良い習慣を身につけるのと同じくらい難しいのは、すでに身についた悪い習慣をやめることでしょう。
筆者の場合、夜に軽食をつまみながら動画サイトをダラダラと観てしまう悪習慣がありました。
1日の仕事が終わったあとの気晴らしというふうに考えれば、悪くもない習慣かもしれません。でも、それに2時間もかけるのはちょっと問題…。そう実感しているのに、なかなかやめられません。朝の決意が夜になると揺らいで、自分に負けてしまうのです。
悪習慣と縁を切る方法として、「それをすることのハードルを上げる」というのが、よく知られています。
たとえば、「長時間のスマホいじりをやめたい」のであれば、「スマホを手の届きにくい高い場所にしまう」といったものですね。
しかしこの方法は、心理学的には一部の人にしか効果がないそうです。自分もそうでした。
悪習慣の代替行動を探そう
ヒントは、ライフハッカーの過去記事「誘惑に負けず、4ステップで暴飲暴食と夜更かしをやめる習慣」にありました。ここに、「悪習慣と同じような心理的メリットが得られる代替行動を探します」とサラリと書かれていますね。
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「代替行動」がキーワードです。これは認知行動療法の用語ですが、難しい話ではありません。上の記事には次のような説明があります。
たとえば、飲食はやめるわけにはいかないので、帰宅途中にスポーツジムで汗を流してストレスを発散。飲み会の参加率を下げてみる。
自宅で食べ過ぎてしまう場合は、口寂しさを紛らわすためにガムを噛んで欲求を満たすことなどが考えられます。
つまり、悪習慣とは別の習慣に入れ替えてしまうのです。そうすれば、悪習慣をする時間もないので、やがて悪習慣を卒業できるという理屈。
代替行動は、欲求が満たされないと挫折する
ただし、代替行動を設定するにはコツがあって、次の点に留意する必要があります。
- 悪習慣をすることによって、どんな欲求が満たされていたのかよく考える
- その欲求は、別のどんな好ましい習慣によって得られるか探す
- その好ましい習慣の候補は、得意あるいは興味のあることか?
筆者の「動画サイトを長時間観る」悪習慣を例に説明しましょう。
悪習慣とはいっても、気分転換ができるという欲求は満たされていました(肩こりや睡眠不足といったデメリットがあったとはいえ)。だから、その欲求を満たせるとは思えない、「代わりに資格の勉強をする」といったものでは、まず挫折するでしょう。
そこで、「気分転換」になる別の好ましい習慣を見つけなくてはならないのです。
筆者の場合、それは柔軟体操と筋トレでした。今までそれは朝やっていましたが、「夜の時間帯に移してみてはどうだろうか」と思ったのです。
とりあえず、実行に移してみました。結果、半分はうまくいきましたが、半分は失敗しました。
どういうことかというと、筋トレをしたあとに動画サイトを見てしまうのです。それでも視聴時間はいくぶん減らせましたが…。
たしかに柔軟体操と筋トレをすれば、気分は多少高揚し、「気分転換」にはなります。しかし、義務感のほうが強く、動画視聴と完全に代替するには厳しいものがあったのです。
興味のあることをやってみる
そこで、3つめの条件の「得意あるいは興味のあること」に注目。
1月に刊行された、『脱ダラダラ習慣! 1日3分やめるノート』(中島美鈴/すばる舎)には、次の記述があります。
多くの人は「得意なこと」「興味のあること」を問われても、戸惑うものです。「そんなの特にない。人に誇れるような特技も何もないから資格の勉強でもしようと思っているのに」などという声が聞こえてきそうです。
そんなにハードルを上げなくても大丈夫です。人に誇れなくても、自分の中で比較的得意なものを探せばいいのです。(本書62pより)
その探し方として本書では、幸せだったころ、不幸せだったころを振り返り、幸せだったころに共通する要素を見つけ出すことがすすめられています。それが、得意・興味のポイントなのだそうです。
これを読んで、はたと思い出したのは、かつて自分は抽象画に興味があり、それを描く練習をしていたことです。
日常の忙しさにかまけ、すっかり忘れていたの思い出しました。
そこで、すっかり埃をかぶっていた画材を取り出し、デスクの脇に置き、夜になったら少しでもいいから練習するようにしました。
最初は、動画サイトをBGM代わりにしながらでしたが、やがてそれなしでも練習に熱中できるようになりました。
かくして、紆余曲折はあったものの、動画サイトをダラダラ観る悪習慣を克服することができたのです。
やめたいけど、やめられない習慣から抜け出したい方に、この代替行動という手法は非常に役立つと思います。
多少時間はかかると思いますが、心理学的にも確実性の高い手法であるといいます。ぜひともチャレンジしてみてください。
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