よりよい人生、よりよいキャリアを望むなら、今避けて通れないのが「リスキリング」。ただ学び直すだけでなく、変化の激しいこの時代に必要とされ続けるために新しいスキルを身に付ける、いわば「自分自身をアップデートする」ことです。
そのためには、自身が現在持っているスキルや経験を見つめ直し、その価値を高める分野を見極めて学ぶこと、つまり「リスキリング戦略」も重要になってきます。
学び方自体も書籍やセミナーだけでなく、SNSやオンライン講座はもちろん、さまざまなテクノロジーを活用した「新しい学び方」が広がりつつあります。この特集では、「自身の価値を最大限に深化させる学び方」をご紹介します。
第4回となる今回は、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事/SkyHive Technologies日本代表で『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』著者の後藤宗明さんが、個人でリスキリングをはじめたい方のために、各種オンライン学習サービスを徹底解説。
自分に合ったサービスを選ぶうえで役立つ情報をお伝えしていきます。
▼後編はこちら
▼後藤さんが語る「リスキリングとは?」はこちら
オンライン学習のメリデメと最新トレンド
——個人がリスキリングに取り組む際、オンライン学習は有効な選択肢の1つかと思います。後藤さんから見て、オンライン学習のメリット・デメリット、また注意点などがあれば教えてください。
なんといっても好きな時間に好きな場所で自由に学べるのが最大の魅力です。
大量にある講座の中から、自分の好きな講座を検索して、いつでもどこでも学べる。アメリカからきた概念『MOOCs(Massive Open Online Courses)』という表現が使われていますが、その種類も様々で、10分程度のショート動画から、1時間以上のじっくりと学べる動画まであります。自分に合ったペースで学習を進められるのが、最大のメリットです。
一方でデメリットは、自分のペースでオンライン学習ができるというのは、裏を返せば強制力がないのでドロップアウトしやすいということになります。
もちろん、自分に合わなくて軌道修正するのはまったく構いません。でも、「期日までに受講を終えて資格試験に備えないといけない」「社内でこの講座を受けたあとに、そのスキルを生かした新規事業に就かないといけない」など、ゴールが見えているのに脱落しやすいというのは、やはりオンライン学習のデメリットになると言えるでしょう。
脱落しないよう仲間と一緒に学習する『CBCs』
そこで、オンライン学習の脱落を防ぐための『CBCs(Cohort-Based Courses)』というトレンドが、新たにアメリカで生まれました。
これは従来の、1つの場所に全員で集まって実施するような研修をオンラインで行なうというもの。「いつでも、どこでも、1人で」ではなく、「日時を決めて仲間と」というのが特徴です。一緒に学び合う仲間がいる、日時が決まっている、ということで修了率を上げることができます。
ちなみにCohort(コーホート)というのは、1つの塊や集団という意味。たとえば「◯月◯日から毎週火曜日18時に3カ月間のコースをはじめます。定員は20名です」のようなグループを、第一期・第二期…といった形でどんどん回していきます。
その際、講師がいて参加者に講義をする1対受講者のスタイルだけではなく、いわゆる反転授業が行なわれているのもCBCsのひとつの特徴です。教材を先に配布し、各々が事前に学習をしたうえで、当日は講師がファシリテーター役になって活発に議論し、理解や学びを深めていく講座です。
オンラインと対面を組み合わせた『ハイブリッドラーニング』
日本で行なわれているものとしては、修了率を上げる取り組みとしてハイブリッドラーニングを実施している企業があります。
マーケティング研修や管理者研修など、特に大手企業では様々な研修が提供されているかと思います。この際、知識を詰め込むところはオンラインで各自学んでおいてもらいます。そのうえで、リアルに参加者が集まってディスカッションやグループワークなどを行なうのです。
たとえば、「◯月◯日までに、このオンライン講座を自学しておいてください」と各人で学習しておいてもらい、そのうえで事前に決められた日に集まります。
1人で完結しないので学びを深めることができるうえに、脱落防止にも役立ちます。