道なき道を拓き、未だ見ぬ新しい価値を世に送り出す人「起業家」。未来に向かって挑むその原動力は? 仕事における哲学は…? 時代をリードする起業家へのインタビュー『仕事論。』シリーズ。

今回は、革小物やベビー用品など様々なブランドの運営、および他社ブランドへの支援事業を行なっているMOON-X株式会社(ムーンエックス)代表の長谷川晋さんにインタビュー。

Facebook Japanの代表取締役を退職し起業に至るまでの話や、現在の事業で叶えたいことなどを伺いました。

人生はプロジェクト。計画の1つに「起業」があった

──起業したきっかけを教えてください。

起業の原点になっているこの「学びの蓄積ノート」と、現在までのキャリアから得た「気づき」が起業のスタートです。

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長谷川さんの「学びの蓄積ノート」
長谷川さんの「学びの蓄積ノート」
長谷川さんの「学びの蓄積ノート」
長谷川さんの「学びの蓄積ノート」
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長谷川さんの「学びの蓄積ノート」
長谷川さんの「学びの蓄積ノート」
長谷川さんの「学びの蓄積ノート」

僕のこれまでの経験のなかでインパクトが大きかったことのひとつに、P&Gに入社してプロジェクトマネージメントの手法を学んだことがあります。「これは、本当にすごい!」と。

プロジェクトマネージメント=「プロマネ」とは、プロジェクトの成功確率を上げるための手段ですが、この手法は人生にも取り入れられるのではないかと考えたんです。そうすれば、人生の成功確率が上がるはず、と。

まずは、人生計画や学んだことを書き溜めていく「学びの蓄積ノート」をつくり、いつまでにどうするべきかというマイルストーンをひきました。人生の成功を定義したわけですが、その節目に「35歳での起業」を設定しました。

自分で事業を起こしてビジネス界でガチンコの勝負をしたい。そして、その勝負をして納得をしたあとには、パッションを感じるものへエネルギーのすべてを注ぎたいと思ったんです。この思いが起業の原点になっていますね。

もうひとつは、日本のものづくりのすばらしさに気づいたことです。

Facebook時代に関わった「地方創生プロジェクト」にて、日本のクラフトマンシップに感動すると同時に、「もったいない!」と感じました。「いいものをつくっていらっしゃる方々のなかには、発信やデジタルの活用にまでは手が回らず、ビジネス機会を逃している方も少なくないのではないだろうか?」と。

つくり手の方と、僕のようなインターネット業界出身者が組めば、世界で通用するブランドがつくれるのではないか。それが、MOON-Xのビジネスモデルになっています。

──ご自身の人生を「プロジェクト」と捉えたのはいつごろですか?

26歳の時です。

実は、人生の最終的な目標は、孫に囲まれて「じいちゃんの人生、かっこええやろ!」と言いたいだけだったりします(笑)。

でも「蓄積ノート」を書きはじめたおかげで、自分はどう生きたいのかが分かりました。それがとても重要なことだと思っています。

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ミッションは「ブランドと人の発射台」
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