不況は目前だとしきりに囁かれていますが、確実に言えることがひとつだけありそうです。私たちはみな、先行きが不透明な時代に順応しなくてはなりません。とはいえ、先が見えないとなると、どうしても不安を覚えるものです。
新型コロナウイルス感染症が拡大しはじめたころ、多くの人は不安な気持ちをどうにかしようと、お金をできるだけ使わないようにしました。
ところが、時間が経つにつれ、そうやって自制しすぎた反動から、「リベンジ消費」に走るようになりました。
ロックダウンが解除されて以降、抑え込んでいた消費欲を埋め合わせるかのように、つい浪費してしまう。そんな人のために、再び正しくお金が使えるようになるための方法を説明しましょう。
「リベンジ消費」とは?
リベンジ消費とは、その名のとおり、「恨みを晴らす(リベンジする)」ための消費です。仕事をクビになったり、パンデミックが発生したりして、経済的に我慢を強いられたあとに、湯水のようにお金を使う行為を指します。
『ニューヨーク・タイムズ』紙の記事によれば、こうした消費行動は、欠乏状態に対する反発だと考えられています。我慢して失われてしまった時間を埋め合わせようとして、いきなりお金をどんどん使いはじめるのです。理性的な行動には思えませんよね。
実際、理性的な行動ではありません。ドカ食いしては食事を制限することを繰り返しているうちに、極端な行動が悪循環に陥ってしまうようなものです。
リベンジ消費を止めるには
使うにせよ貯めるにせよ、お金に関して困ったときは、予算を立てることが必須です。手はじめに、手取り収入の50%を必要経費、15%を積み立て、5%は予想外出費への備えにするという「50/15/5ルール」などに取り組んでみることをおすすめします。
もちろん、口で言うのは簡単ですが、いざ実践するとなると難しいもの。消費行動の根っこに心理的な問題が隠れている場合は、なおのことうまくいきません。
では、予算を決めて、そのとおりにお金を使えるようにするための秘訣をいくつか紹介しましょう。
現金を封筒で管理する
米LHで以前にもご紹介しましたし、普段の生活でもお気づきでしょうが、現金を手放すと実際に心が痛みます。
ですから、決めた予算どおりにお金を使うよう心がける必要があるなら、銀行残高をオンラインで確認するよりも、お金を使い果たして空っぽになった封筒を実際に目にするほうが効果的です。
そこで役に立つのが、現金を封筒で管理する家計術です。封筒を用意して、表に支出項目を書き、そこに現金を入れます。その月(あるいは次の給料日まで)の支出分として割り当てた金額を、それぞれの封筒に入れてください。
大事なのは、それぞれの封筒に入れた現金は、表に書かれた支出目的のためにしか使えないことです。封筒が空になったら、その月はもう、その目的に使えるお金は残っていません。
現金を封筒で管理する方法が効果的である理由は、お金について、もっと計画性をもたざるを得ないからです(それぞれの封筒に入れる金額を、事前に決めなくてはなりませんから)。
さらに、節制しやすいからでもあります(封筒が空になったとしても、お金を足すことはできません)。
「買うものリスト」にしたがって買い物する
明確な支出目標があるなら、買い物をする前に、買いたいものを実際にリストアップするのも、ひとつの手です。クレジットカードや銀行の明細書を参考にしながら、「買うものリスト」を作りましょう。
その中身を見れば、本当に「必要なもの」は何なのか、もっと熟慮したうえで決断できるようになります。
ときには自分にご褒美を
リベンジ消費に走ってしまったそもそもの原因は、自制しすぎたことです。それを忘れないでください。お金と健全な関係を築きたいなら、「よくよく考えたうえで」自分を甘やかしましょう。
こんなふうに自問自答してください。
「これを買えば、どんな気分になると思うか」「これを買って、どんな気持ちになりたいのか」「これを買うことで、どんな感情を避けようとしているのか」
あなたの人生にとって真に価値のあるものは何かを判断できるのは、ほかならぬあなただけです。近所のコーヒーショップでときどきラテを買ったり、年に1度のぜいたくな旅行のためにお金を貯めたり。
ときには、あえて自分が喜ぶことをしてみましょう。自分を甘やかすことで、お金との全般的な関係が向上するのであれば、なおさらそうすべきです。
無意識の支出を抑制する方法の詳細は、こちらでご確認ください。
Source: The New York Times