ChatGPTを超える!」と大きな話題となっているBingのチャットAI

実際に使ってみて感じたメリットや、従来の検索との使い分けについてまとめました。

知らないと損をする! ChatGPTの生産性向上ハック10選 #TrendBuzz | ライフハッカー・ジャパン

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チャット形式で知りたいことに答えてくれる

公式ページからウェイティングリストに登録し、利用が可能になると、Bingの検索結果右側にチャットウィンドウが現れます。

なお、現状では対応しているのはWindowsのEdgeのみのようです。「さらに見る」→「チャットしましょう」でチャット画面に移動できます。

Screenshot: 酒井麻里子 via Bing
Screenshot: 酒井麻里子 via Bing

ちなみに、検索結果にチャットのウィンドウが表示されない場合は、設定の「ラボ」から「結果ページのチャット応答」で「より頻繁に」を選ぶと表示されやすくなるようです。

Screenshot: 酒井麻里子 via Bing
Screenshot: 酒井麻里子 via Bing

BingのAIチャットの特徴は、Web検索の結果が回答に反映され、どのサイトを参照しているかも明示される点です。たとえば、「文章生成の発展で、人間の働き方はどう変化するか?」を質問すると、こんな答えが返ってきます。

Screenshot: 酒井麻里子 via Bing
Screenshot: 酒井麻里子 via Bing

さらに、「文章生成AIを使うことのリスク」について質問すると、箇条書きでリスクを挙げたうえで、見分け方まで教えてくれました。

Screenshot: 酒井麻里子 via Bing
Screenshot: 酒井麻里子 via Bing

こんな感じで、知りたいことを人に聞くような感覚で手軽に調べられるのが魅力です。

ChatGPTの弱点をカバー

BingのチャットAIに先がけてブームになったChatGPTの場合、Webの情報を参照できないことが弱点でした。

ChatGPTで使われているモデル「GPT3.5」が、2022年初頭までのデータしか学習していないため、最近の話題に対応することはできないのです。

たとえば、2022年夏に登場した画像生成AIの「Stable Diffusion」についてChatGPTに質問すると、こんな的外れな答えが返ってきます。

Screenshot: 酒井麻里子 via Bing
Screenshot: 酒井麻里子 via Bing

「Stable Diffusion」というサービスの存在を認識していないために、Diffusion(拡散)についての話題だと認識したようで、何やら専門的なことを答えてくれましたが、知りたいのはそういうことではありません。

一方で、BingのAIチャットでは、Webページを引用しながらテキストから画像を生成できるAIであることをしっかり答えてくれました。

Screenshot: 酒井麻里子 via Bing
Screenshot: 酒井麻里子 via Bing

この後、続けて使い方を尋ねると、プログラミング言語のPythonが必要との回答。Pythonが分からないと返すと、ブラウザから使えるデモサイトの存在を教えてくれました。さらに、どんな画像を作りたいか伝えるとプロンプト(指定するテキスト)に何を入力すればいいかまで教えてくれました。

「調べものをするツール」として実用的なのは間違いなくBingのAIチャットのほうだといえます。

「代わりに検索してくれる存在」としてつき合う

では、「どんなことでもAIに聞くだけで解決する」時代になったかというと、そうではないと思います。BingのチャットAIはあくまでも「代わりに検索してくれる存在」に過ぎません。

人間が調べものをする場合、多くの場合は次のようなプロセスを経るのではないでしょうか?

1.キーワードで検索する

2.検索結果の一覧から、欲しい情報が載っていそうなページを開く

3.ページ内容を読み、必要な情報が書かれている場所を見つける

4.情報が足りなければ2に戻り、他のサイトでも同じ作業を繰り返す

BingのAIチャットは、この一連の作業をまとめて代行してくれるような存在です。でも、回答の「元ネタ」はあくまでもインターネット上の情報。そして、その情報が必ずしも正しいとは限らないのです。

「物知りっぽく見えるけど、実はネットの受け売りで話しているだけの人」という感じでしょうか。

チャットは「正解」を教えてくれるものではなく、検索の手間を省くためのツールと考えるのがよさそうです。

「検索は完全に不要」というわけにはいかないかも

BingのAIチャットは、特定のトピックについてざっくり知りたいという場合には、従来の検索より格段に楽に情報を得ることができます。

一方で、仕事使う資料を作るためにリサーチしている、医療や健康に関することを調べているなど、間違った情報を慎重に切り分ける必要がある状況で使うには、あまり向いていないかもしれません。

たとえば、医療や健康に関する情報なら厚生労働省や医療機関のサイトを見る、ある企業の経営方針についての情報を集めているなら、その会社の公式サイトや信頼できるニュースサイトを開くといった情報収集の仕方をすることが多いと思います。

そのように「どのサイトを参照するかを自分で選びたい」というケースでは、従来どおりの検索のほうが早く確実に必要としている情報にたどり着くことができます。

「AIチャットが普及すれば従来型の検索は不要」というわけではなく、目的に応じて使い分けされるようになるかもしれません。

とはいえ、対話型の文章生成AIがこれからさらに盛り上がっていくことは間違いないと思われます。Googleも会話型AIサービス「Bard」を発表しています。また、ChatGPTや同系列のモデルであるGPT-3を使ったサービスも続々登場しています。

ネットが普及し、「わからないことはとりあえず検索する」が当たり前になって久しいですが、そんな情報収集のあり方が大きく変わっていきそうです。

Source: Microsoft