めましたが、日本ハムファイターズが単独指名を強行。
交渉の末、MLBで将来活躍するためのプランを示されたことで、日本ハムに入団しました。
メンタル面の目標は常に意識しておきたいことを設定
大谷選手は、メンタル面の目標として「一喜一憂しない」「雰囲気に流されない」「仲間を思いやる心」などの項目を記載しています。
また、別の項目では「礼儀」「思いやり」「愛される人間」「ごみ拾い」などの記載も見られ、高校生の頃からアスリートの模範になろうとしている姿が見てとれます。
実際に、MLBでは大谷選手が試合中にマウンドのごみを拾ったり、死球を与えた打者を気遣う姿も見られます。
学生時代から培ってきたアスリート精神が世界の称賛を集めているのです。
チームへの貢献は数字にも表れている
このように心身共にアスリートの規範となるべく努力を続ける大谷選手ですが、その結果は数字にも表れています。
2021年、チームの勝利への貢献度を表す指標であるWPA(ウィン・プロバビリティー・アデッド)でも2位以下を大きく離してのMLB1位。
MLBの記者であるマイク・ペトリエッロは、大谷選手の詳細なデータを分析した上で「2021年最高の選手」と称賛しています。
大谷選手は2017年11月11日、MLBへの挑戦を正式に表明した会見で、次のように語っていました。
プレイしているなかで、一番の選手になりたい。野球は何をもって一番かというのは計りにくいですけど、ファンの方やいろんな人たちから「彼が一番だ」と言ってもらうことは幸せなことだと思います。そういう選手を目指して頑張っていきたいです。(扶桑社BOOKS文庫『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』より)
その夢は、まさに実現に向けて進んでいるでしょう。
彼の目標達成への真摯な姿勢は、私たちも見習うべき点が多いのではないでしょうか。
──2021年9月7日の記事を再編集のうえ、再掲しています。
Source: PRESIDENT Online, MLB.com, 扶桑社
文:江連良介