自分の体験を「3ステップ」で考え直してみた
筆者が、米国系航空会社で空港スーパーバイザーとして勤めていたときのこと。性別と仕事におけるアンコンシャスバイアスについて、とても印象に残っている出来事があります。
搭乗口カウンターにいた筆者(女性)と、男性地上係員(筆者より年上)の元に、ある男性のお客さんが来ました。
お客さんは男性係員がスーパーバイザーだと思って彼に話しかけたようで、係員が「この人(筆者)がスーパーバイザーです」と伝えたら、その人はすごく驚いていました(私が女性で、しかも年下だから部下だと思ったのね…)。
でも、自分が相手の立場だったら、自分だって男性のほうが上司だと思い込んだかもしれません。
Valeriesさんのステップを使って、当時のお客さんの立場を考えてみましょう。
ステップ1:視覚化する
これから空港に行く予定があります。空港には男性のスーパーバイザーもいれば女性のスーパーバイザーもおり、年齢も様々である可能性を想像します。
ステップ2:考察する
実際の状況においてまず思ったことを、言動に移す前に考察します。
搭乗口で航空会社の中年男性社員と30代女性社員を目にしました。「男性が上司だろう…いや、若い女性が上司である可能性もある」と考えます。
ステップ3:標準化する
思い込みから行動する前に、「2人のどちらかがスーパーバイザーですか?」「スーパーバイザーと話したいのですが…」と尋ねることができます。
女性がスーパーバイザーだったら、女性のスーパーバイザーの可能性がその人の中で少なくとも少しは「標準化」され、「空港スーパーバイザーには女性もいる」という経験が(相手を不快にすることなく)得られます。
こうした行動と意識を繰り返していけば、自分の中で「女性のスーパーバイザー」も「男性のスーパーバイザー」と同じように、「当たり前(the expected)」になっていきます。
違う視点を持つ人の意見に積極的に触れよう
上の3ステップを強化する方法として、「ハーバード・ビジネス・レビュー」にあった方法も追加で提案させてください。
それは、自分と異なる人たちの意見に積極的に触れるということ。
いつも自分の関心のあることや共感する情報に惹かれて、これは意外と行なわれていないのではと思ったのです。
アンコンシャスバイアスに気づいたとき、あえて違う視点の意見を探して読んでみることは比較的簡単にできます。
男性なら、女性の体験談を読んだり、周囲の女性に意見を聞いてみる。女性なら、たとえば「男性が仕事をして家族を支えるべき」という従来のものとは異なるライフスタイルの男性の話を探して読んでみることができます。
そうすれば自分の視点が広がり、また相手の立場も理解できるようになるでしょう。皆がそうしてお互いに少しずつ歩み寄っていくことのメリットは、きっとあるはず。