ロボアドバイザーサービスに興味がある方や投資初心者の方に、人気の高い2社のサービスの違いや仕組みを比較し、解説します。

最後まで読めば、それぞれの会社の特徴を理解したうえでロボアドバイザーサービスをはじめることができるでしょう。

ロボアドバイザーサービスとは、いくつかの質問に答えて入金すれば、銘柄選びから運用までのすべてをおまかせできるというもの。現在では投資初心者の方だけでなく、経験者の方にも広がりを見せています。

特に人気が高いのは「WealthNavi(ウェルスナビ)」と「THEO(テオ)」。どのような違いがあり、どちらの方が優位なのでしょうか。

目次

  1. ロボアドの2強、WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)
  2. WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)を比較してみましょう
  3. WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)を比較する際のポイントは?
  4. まとめ

ロボアドの2強、ウェルスナビとテオ

まず、預かり資産、申込件数ともに一番人気が高いものが「WealthNavi(ウェルスナビ)」で、「THEO(テオ)」がそれに続いています。

この2つのサービスは、海外のETFという金融商品に分散投資するロボアドバイザーとしてほぼ同時期にスタートしていますが、2017年以降、急成長を遂げています。


WealthNavi

(ウェルスナビ)

THEO

(テオ)

運営会社

ウェルスナビ株式会社

株式会社お金のデザイン

サービスリリース

2016年7月

2016年2月

預かり資産 ※1

6,936億円

1,498億円

口座数 ※1

35万口座

12万口座

※1:2022年9月現在

ウェルスナビとテオを比較してみましょう

WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)は、銘柄選びから売買、運用までをすべておまかせできるというサービスのアウトラインは共通しているものの、細かく見ると違いも多く存在します。

どんな違いがあるのかこれから解説していきます。

WealthNavi(ウェルスナビ)・THEO(テオ)のサービス比較


WealthNavi

(ウェルスナビ)

THEO

(テオ)

投資対象

海外ETF

(上場投資信託)

海外ETF

(上場投資信託)

買付ETF銘柄数

6~7銘柄

30~40銘柄

最低投資金額

10万円

10万円

積立投資

1万円/月~

※リバランス機能付き自動積立

1万円/月~

利用料(税込)

※売買手数料・為替手数料含む

年率1.1%

※3,000万円を超える部分は年率0.55%

年率1.1%

※3,000万円を超える部分は年率0.55%

運用コスト(信託報酬)

年率0.08%~0.13%

明記されていない

割引制度

長期割

(通常年1.1%の利用料が、利用状況に応じて最大0.99%に)

テオ カラーパレット

(通常年1.1%の利用料が、利用状況に応じて最大0.715%に)

※2023年1月以降の申込には適用されない

自動リバランス

原則として半年に1回

※資産クラスが5%以上乖離した際は前倒しで実施

1カ月に1回

ポートフォリオの自動変更

なし

年齢などに応じて年1回見直し

※「THEOにおまかせ」を有効にしている場合

その他の機能

自動税金最適化機能

(DeTAX)

THEO AIアシスト

THEO Tax Optimizer

クイック入金対応銀行

7行

三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、

住信SBIネット銀行、ソニー銀行、イオン銀行、auじぶん銀行

8行

三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、

住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、楽天銀行、ゆうちょ銀行、SBI新生銀行

出金可能額

全額

全額

NISA対応

おまかせNISA(NISA口座)

対応なし

その他

SMBC日興証券の口座開設が必要

投資対象が海外ETFである点、利用料が年率1.1%(税込)である点など、共通している部分もありますね。

Webサイトで詳しくチェック

WealthNavi(ウェルスナビ)THEO(テオ)

比較点1:投資対象

投資対象はWealthNavi(ウェルスナビ)もTHEO(テオ)も海外ETFです。それぞれの買い付ける銘柄数は、WealthNavi(ウェルスナビ)は定番銘柄に絞り込んだ6銘柄程度なのに対して、THEO(テオ)では最大30銘柄以上と大きく違います。

これは両社の考え方の違いによるもので、どちらが良いと簡単に言えるものではないでしょう。

比較点2:最低投資額・積立

いくらから始められるかという最低投資額を見ると、WealthNavi(ウェルスナビ)、THEO(テオ)ともに10万円と比較的少額から始められます。

また、積立投資は両者とも月1万円からできます。

比較点3:コスト(利用料・信託報酬)

ロボアドバイザーのコストは、利用料と信託報酬と呼ばれる運用コストの2つです。

利用料

WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)の利用料は、いずれも預かり資産(入金したお金)の年1.1%(税込)。

100万円預けていると年に1.1万円かかる計算で、預けている間ずっと差し引かれ続け、10年なら11万円、20年なら22万円となります(いずれも税込)。

利用料には、ロボアドバイザー自体の利用料の他、投資対象である海外ETFの売買手数料や、売買のために円を米ドルなどに換える際の為替手数料などが含まれます。

利用料1.1%が差し引かれ続けるということはその分利益が減ってしまうことを意味します。

長期投資ではランニングコストをできるだけ抑えることも重要なポイントで、この利用料を高いとするか安いとするかは評価が分かれるところでもあります。

利用料の割引制度

WealthNavi(ウェルスナビ)は預かり資産が50万円以上の場合、利用期間と預かり資産に応じて利用料が割引される「長期割」があります。利用料は最大で年0.99%まで割り引かれます。

この長期割はWealthNavi(ウェルスナビ)本体のみに適用されるもので、「WealthNavi(ウェルスナビ) for JAL」などの提携サービスには適用されないので注意が必要です。

