この記事では、投資初心者で「ロボアドバイザー(ロボアド)」に興味がある方、投資信託やETFの運用を迷っている方に、各商品やサービスの違いについて比較しました。
最後まで読めば、それぞれの仕組みを理解したうえで、自身に合った投資方法を選択できるでしょう。
簡単な質問に答えるだけで商品の選定や運用を自動で行なってくれる「ロボアドバイザー(ロボアド)」は、投資初心者には頼りになるサービスであるものの、使うには利用料がかかります。
一方で、iDeCoやつみたてNISAの利用を考えれば、自分で投資信託などの商品を運用することも大きな選択肢のひとつに。
ロボアドバイザーと、自分で投資信託やETF(上場投資信託)を運用する場合の違いがどこにあるのか、比較してみました。
目次
ロボアド・投信・ETFを比較
ロボアドバイザーは、投資信託やETFを運用しているので、ここでは「ロボアドバイザー」と「投資信託(インデックスファンド)」「国内ETF」を比較して、違いを見ていきます。
ランニングコスト(利用料・運用コスト)でロボアドは不利
まず、コスト面の違いからチェック。
ロボアドバイザーのランニングコストは利用料と運用コスト(信託報酬)の2つ。
一方、自分で投資信託や国内ETFを運用する場合、利用料はかからないので運用コスト(信託報酬)のみとなります。
利用料は、ロボアドバイザーに商品選定や購入、運用をおまかせするための費用となり、この分がロボアドのランニングコストを押し上げています。
なお、運用コスト(信託報酬)とは、ETFや投資信託の運用にかかる実費ですが、ロボアドバイザーでは低コストの商品が選ばれるので、こちらは評価できます。
ロボアド・投資信託・ETFのコスト比較
ウェルスナビ、テオなどの | 投資信託 | 国内ETF | |
利用料 | 年1%程度 | なし | なし |
運用コスト(信託報酬) | 年0.1~0.3%程度 | 年0.1~1%程度 | 年0.05~1%程度 |
購入時の費用 | 無料 | <購入時手数料> | <売買手数料> |
売却解約時の費用 | 無料の場合もある | <信託財産留保額> | <売買手数料> |
ロボアドバイザーのランニングコストは、利用料は預けている資産の年1%程度、運用コスト(信託報酬)は年0.2%程度で、こちらは各サービスによっても異なります。
単純計算で100万円預けた場合、年間1万2,000円程度のコストが毎年かかります。
一方、自分で投資信託やETF(上場投資信託)を運用する場合のランニングコストは運用コストのみ、年0.1〜0.2%程度で収まる低コスト商品も多く、仮に年0.2%の運用コストとすると、100万円運用する場合で年間2,000円に抑えられます。
長期運用を想定して、20年運用した場合のランニングコストを比較すると、
ロボアドバイザー:1万2,000円×20年=24万円
自分で投資信託を運用:2,000円×20年=4万円
となり、100万円の投資で20万円もの違いが出ます(※値動きがなかった場合の試算のため、値上がりした場合のコスト差は大きくなります)。
投資で得られる利益はコストを差し引いた金額です。つまり、コストが高いということはその分利益が減るということを意味します。
ロボアドバイザーは運用を自動で行なってくれるためその分のコストがかかる、ということを納得した上で利用するとよいでしょう。
運用・リバランスとは?
ロボアドバイザーは、商品選びだけでなく運用までしてくれるという点に、魅力を感じている方もいるでしょう。
運用とは、「リバランス」などのことを指します。
リバランスとは、最初に決めた商品の配分(割合)が時間の経過により崩れた際、元のバランスに戻すこと。これは年1回程度でよいと言われており、バランスが変わっていない場合は行なう必要がありません。
以下に、リバランスをはじめとしたサービスに関する内容の比較表をまとめたので、参考にしてみてください。
ロボアド・投資信託・ETFのサービス比較
ウェルスナビ、テオなどの | 投資信託 | 国内ETF | |
購入価格 | 初回10万円~/ | 100円~ | 数千円~ |
購入方法 | 1万円など金額単位 | 1,000円、1万円など金額単位 | 1株、10株など株数単位 |
積立 | 毎月1万円~ | 毎月100円〜 | × |
特定口座の利用 | ○ | ○ | ○ |
つみたてNISAの利用 | × | ○ | × |
iDeCoの利用 | × | ○ | × |
商品選び | 自動 | 自分で判断 | 自分で判断 |
リバランス (配分調整) | 自動 | 自分で判断 | 自分で判断 |
分配金・配当 | 分配金 | 分配金 | 分配金 |
分配金の再投資 | ○ | ○ | × |
投資信託とETFはどちらがよい?
