国際女性デーをきっかけに、働き方や生き方に対する多様性を考える週としているライフハッカー・ジャパン。

アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」をテーマにした今回、前編では、欧米にも性別についての無意識の偏見が存在することを、フィンランド・マリン首相とニュージーランド・アーダーン前首相の例を挙げて考えました。

▼前編はこちら

「年齢が近いから会談したのか?」マリン首相が記者の質問に苦言を呈したわけ | ライフハッカー・ジャパン

「年齢が近いから会談したのか?」マリン首相が記者の質問に苦言を呈したわけ | ライフハッカー・ジャパン

「どんな人を思い浮かべたか」でわかる、あなたの思い込み

誰にでもあるアンコンシャスバイアス。「アンコンシャス(無意識)」というだけあって、自分で気づくのは結構難しいときもあります。

アンコンシャスバイアスへの対処法について、TEDに秀逸な動画がありました

登壇者はValerie Alexanderさん。著者でもあるテック企業のCEOです(動画公開の2018年当時)。

彼女は、まず聴衆に目を閉じてあるシナリオを思い浮かべるように促します。

そのシナリオとは、次のようなもの。

「出張のために空港へ行き、乗ったフライトで機長から挨拶された。

旅先でレストランに行ったら、隣のテーブルでカップルが記念日を祝っていた。

その翌日出席したテックコンベンションで、注目企業のCEOが登壇した」

さて、皆さんはどんな人を思い浮かべましたか?

Valerieさんは、「機長は黒人でしたか? カップルは男性の同性カップルでしたか? CEOは中年女性でしたか?」と聴衆に尋ねます。

ちなみに、筆者(米国在住)のイメージはこんな感じでした。

  • 機長 → 中年の白人男性
  • カップル → 30代の白人男女
  • CEO → 中年の白人男性

でも、特に米国では、先述のValerieさんのシナリオも大いにあり得ます。実際、機長やCEOが中年男性である確率は高いでしょう。でも、思い込みにより一定の考えだけを採用して、ほかの可能性には気づきもしないところに問題があるのだと気づかされます。

Valerieさんは脳の仕組みに触れ、見慣れないことや予想外のことに対しては闘争・逃走反応が起こり、ストレスを感じると解説します。

その仕組みは変えられないけれど、無意識の反応のトリガーとなる「the unexpected(意識していないこと、予想外のこと、馴染みのないこと)」を、「the expected(当たり前のこと、期待範囲のこと)」に変えていくことが、社会が向上し続けていくための唯一のソリューションだと述べています。

無意識の偏見を「意識」して、言動を変える3ステップ

Valerieさんが動画で提案する、アンコンシャスバイアスに気づいて方向修正する方法は次の通りです。

ステップ1:Visualize(視覚化する)

1日の予定について、起こる前にその状況を視覚化(イメージ)してみてください。

(中略)それがどんなものであっても、自分の持つイメージを変えてみましょう。異なる可能性に対してオープンになるのです。

ステップ2:考察する(Examine)

予期せぬ事態に遭遇したときは、勇気を出して自分の行動を見直しましょう

相手が自分と同じような人だったらどのようにやりとりをするか、また、相手が自分と違うタイプの人だったらどう対応するか、自問してみてください。

ステップ3:標準化する(Normalize)

今は「unexpected」に分類されるが、そうである必要がない物事に、自分自身や子どもたち、ほかの人たちが触れる機会をつくるよう、努めて意識してみましょう。

ポジションにふさわしい能力を持ち、社会基準に挑戦している。そんな従業員を雇ったり、企業を支援したり、候補者に投票しましょう。

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筆者の体験を「3ステップ」で修正してみた
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