よりよい人生、よりよいキャリアを望むなら、今避けて通れないのが「リスキリング」。ただ学び直すだけでなく、変化の激しいこの時代に必要とされ続けるために新しいスキルを身に付ける、いわば「自分自身をアップデートする」ことです。
そのためには、自身が現在持っているスキルや経験を見つめ直し、その価値を高める分野を見極めて学ぶこと、つまり「リスキリング戦略」も重要になってきます。
学び方自体も書籍やセミナーだけでなく、SNSやオンライン講座はもちろん、さまざまなテクノロジーを活用した「新しい学び方」が広がりつつあります。この特集では、「自身の価値を最大限に深化させる学び方」をご紹介します。
最終回は、リスキリングの専門家として活躍しているエクサウィザーズはたらくAI&DX研究所所長の石原直子さんに、ビジネスパーソンが今取り組むべきリスキリングとは何か、自分のスキルに合わせたリスキリング戦略の作り方についてお聞きしました。今回は後編です。
▼前編はこちら
デジタルに「使われる」人間か、「使いこなす」人間。どっちになりたい?
前編では、これから求められる「3つのリスキリング」や自分のスキルの棚卸、マーケットにおける現在地を知ることの重要性について、石原さんから教えていただきました。
そして、変化のスピードがかつてないほど著しい今のデジタル時代に適応していくためには、「デジタルで何ができるか」を知る機会を持つことが重要になってくると石原さんは話します。
何も難しいことに挑戦する必要はなく、Udemyなどのオンラインスクールで開かれているアプリ制作の入門講座などを受講してみるだけでも、多くのことを理解できるはず。
実際にアプリを作ってみることで、たとえば「アプリに表示される画面の裏ではどんなデータベースが動いているのか」といったことが見えてくると思います。
すると、普段の仕事でもデータベースを適切に扱えるようになっていくでしょう。
座学で講義を聴くだけでなく、実際に手を動かしてアウトプットすることは、挫折を防ぐためにも意義があるだといいます。
実際に使えるものを作ったという経験を積むことで自分の有能感が増え、それが次の学びに対する意欲になっていきます。
最近はノーコードのツールも増え、デジタルの知見がなくてもある程度のことはできるようになっています。
ただし、仕組みを理解せずにノーコードツールを使うだけでは応用が利かず、デジタルに使われるだけで終わってしまう可能性があるとのこと。
デジタルに使われる人間ではなく、「デジタルを使いこなす」人間になるためには、一度深い部分まで理解することが必要です。単に知識やスキルを獲得するのではなく、「使いこなす側になる」ことを意識しながら学ぶことをおすすめします。
まずは、今いる会社で「実績」を残す
そうしてスキルを身につけた先は、どう動くべきなのでしょうか?
学習によってデジタルスキルを身に付けました、というだけでデジタル関連職に転職できるほどには、日本の社会はスキルを信用していません。
転職を考える前に、今の会社でそのスキルを使ってできることはないかを考えるといいでしょう。
たとえば、社内にDXの部署があったり、プロジェクトを募集していたりする場合ならそこにチャレンジする。
あるいは上司にかけ合って、今の部署でデジタル変革を起こす新規チームを立ち上げるなど、会社のDX戦略と自分のキャリア戦略を重ね合わせることがベストだと石原さんはいいます。