「良い仕事をすれば、それがおのずと語ってくれる」という格言があります。
心強い言葉ではありますが、これは、現実というよりもむしろ願望です。
実際は、上司や同僚があなたのスキルや才能、成果のすべてを、こちらがわざわざ言わなくても気づいてくれると考えるのは非現実的ですよね。
リモートワークならなおさらです。なにしろ、顔を突き合わせていれば見えることも、見えなくなってしまうのですから。
残念な話ですが、謙虚過ぎると自分の足を引っ張りかねないのです。
自分をアピールすることに抵抗を感じる人は、完璧な謙虚さを期待される家庭や文化で育ったケースが多く見られます(たとえそれが見せかけだけの謙虚さであったとしても)。
また、女性の多くは、社会的な条件づけによって、自分の達成したことを伝えるのが難しいと感じています。
もちろん、誰だって自慢話ばかりする(英文記事)、感じの悪い同僚のような話し方はしたくないでしょう。
けれども幸いなことに、うぬぼれた印象を与えずに効果的に自分をアピールする方法はあります。
この記事では、適切な話し方によって、もっと気楽に自己アピールできる方法をご紹介しますね。
1. 自己アピールは自分のためだけにするのではない、と理解する
「自己アピールは自分のためだけにするのではない」という考え方は、直感的には理解できないかもしれません。
でも、自分の能力や成果をアピールしないと損をするのは、自分だけではないのです。
上司や同僚が、あなたのスキルや才能、関心、成果をすべて理解していないと、あなたの潜在能力は十分に発揮されません。
自分が何に貢献できるかを積極的に伝えれば、上司や同僚の負担を減らし、会社に大きな価値をもたらすことができるのです。
さらに、チームを率いている場合、過度の謙虚さは、チーム全体の足を引っ張るデメリットにもなります。
2. 自分の成功を、より大局的にとらえる
誰に何を伝えるかを考える時には、次のことを自問してみてください。
「自分のしたことはなぜ重要なのか?」
「それは、自分の部署や組織のより大きな戦略的目標にどう合致するのか?」
「直属の上司以外で、このことを気にかけている人や、知っていると恩恵を受ける人はいるか?」
広い視野で考えることによって、自分の成果を伝えることが、どのようにほかの人の利益になるかを理解しやすくなり、躊躇することも少なくなるでしょう。
自分の成果をより広い文脈にあてはめれば、自分が大局を理解していると立証することになります。
さらに、あなたの発言は、単なる自慢話ではなく、より大きな共同作業への足がかりのように映るでしょう。
上司やほかの同僚が、あなたの成果を知ることで利益を得る場合は、こんなふうに切り出してみては?
皆さんがこの取り組みに大きな関心を持っているのは承知しています。ですから、この分野での最近の成功について知りたいのではないかと思いまして。
3. 事実を伝える
自分の成果を伝える時は、結果に焦点を当てます。履歴書の箇条書きのように、達成したこと、貢献したこと、努力したことによる影響や結果を簡潔に述べましょう。
自分の解釈ではなく、もっと客観的なデータにこだわれば、自分にとっては伝えやすく、聞き手にとっては説得力のある話になります。また、ほかの人があなたの組み立てた話に同意しない可能性を排除することもできますしね。
たとえば、「この2カ月間で4件の取引を成立させました」と言えば、それは紛れもない事実です。
ですが、「私はチームでもっとも取引に長けています」と言えば、ほかの人はそれを、自慢話と受け取るかもしれません。
4. 自分を卑下しない
自分の成果を伝える時は、それをきちんと自分自身の成果として伝えましょう。
「謙遜を装った自慢」は禁物です。卑下すると、見せかけの謙遜(英文記事)だと誤解されたり、偽善的に見えたりすることもあり、裏目に出るかもしれません。
研究によると、謙遜を装った自慢をすると、有能と見られにくくなり、さらには他人から嫌われる可能性もあるようです。
また、誰かがあなたの功績を褒めてくれたなら、それを軽んじてはいけません。
「大したことではありませんよ」と言えば謙虚さを示せると思うかもしれませんが、嫌味だと思われるかもしれませんし、やがてあなた自身が自信を失うことにもなりかねません。
認めてもらったことを受け入れても、傲慢な印象にはならないです。
「ありがとうございます」というシンプルな言葉があれば十分。それによっておそらく、その褒め言葉をより深く心に刻むことができるでしょう。
5. 同時にほかの人も持ち上げる
自分の成果を伝える際には、その成功に貢献した人についても紹介しましょう。
チーム内の個々人の成果にスポットライトを当てることは、注目を広げるための簡単かつ確実な方法です。
また、寛大さと他人への感謝の気持ちも示すこともできます。そうした資質は、同僚を引きつけ、一緒に働きたいと思わせるものです。
同じようにほかの人も、あなたのことを積極的に認めてくれるようになるかもしれません。そうなれば、何も言わなくても、あなたの成功を広く見聞きしてもらえるようになります。
仲の良い同僚がいる場合は、お互いに相手を褒め称える「ウイングマン」の役割を果たしてみてはいかがでしょうか。この方法なら、偉ぶっていると見られずに、良い印象を自然に与えることができます。
6. 機会を与える
チームを率いる人は、全員が自分の成果を伝えられる仕組みをつくりましょう。
私が指導したあるリーダーは、毎週のチームミーティングの常設議題に「成功の共有」を加えました。順繰り方式を採用して、部下全員に、最近の勝利や誇りに思った瞬間を共有するよう求めたのです。
この仕組みのおかげで、彼女自身も、自分の成功を伝える練習をして、慣れることができました。
1対1の面談でも、同じような方法を使えます。直属の部下に、最近の成果や誇りに思っていることを話してもらう際、「誰かをこっそり観察したら、あなたが目にする光景は…」という文章を完成させるように促してみましょう。
そうすれば、本来ならあなたには見えない、部下たちの仕事振りを知ることができます。
自分の成功について共有できるという期待と、そのための場をつくり出すことによって、チーム内の静かで控えめな声を拾い上げ、メンバーたちのあらゆる才能を、より深く理解できるようになるはずです。
自分をアピールすることに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、自分の経歴や貢献を宣伝することは、しばしば必要なことでもあります。
自己アピールは自分のためだけにするのではないと認識し、大局的な発言をし、事実に忠実になり、ほかの人を持ち上げれば、より気楽に、より上手に、自分にふさわしい評価を得られるようになるでしょう。
──2021年10月20日公開記事を再編集して再掲しています。
訳: 風見隆(ガリレオ)/Source: APA Psyc Net
Originally published by Fast Company [原文]
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