季節はめぐり、再び3月。
この春から園芸に挑戦したいと意気込む人は、おそらくたくさんの疑問を抱えていることでしょう。
この記事では、春に庭仕事を始めるにあたり、植え付けのやりかたやタイミングについて、知っておきたいことをまとめました。
1. 春の植え付けを始める時期は?
3月に入り、もう少しすると本格的な春がはじまりますが、今の時期からではもう春の菜園づくりは無理だとあきらめる必要はありません。
実際には、季節の植え付けスケジュールは、住んでいる場所や育てたい作物の種類、さらには、新たな作物に合わせて事前に土壌の準備をしてきたかどうかによっても変わってくると、Jessica Woods氏は語ります。
Woods氏は、園芸を行うかたわら、都市近郊で鶏を飼育する人に向けた情報サイト「Chickens+You」を立ち上げ、自ら編集も行っています。
霜に遭っても問題なく育つ作物も多いのですが、『この冬最後の霜』が降りた後なら、安心して植え付けを始められます。
ですから、まずは自分の住んでいる地域で、最後に霜が降りる日の日付をチェックしてください。
収穫して、晩御飯のおかずとして味わうならどんな作物が良いのか考えるのはそのあとです。種まきをする予定日の2~3週間前から、土作りを始めておくよう、強くおすすめします。今の時点でまだ土作りの作業を済ませていないなら、より夏向きの野菜を植えるように、方針を変える必要が出てくるかもしれません。
2. 土の準備
春の作物を植える前には、多少の準備が必要です。ある日急に思い立って、冬の間ずっとほったらかしにしていた畑に出かけ、種を蒔くだけで済むとは思わないでください。
「春に向けた準備は、まずは掃除から始まります」
こう話すのは、熟練の造園家で、園芸のエキスパートとして「Earth's Ally」にも寄稿するAngelo Randaci氏です。
「園芸用のレーキで、昨秋から畑に残されていた余計なものをすべてきれいに取り除き、雑草も抜いてしまいましょう」と、Randaci氏はアドバイスしています。
次に、ストレートタイプの鋤(すき)やショベルを使って、地表から深さ8~10インチ(約20~25センチ)のところまで土を掘り起こします。
「土をひっくり返して、表面にあった土が、掘り起こしたところの底に来るようにしましょう」と、Stark氏がやり方を説明してくれました。
大きな土の塊は砕いて小さくし、土の粒をすべて同じくらいのサイズになるよう、均一に整えます。野菜の植え付け予定日の少なくとも3週間前には、もう一度土を掘り起こし、表土が底に来るようにすると良いでしょう。
こうして準備をしていると、土の中に残っている根っこをすべて取り除いてしまいたい誘惑に駆られるかもしれません。
でも、Fruit Growers Supply Companyでマーケティング・販売戦略部長を務めるJake Thill氏は、残っている根はちょっと引っ張ってみて、簡単に引き抜けるものだけを取り除けばそれで十分だと言います。
土の中に残っている根は、作物の生育を助ける微生物のエサになります。この微生物が、土を湿った状態に保ち、適度に空気が含まれた状態にしてくれるのです。
さらに、土壌のpHレベルを測っておくのも良い考えです。
pHレベルを測定するには、 自宅にあるもので簡単にできる方式から、市販のpH測定器を使うものまで、さまざまなやりかたがあります。
このトピックだけでもう1本記事が書けるほどですが、要するに、土壌のpHレベルがわかれば、植える予定の作物が必要としている条件にかなうよう調整できることを覚えておけばOKです。
Thill氏によると、pH値を上げる石灰や、酸性化の作用を持つ硫黄などを加えて、土壌を改良する必要が生じるかもしれないとのことでした。
ここまでの作業が済んだら、有機肥料や堆肥などで土に有機物を補うタイミングだと教えてくれるのは、園芸家で「Constant Delights」を立ち上げたJill Sandy氏です。
腐葉土や緑肥を使うのも良いですね。より自然ですし、土壌を植え付けに適した状態に整える能力も抜群です。
3. 計画を立てよう
さて、菜園の掃除も済み、土の準備も整ったら、今度は、整えた区画に何を植えるのかプランニングする番です。
まずは植えたい作物を選び、リストを作ります。種まきから育てる品種でもまだ間に合いますから、種から育てる作物もリストに入れておきましょう。早春に植えるのに適した作物には、ケールやラディッシュ、春タマネギ、ルッコラ、ホウレンソウなどがあります。種が入っているパッケージで、適切な植え時を確かめておきましょう。
