そこで、デジタルを用いた変革に実際に携わったとなれば、ほかの会社からも評価される「DXの実績」となることでしょう。

もし、会社の体質が古すぎてそれが難しいという場合は転職を考えてもいいと思いますが、まずは今いる会社の変化を生むことに自分がどう寄与していくのかに目標設定することをおすすめします。

これからの時代に必要とされ続けるために不可欠な能力とは?

これからの時代に必要とされる人材であり続けるためには、変化に適応できる能力が不可欠だと石原さんは話します。

たとえば、上の世代は「リモートワークではチームワークは高まらない」と考えているかもしれませんが、リモートワークが当たり前になっている若手は、「その場その瞬間」ではない「非同期」のコミュニケーションの力が高くなっていますし、翻訳ツールなどを利用して、海外の同僚とも難なくやり取りしているかもしれません。

自分の知っている常識、自分がやってきたことに頼りすぎることは、変化への対応に遅れをとる原因になるといいます。

私が意図的に実践しているのは、新しいデジタルツールはまず使ってみることです。たとえば今なら、ChatGPTや画像生成AIなどのツールを試してみる、AIアバターを作ってみるといったことでいいのです。

どんな変化も、面白そう、やってみたいとポジティブにとらえてポジティブに対応していく姿勢が大切です。

テクノロジーの進化が著しい今の時代、ついていくことが大変だと感じるかもしれません。しかし、逆にとらえればさまざまな仕事や職業が変わり、新しいチャンスが生まれ続ける時代でもあるということ。

今の自分のスキルや強みを冷静に見定めつつ、最も相乗効果が高そうなものを狙って効率的に学び続けること。そうすれば、想像しもなかった新しいキャリアが開けるのではないでしょうか。

「自分だけのリスキリング戦略」の立て方ポイントまとめ

  • デジタルによるビジネス環境の変化は早く、人々に求められる職業能力も大きく変わってきている。そんな時代でも生き残っていけるスキルを身に付ける必要がある、ということで注目されているのがリスキリング。
  • 現代のビジネスパーソンに求められるリスキリングとして、「使いこなしのリスキリング」「ビジネス変革のリスキリング」「ジョブチェンジのリスキリング」の3つがある。
  • 今の自分のスキルが会社の外でも通用するものかどうかを見直すことが重要。マーケットにおける自分の現在地を知ることがリスキリング戦略のスタートになる。
  • 今のデジタル時代に適応していくためには、「デジタルで何ができるか」を知る機会を持つことが重要になってくる。仕組みを理解することでデジタルを「使いこなせる」ようになる。
  • スキルを身に付けたら、まずは今いる会社でできることを探そう。会社のDX戦略と自分のキャリア戦略を重ね合わせることがベスト。そこで結果を残すことが社外でも通用する「DXの実績」となる。
  • とにかく、新しいデジタルツールをまず使ってみよう。変化に対してポジティブに、面白さを感じて取り組んでいく姿勢が何より大事。

石原直子(いしはら・なおこ)

石原直子(いしはら・なおこ)

銀行、コンサルティング会社を経て2001年からリクルートワークス研究所に参画。人材マネジメント領域の研究に従事し、2015年から2020年まで機関誌『Works』編集長、2017年から2022年まで人事研究センター長を務めた。2022年4月、株式会社エクサウィザーズに転じ、はたらくAI&DX研究所所長に就任。専門はタレントマネジメント、ダイバーシティマネジメント、日本型雇用システム、組織変革など。著書に『女性が活躍する会社』(大久保幸夫氏との共著、日経文庫)がある。近年は、デジタル変革に必要なリスキリングの研究などに注力する。

▼前編はこちら

現在の肩書を外しても会社の外で通用しますか? 今求められる「3つのリスキリング」とは | ライフハッカー・ジャパン

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