一方のTHEO(テオ)にも割引サービスがありますが、2023年1月以降に新たに申し込みをする場合、残念ながらその割引は適用されません。

運用コスト(信託報酬)

利用料の他、商品ごとに信託報酬という運用コストがかかります。

信託報酬は、WealthNavi(ウェルスナビ)では「プランにより年0.08%~0.13%程度」と記載されています。THEO(テオ)では明記されていませんが、投資対象が同じ海外ETFのためWealthNavi(ウェルスナビ)と大きな差はないと思われます。

海外ETFは信託報酬が比較的低く設定されている商品で、年間の信託報酬率が0.1%程度というのは投資信託と比べても低いと言えます。

コストで違いがあるのは割引制度の有無です。2023年以降の申し込みで割引制度が適用されるのはWealthNavi(ウェルスナビ)のみとなります。

比較点4:リバランス機能・その他

リバランス機能

リバランスは、銘柄の配分を最初に決めた配分(ポートフォリオ)に合わせて調整することを言います。

運用開始から時間がたつと値動きの影響で銘柄の配分が変わってくることがあります。その際、商品を売買することで配分を元に戻す必要がありますが、リバランス機能はこれを自動で行ってくれます

WealthNavi(ウェルスナビ)では積立をしていれば積み立てる度に行われる他、原則として半年に1回行われます。

THEO(テオ)は、積み立てる際のリバランスはありませんが、1カ月に1回リバランスされます。

内容に多少の違いはあるものの、リバランスは年に1回程度が目安とされているので、どちらも充分頻繁にリバランスが行われると言えます。

自動税金最適化

自動税金最適化とは、簡単に言うと、分配金を受け取ったり、リバランス時に商品を売却したりする際、利益を少なく調整するための売買を同時に行い支払う税金を抑える機能です。

WealthNavi(ウェルスナビ)に続き、THEO(テオ)も追従して実装するようになりました。

この機能の効果はウェブサイトには明記されていませんが、WealthNavi(ウェルスナビ)の柴山CEOは、“多くの場合、「DeTAX」の機能により年間0.4~0.6%程度の負担減となる”とインタビューで話しています。目に見えにくいものの、効果が期待されます。

THEO(テオ)の資産運用方針自動変更機能

THEO(テオ)は、リバランスだけではなく、資産運用方針(成長・安定のバランス配分)自体を自動変更する機能も備えています。

年齢や金融資産額などに応じて年1回変更してくれるサービスで、この機能により年齢が上がると値動きがより安定した資産の配分を増やしてくれるよう調整してくれます。

サービス開始から数年のため、どの程度有効な機能なのかはまだ判断できませんが、初心者にとってはやや複雑な部分があるため、投資初心者をサポートしてくれる機能だと言えます。

THEO(テオ)のAIアシスト

THEO(テオ)のAIアシストは、AIが投資対象銘柄の大幅下落を判断した際、該当する銘柄の比率を引き下げて資産全体が大きくマイナスしないように調整する機能です。

深刻な大幅下落の際だけに機能するようなので、万一の保険のようなものだと捉えておきましょう。

リバランス機能、自動税金最適化は両者ともに備えていますが、資産運用方針の自動変更やAIアシストといった機能があるのはTHEO(テオ)だけですね。

比較点5:その他(入出金・NISA)

入金

どちらのサービスも、提携銀行のネットバンキングからの入金(クイック入金)が無料で利用でき、提携数や銀行の顔ぶれに大きな違いはありません。

出金

出金時は登録している出金先口座へ振り込まれるようになっており、どちらも手数料は無料です。

WealthNavi(ウェルスナビ)、THEO(テオ)ともに全額出金することができます。THEO(テオ)では、以前は預かり資産が10万円を切る出金はできず、全額出金の際には口座解約が必要でしたが、現在は口座解約せずに全額出金ができます。

NISA

WealthNavi(ウェルスナビ)には「おまかせNISA」というNISA対応サービスがあります。

NISAでは、通常利益にかかる約20%の税金がかからないという大きなメリットがあり、WealthNavi(ウェルスナビ)なら、NISA口座を利用した非課税で運用することができます。

一方のTHEO(テオ)は、NISAには対応していません。

WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)を比較する際のポイントは?

WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)を比較してきましたが、基本機能に決定的な違いはありません。

ポイントになるのは「割引制度」と「NISA」です。

割引制度は、THEO(テオ)では2023年1月以降の新規申込者には適用されなくなったため、WealthNavi(ウェルスナビ)がやや優位となります。

また、NISAの利用可否の差は大きく、このNISAのメリットを利用するならWealthNavi(ウェルスナビ)を選択することになります。

まとめ

ロボアドバイザーサービスは、忙しい人たちにとっては役立つものであり、資産形成について深く考える時間がない場合には便利なサービスです。

ただし、完全におまかせする以上はサービスそのものを理解し、絶対的な信頼感を持つことが欠かせないでしょう。

WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)のどちらにするかというだけでなく、投資に関する最低限の理解を持ったうえで始めましょう。

ロボアドはどちらを選ぶ?

NISA利用や人気の高さならWealthNavi(ウェルスナビ)、資産運用方針の自動変更など、よりきめ細かいサービスに興味があるならTHEO(テオ)がおすすめです。両者の運用成績についてもチェックしましょう。

WealthNavi(ウェルスナビ)THEO(テオ)

ロボアドバイザーについてはこちらの情報も参考にしてください

>>WealthNavi(ウェルスナビ)のメリット・デメリット 特徴、手数料、運用成績などを解説

>>THEO(テオ)のメリット・デメリット 特徴、手数料、運用成績などを解説

2023年1月18日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。

*本記事は、Fin/d(ファインド)より提供のコンテンツを加筆変更して掲載しています