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『人を「惹きつける」話し方』(佐藤政樹 著、プレジデント社)の著者は本書の冒頭で、自身のキャリアについて次のように記しています。
飛び込み営業でトップクラスの成績を収め、「劇団四季」で主役を務め、現在では延べ300社3万人のビジネスパーソンに指導する研修講師として全国を飛び回り、「話すこと」を自分のビジネスにしております。
プレゼンの殿堂「TED x」にも出演し、日本人としては異例の35万再生を超えました。(「はじめに」より)
いかにも話すことが得意そうなので、こうした書籍を書いたことにも理解できるのではないでしょうか。ところが、もともとは極度の人見知りだったのだとか。口下手だったため就職活動はうまくいかず、アルバイトとして就いた営業職でも結果を出せず、以後もさまざまなアルバイトを転々としたそうなのです。
しかし、そうした過程のなかで“話し方の手法”を独自に生み出し、劇団四季の浅利慶太さんから直接教わった「伝えることの本質」をもとに、「人を惹きつける話し方」を身につけるに至ったというのです。つまりここでは、そのノウハウをまとめて紹介しているわけです。
「人を惹きつける話し方」には、生まれ持ったセンスも、精神論的な訓練も必要ありません。口下手でも人見知りでも極度のあがり症でも身につけることができます。
それは、私自身が、どん底の状態から多くの失敗や成功を繰り返したなかで見つけ、身につけてきた、再現性の高い「技術」に落とし込んでいるからです。(「はじめに」より)
ところで著者はここで、「実感」の重要性を説いています。心の底からあふれる真実の想いである「実感」こそが、人を惹きつける話し方には重要だということ。
そこで第2章「人を惹きつける人は『発声より“発想”を大切にする』のなかから、⑤「『実感して語る』ための4ステップ」に注目してみたいと思います。
STEP 1 「なぜ話すのか?」理由を掘り下げる
話すことが仕事の一環である以上、あえて「なぜ話すのか?」と考える機会はあまりないかもしれません。しかし、ことばを発する理由に立ち戻って、それを掘り下げることは大前提なのだと著者は断言しています。
たとえば組織に属している場合は、企業理念や事業ミッションのなかに、エンドユーザーが得られる価値が隠されているもの。したがって、それを自分ごととして捉え、信念にするべきだというのです。
なお著者はここで、「ことばを発する理由を「実感」するための質問リスト」を提示しています。
◯あなたは誰のどんな悩みを解決できますか?
◯相手がまだ気づいていない問題はなんですか?
◯話を聞いた相手のどんな手助けをして喜んでもらっていますか?
◯あなたの話は相手にどんなメリットや利益をもたらすことができますか?
◯話を聞いた人にどうなってもらいたいかを一言で表現すると?
◯話を聞いた人はどんなプラスの感情を得られますか?
◯その企画が実現したら社会にどんなよい影響が出ますか?
◯あなたのサービスは地域や社会にどんな貢献をしていますか?
このような理由でも問題ありません。
◯自分の話し方が変わり結果が出たら、誰に報告しますか?
◯恩返しする人は誰ですか?
◯できない自分を見捨てなかった人はいませんか?
◯苦しいときにあなたを助けてくれた人はいませんか?
(52〜53ページより)
これらについての答えこそが、自分が実感して語るための土台だということです。(82ページより)
STEP 2 「腹落ち」して話せるよう徹底的に情報をインプットする
著者は「惹きつける話し方」をするうえで重要なポイントとなる部分を、「腹の意識」と呼んでいるそう。なお、腹に意識が向いているときとは、次のようなときを指すようです。
◯やると決めたことや覚悟が決まったことを話している
◯自分が克服したことや苦難を乗り越えた経験談などを話している
◯ありのままの自分として、余計な力が抜けている
(69ページより)
「腹に落ちる」とは、こうしたことばを発する理由を腹に満たし、理解・納得できている状態。そして、もちろん自分の扱うサービスや商品の知識、開発背景などの情報についても同じ。なにを聞かれても動じないほどの圧倒的な知識を、まずはインプットするべきだということです。
なお、その際にはSTEP 1の「なぜ話すのか?」=“ことばを発する理由”を掘り下げておくと、インプットの質とモチベーションが上がるそうです。(83ページより)
STEP 3 自分の経験・体験談とひもづける
著者は、日ごろからリアルな経験談を集め続けることを勧めています。なぜなら経験や体験談のストックと話す内容とを関連させると、自然と「発声と発想」が一致し、「実感」につながっていくから。
経験談のみならず、体感したこと、逸話、失敗して学んだこと、チャレンジしていること、克服したこと、感動した話、お客様から直接いただいたことばなど、あらゆることが活用できるわけです。(84ページより)
STEP 4 飾らず、演じず、淡々と自分のことばで語る
大切なのは、別人を装ったりせず、演じもせず、“等身大の自分”で相手と向き合って、淡々と自分のことばで語ること。「うまく話そう」「よくみられたい」「評価されたい」「バカだと思われたくない」など、自分都合の考えをすべて捨て去る必要があるということです。
等身大の自分を見せるのは、怖いことかもしれません。しかし最終的には、別人を装って関わるよりも気持ちが楽になるもの。だからこそ、ありのままの自分で淡々と語るべきなのです。(84ページより)
本書が説得力を感じさせるのは、失敗を含めた著者自身の経験がバックグラウンドになっているからこそ。「話が伝わらない」「聞いてもらえない」というような悩みを抱えている方は、手にとってみてはいかがでしょうか?
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