これから求められる「3つのリスキリング」とは?

1.使いこなしのリスキリング

1つ目は、新しいデジタルツールが入ってきたときに、それを使いこなす「使いこなしのリスキリング」です。

たとえば、セールスフォースなどの顧客管理ツールでは、毎日きちんと情報を入力することで今後の予測を出すなどさまざまなインサイトを与えてくれますが、最低限の情報しか入力せず、それらの機能を十分に使いこなせていないケースも多いといいます。

デジタルツールが新しく導入されたときに、全員がそれを使いこなせなければツールのよさを引き出すことはできません。まずは会社が使おうとしているデジタルツールを使いこなすことが求められます。

2.ビジネス変革のリスキリング

そして2つ目が、現在の業務で不都合を感じているにもかかわらず、変えられずにいる部分を変えていく「ビジネス変革のリスキリング」です。

事業の課題は現場の人が一番気づいているはず。たとえばWebマーケティングなら、お客さんが毎回同じ場所で離脱するなど、現場で起きている不具合や不自由、ウィークポイントになっている部分がどこの会社にもあると思います。

そういった課題は、これまでは外部や専門家に委託して対応してもらうしかありませんでしたが、さまざまなデジタルフレームが登場したことで、自分たちで解決できる時代になりました。

そうすることで課題解決のスピードが圧倒的に変わるのです。

ビジネス側にいる人たちがデジタルリテラシーやスキルを獲得して、現場の課題や改善したい内容を、デジタルの言葉を使って表現できるようになれば、エンジニアなど技術サイドの人たちとより明快な意思疎通ができるようになるでしょう。

そのためには学びが必要ですが、その先にはさまざまなことが現場レベルで解決できる状況が訪れるはずです。

ビジネス変革のスピードはかつてないほど早い
ビジネス変革のスピードはかつてないほど早い
Image: GettyImages

3.ジョブチェンジのリスキリング

そして3つ目が、自分の仕事が今後消えていくかもしれないと感じている場合に必要となる「ジョブチェンジのリスキリング」です。

先日、テニスの全豪オープンを見ていたら、コートの四隅で判定を行う線審が自動判定に置き換えられていました。つまり、これから「テニスの線審」という職業は減少していくのです。

これまで線審をやってきた人たちは今持っている知識に新しいスキルを組み合わせて他の仕事ができるようになる必要があるでしょう。テニスの線審であれば、解説者になることやeスポーツのルール作りに携わることかもしれません。

英オックスフォード大のオズボーン教授は、2013年の論文「雇用の未来」でデジタル化やAIの発展により、多くの職業がなくなっていく可能性があると指摘しました。

一方で、数多くの新たな仕事も生まれることでしょう。そのときに新たに生まれる仕事に就けるようにする準備が必要になると、石原さんは指摘します。

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