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「テキストコミュニケーション力(テキコミュ力)」
この言葉にピンとこなくても、今やビジネスツールとして、メールに加えてチャットが欠かせない人は多いのではないでしょうか。
チャットなどを使って、テキストで気軽にやりとりをする場面は、働き方が多様に変化している現在、プライベートだけではなく、ビジネスの現場でも急速に広がっています。(「はじめに」より)
『テキストコミュニケーション力の基本』(小澤美佳 著、日本実業出版社)の著者はこう指摘しています。たしかにそのとおりですが、それらコミュニケーションツールが浸透するなか、「テキストで指摘をしたら険悪なムードになった」「誤解が生じてしまう」「相手の感情がわからない」などの問題が生じているのも事実。
書き方のルールが確立されているわけではないので、ともすれば齟齬が生まれてしまいがちなのです。それは仕方がないことでもあるのですが、とりわけ複数の人たちが共存する組織内においては必要以上のストレスを生み出しかねません。でも、どうすればいいのでしょうか?
オフィスでのコミュニケーションは、大きく「業務の話」「ちょっとした相談」「雑談」の3つで成り立っています。
オンラインでも業務の話はするものの、ちょっとした相談や雑談までカバーできると、テキストコミュニケーションで悩むことはぐっと減るはずです。(「はじめに」より)
テキストコミュニケーションは、スキルを磨くほど上手になるもの。そしてポイントは、「相手への配慮」と「具体的」の2つ。「受け取る相手がどういう気持ちになるか考える」「想いまで含めて具体的に伝える」を意識するだけで、テキストでのやりとりは格段にスムーズになっていくということです。
そうした考え方に基づき「気持ち良く働くためのヒント」をまとめた本書のなかから、第2章「言葉で体温まで伝わるか〜書く前の大事な心構え〜」に注目してみましょう。
「察してほしい」という考えは捨てる
顔を合わせて話をする場合には、相手がニコニコしているのか、ムッとしているのかなど、感情の機微を表情や目線からうかがい知ることができます。
しかし、相手が目の前にいないテキストコミュニケーションの場合、文字以外の視覚情報や聴覚情報は皆無。したがって、相手に対する以下のような期待は捨てるべき。
▶︎察してほしい
▶︎きっとわかってくれる
▶︎言わなくてもわかるよね
▶︎それぐらい気づくでしょ
(49ページより)
こうした意識を前提にしてしまうと、相手から「そんなこと、わかりませんよ!」と反発されても不思議ではありません。
そこで誤解を生まないためにも、テキストコミュニケーションでは「あえて、ことばにする」ことを意識するべきなのです。
例:仲間から指摘を受けた場合
相手:期日は昨日の午前中でしたよね。期日をすぎてもひと言もないのは、どうかと思います。
×悪い返答:申し訳ございません。でも、こちらもA案件の業務で手一杯だったんです。(50ページより)
この返答の問題は、一応謝ってはいるものの、その理由のなかに「察してよ」という思いが込められていて、単なる言い訳に見えてしまう点。
そのため以下のようにまず誠意を尽くして誤り、事情や経緯についてきちんと伝える必要があるそうです。
○よい返答:申し訳ありませんでした。A案件の業務に手一杯で、連絡をすっかり失念していました。今後は、このようなことがないよう気をつけますね!(50ページより)
「謝る」「原因を伝える」「間違いを繰り返さない意思」をきちんとことばにすれば、相手の納得感も高まるということ。相手の立場に立って「伝えようとする」ことで「伝わる」わけです。(49ページより)
超基本「伝わるか・わかりやすいか・気持ちよく動けるか」
リアルの場では、話の流れや状況に不明な点があってもその場で確認することが可能。ところがテキストコミュニケーションでは、ひとりよがりで一方通行にならないように、相手の理解を主軸として円滑なやりとりを心がける必要があります。
たとえば次のやりとりでは、CさんがAさんとBさん双方の発言に対して承知しているのか、Bさんの発言に対してのみ承知しているのかがわかりません。
A:○○の企画書を加筆修正しました。お手すきの際にご確認いただけると助かります。
B:承知しました。ところで、△△の案件の打ち合わせ日時はもう決まりましたか?明後日までにご確認いただけますでしょうか。
C:承知しました。
(54〜55ページより)
チャットでは、こうしたケースがしばしばみられるそう。
だからこそ、相手の立場に立って、次の3つを意識しながら発言する必要があるといいます。
▶︎その内容は、相手に伝わるか?
▶︎その内容は、わかりやすいか?
▶︎その内容を受けて、相手は気持ちよく動けるか?
(55ページより)
このやりとりでは、次のようにすればいいわけです。
A:○○の企画書を加筆修正しました。お手すきの際にご確認いただけると助かります。
B:承知しました。ところで、△△の案件の打ち合わせ日時はもう決まりましたか?明後日までにご確認いただけますでしょうか。
C:Aさん、承知しました。←誰に(名前)明日の午前中に確認いたします!
B:承知しました。ところで、△△の案件の打ち合わせ日時はもう決まりましたか?明後日までにご確認いただけますでしょうか。
C:承知しました。←誰に(引用)
たしか昨日、Dさんがクライアントとそのやりとりをしていたので、このあとすぐに確認して共有します!
(54〜55ページより)
このように、「誰に」を明確にすればよいということです。(54ページより)
著者が所属する組織では、創業当初からフルリモートでの仕事が基本なのだとか。仕事の99%をオンラインツールでこなすことでノウハウが蓄積され、多くのスキルが身についたそうです。
つまり本書には、そうして得たノウハウが凝縮されているわけです。誤解を生みやすい状況を改善するためにも、ぜひ参考にしたいところです。
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「毎日書評」をVoicyで聞くSource: 日本実業出版社