種まきはあまり気が進まないという場合は、近所のホームセンターで苗を買うと良いでしょう。
苗から始めれば、1つ手間が省けますし、準備の遅れを一気に取り戻すこともできます。
「私は種から育てるのが好きですが、とても素晴らしい苗を種苗園で見かけると、つい買って帰って植えることがよくありますよ」と、Wood氏も補足説明してくれました。
4. レイアウトを決める
植えるものを決めたら、次は紙に見取り図を描くのがコツだと言うのは、ガーデニング専門家で、「Aspire Design and Home」が提供するウェビナーシリーズ「At Home With Joseph」のホストを務めるJoseph Marini氏です。
Marini氏は取材に答えて、レイアウト作成のプロセスをこう説明してくれました。
(直径が違うコインである)25セントと10セントと1セント硬貨を使って、見取り図に丸を描きましょう。これが、植える植物を表す印になります。その際、さまざまな種類の植物を互い違いに配置し、春から秋まで、花や葉がまんべんなく視界に入るよう気をつけてください。背の高い鑑賞用の草などを植えれば、冬の間も彩りを添えてくれるはずです。多年生の植物には、十分に葉を茂らせ、枝を伸ばせるだけのスペースを与えてあげましょう。こうした植物が成長して、数年後に株分けが必要になるまでの間は、あいたスペースに種や球根、一年草などを植えると、庭の見た目がスカスカになるのを防げます。新たな区画に植物を植える時は、それぞれの植物の鉢は、あえてバラバラのサイズのものになるように心がけています。こうすると、「いかにも植えたばかり」という印象を和らげられるからです。一部の多年生の品種については、成長がある程度進んだ大きめサイズの鉢を用意します。また、成長が速いものは、小さな苗から育てるようにしています。
5. 長期的な日当たりや影も考慮しよう
Marini氏によれば、庭をプランニングするときに一番大事な要素は、各エリアにどれくらい日が当たり、影になるかという点です。
(植え付けの時期には)、木々はまだ葉がない状態なので、(木の周囲も)最高に日当たりが良い場所に見えるでしょう。でも2カ月も経てば、頭上の木が成長して葉を茂らせ、日陰になってしまうのです。
つまり、こうしたところに植えた場合、日光を好む植物は植え替えが必要になるということです。
シェードガーデン(直射日光があたらないところにしつらえる庭)でない限り、ほとんどの多年草、一年草、野菜類は、1日あたり6~8時間の日光を必要とします。これは、直射日光でも、木漏れ日でもかまいません。
6. 春に植えるべきおすすめの植物は?
こちらも、住んでいる場所や、庭造りに着手した時期によって違ってきます。
加えて、初春の気まぐれな天候に耐えられるかどうかは、植物の品種によって大きな差があります。
また、チューリップやスイセン、ヒヤシンスなど、春の定番とされている花々の中には、昨秋のうちに球根を植えておき、冬を越させないと花が咲かないものもあります。
ということで、今から庭仕事にとりかかる場合は、こうした花を楽しむのは来年までおあずけとなるわけです。
とはいえ、今からでも間に合う、春の庭や菜園にぴったりの植物はたくさんあります。米Lifehackerで話を聞いた専門家たちが勧める野菜や花は以下の通りです。
野菜
- ブロッコリー
- キャベツ
- レタス
- コラード・グリーン(不結球キャベツ)
- エンダイブ
- ケール
- からし菜
- エンドウ豆
- ホウレンソウ
- スイスチャード
- 豆類
- ルッコラ
- ラディッシュ
- リーキ
- ジャガイモ
- アーティチョーク
- アスパラガス
- ビーツ
- ニンジン
- セロリ
- 青ネギ
- 一部のハーブ(パセリ、セージ、ローズマリー、ミント、オレガノ)
花
- パンジー
- スミレ
- ボタン
- アスチルベ(アケボノショウマ)
- フウロソウ
- ブルーベル
- セツブンソウ
- ジューンベリー
- ヘザー
- ケマンソウ
- クレマチス・モンタナ
- お住まいの地域に自生している花々
最後に強調しておきたいのは、園芸には試行錯誤がつきものだという点です。特に初心者なら、失敗は避けられないでしょう。
1回目の挑戦で、夢見ていたような緑豊かな菜園や庭を作り上げるのは、かなり難しいはずです。
でも、菜園や庭を手入れする行為そのものにストレス軽減効果があることも、覚えておいてください。
つまり、そうした作業から得られる成果は、とれたての農作物だけに限られない、ということです。
──2021年3月21日公開記事を再編集して再掲しています。