続いて、自分自身で運用する場合、投資信託と国内ETFのどちらがよいか違いを比較していきます。
投資信託の中にもいくつか種類がありますが、ここでは低コストで長期投資に向いているインデックス型の投資信託(インデックスファンド)に絞ってまとめます。
インデックス型の投資信託とは、日経225やS&P500などの代表的な指数と同じような値動きを目指す商品のこと。国内ETFも中身はインデックス型の投資信託と同様の商品が多いのですが、株式のように証券所に上場しているという点が投資信託との違いです。
投資信託・ETFのコスト比較
投資信託 | 国内ETF | |
利用料 | なし | なし |
運用コスト(信託報酬) | 年0.1~1%程度 | 年0.05~1%程度 |
購入時の費用 | <購入時手数料> | <売買手数料> |
売却解約時の費用 | <信託財産留保額> | <売買手数料> |
購入時手数料
インデックスファンドと国内ETFの購入時手数料の違いは? まず投資信託も国内ETFも購入時に手数料がかかります。
インデックスファンドは購入時手数料無料の商品(ノーロードと呼ばれる)が多いので、少額ずつ積立購入しても手数料が気になりません。
国内ETFは、どの商品でも株式と同様に証券会社所定の売買手数料がかかります。例えばSBI証券では、取引額5万円までなら55円、10万円までなら99円(いずれも税込)が必要です。
裏技として、SBI証券、楽天証券などで1日定額制の手数料コースを選ぶと、国内株式と合わせて1日100万円までの取引が売買手数料0円となります。少額利用をする場合には、この手を使えば国内ETFも無料で売買できます。
なお、投資信託では信託財産留保額という解約手数料のようなものがかかる場合がありますが、インデックスファンドの場合はこれが無料の場合が多いようです。
運用コスト(信託報酬)
運用コスト(信託報酬)は、インデックスファンドでも国内ETFでもかかるコストで、保有中ずっと、毎日資産から差し引かれます。
インデックスファンドより国内ETFの方が運用コストは低めですが、インデックスファンドでも低コスト化が進んでおり、国内ETFに引けをとらないような水準の商品も出てきているのが現状です。
インデックスファンドと国内ETFで、同じTOPIXに連動する商品の運用コストはどうなっているのか、比較していきます。
投資信託・ETFの商品比較
投資信託 | 国内ETF | |
商品名 | 三菱UFJ国際 | MAXIS トピックス |
運用コスト | 0.154% | 0.09% |
100万円を運用した | 1年:1,540円 | 1年:900円 |
※値動きがなかった場合の試算。値上がりした場合、コスト差は大きくなります。
100万円を運用した場合、年間のコスト差は640円、10年で6,400円です。大きな差ではありませんが、現状は国内ETFの方がより低コストで運用できるようです。
ただ、インデックスファンドにはコスト面以外のメリットがあるため、そこが見逃せないポイントなります。
投資信託のメリット1:積立や分配金再投資が自動に!
長期投資の場合、積立投資を利用する方も多いでしょう。なぜなら一度設定するだけで定期的に定額で同じ商品を積立購入してくれるため、投資の手間が省けるから。投資信託ならこれが可能です。
投資信託やETFから出る分配金(投資家に還元されるお金)を受け取らずに投資に回す仕組みが分配金再投資です。分配金を再投資することでその分の元本が大きくなり、利益を増やせるため、長期投資では推奨されています。
投資信託(インデックスファンド)の場合、積立も分配金再投資もどちらも自動で行なうことができ、ここが大きなメリットになります。
一方、国内ETFの場合では、どちらも自動ではできず、その都度自分で購入手続きを行なわなければならず、これを手間と感じる人もいるでしょう。
また、ネット証券で提供されている投信積立のクレジットカード決済によるポイント還元も重要な判断材料になります。
対象のクレジットカードやポイント還元率は証券会社により異なりますが、投資額の0.5%~1%程度のポイント還元を受けられるケースが多く、さらにおトクに投資することができます。
投資信託のメリット2:iDeCo(イデコ)やつみたてNISA(ニーサ)が活用できる
最大の決め手になるのが、投資信託(インデックスファンド)は、「iDeCo」や「つみたてNISA」といった税制優遇制度が活用できるという点。
国内ETFでも「NISA」は利用できますが、長期運用なら「つみたてNISA」の方がメリットが大きいでしょう。なお、ロボアドバイザーで「iDeCo」や「NISA」を利用できるのはごく一部のサービスのみです。
結論としては、自分で長期運用する場合は、国内ETFよりも投資信託(インデックスファンド)に軍配が上がります。
国内ETFの方が低コストであるもののその差はわずか。積立や分配金再投資といったサービス面、iDeCoやNISAといった制度面ではインデックスファンドの方が大きく有利といえます。
まとめ
投資初心者ならロボアドバイザーを投資はじめにするのも選択肢のひとつ。ただし、利用料が高いというデメリットも理解しておくこと。
ある程度の知識がある方、自分で投資の勉強をしてみたい方なら、iDeCoやつみたてNISAを利用して自分で投資信託を運用する方がコスト・制度的なメリットが大きいでしょう。
まずはロボアドバイザーから始めてみて、商品の選び方や仕組みがわかってきたら投資信託に切り替えるなど、柔軟に選択していけるとよいでしょう。
投資一任型のロボアドはWealthNaviかTHEO
ロボアドバイザーなら、WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)が大きなシェアを占めており、機能面ですぐれています。WealthNavi(ウェルスナビ)ならNISAも利用できますよ。
▼iDeCo・つみたてNISAについて
2023年1月18日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。
*本記事は、Fin/d(ファインド)より提供のコンテンツを加筆変更して掲載しています。