人は勉強をはじめるとき、ぞれぞれ目標を掲げるものです。
入学試験に合格するためであったり、業務上必要な資格を取得するためであったり、自己成長のため生涯をかけて学び続けていたり。
今回は、目標達成までの期日がおよそ1年以内と短期~中期の方に向けて、より効果的な勉強法をお伝えします。
過去の成功事例を徹底分析し、自分に合った戦略を立てる
目標の達成に情熱は欠かせませんが、それに加えたいのが「戦略」です。
学校にせよ、仕事にせよ、趣味にせよ、どんな分野の勉強においても闇雲に頑張ったからといって能力が伸びるわけではありません。戦略を持って挑むことで、目的達成の可能性は格段に上がるのです。
では、戦略はどうやって練ればいいのか。
以前、ライフハッカーでインタビューした株式会社4kiz代表取締役CEOの本山勝寛さんのノウハウをご紹介します。本山さんは、親が家にいない環境で極貧バイト生活を送りつつ、塾はおろか通信教育も受けられないなか、模試でE判定だった東京大学に独学で現役合格したという経験を持っています。
過酷な状況下において、どのようにして独学で東大に合格したのか?
東大受験体験記をバイブルのように読み解いて、塾に通わず現役で合格した境遇の近い人のデータを参考にしました。
それは「成功者の先行事例をよく分析する」ということです。先人の知恵を自分に当てはめていくのです。どのタイミングで何を勉強して、いつまでに何を達成し、何が必要で何が不要なのか、といった具合に。
ただし、自分と同じ目標で、似たような状況にいる方の事例が必ず手に入るとは限りません。その場合は、他分野の事例から合うものをピックアップし、複数を組み合わせて戦略に活かします。
分かりやすいところでいえば、日々コツコツと積み上げる学習法、苦手分野を克服するための特訓、健康維持のための生活習慣などは、分野問わず活用できそうです。
つまり、自分の「これで頑張っていけば大丈夫」という思い込みに頼らず、成功者や一流の方のノウハウを徹底分析するのです。
成功に必要なそれぞれの要素を最大化する
勉強の先にある成功をつかむために、必要な要素は何があるでしょうか。時間の確保なのか、その時間を有効に使うための集中力なのか。
本山さんは、要素を掛け合わせた以下の方程式を提唱しています。
「TOEICで800点をとる」「東大に合格する」といった短期的で明確な目標の場合は、「地頭×戦略×効率×時間」という方程式が有効です。
これらの4つの各要素を掛け合わせた合計が大きければ大きいほど、目標達成に近づくことができるというわけです。さらにいえば、それぞれの要素が2倍になれば、その合計値は16倍となります。
つまり、論理的思考力などの地頭を良くし、戦略の有効性を高め、勉強の効率を上げ、時間をより長く確保するなど、各要素を最大化するよう努めるということです。「とにかく頑張る」という根性論ではなく、目的に直結する非常にロジカルな方程式です。
必要な要素を洗い出し、それらを最大化する意識で取り組んでみましょう。
書評家に学ぶ、「記憶を定着しやすくする」秘訣
次は学習時のTIPS、暗記力アップのコツをお伝えします。
年間700冊以上の本を読み、書評執筆本数日本一と言われる、作家・書評家の印南敦史さんは、記憶に残りやすい記憶術についてこのように語っています。
いろいろな場所やシチュエーションで読むこと。いつも同じ場所じゃなくて、状況を変えればそのときのことを映像で記憶に残しながら、体験とつながって覚えていられると思うんです。
つまり、シチュエーションを変えるということです。
これは、筆者自身も非常に共感しました。移動しながら学習すると、その場の風景と相まって頭に残るのです。
たとえば、Amazon AudibleやPodcastなどの音声メディアを聞きながら歩いていると、「あのエピソードは、中華料理屋の角を曲がるときに聞いた話だな」といった具合に、覚えようと意識しなくても勝手に記憶されています。
まさに印南さんが言う通り、経験とつながって記憶されているのです。
読書にしても、移動しながら読むことでその効果を感じることはしばしばです。大きな公園で歩き回りながら、ときにはベンチに座ったりしながら読むことで、「夕暮れ時、日が沈んで本が読みづらくなる中で、噴水付近で読んだ話だな」と体験とともに記憶されています。
じっくりと解くような学習は机に座って取り組むのがいいと思いますが、記憶を重視したいときは、場所を変えたり、移動しながら学習してみるといいのではないでしょうか。
気分転換に図書館へ、借りずにその場で次々に読む
最後に、筆者がよく使うTIPSもご紹介します。
それは図書館の活用です。図書館は無料ですので、思う存分知識をインプットすることができます。ただし、一つやらないことを決めています。それは「本を借りて帰らない」こと。
借りて帰ると「返却日までに読まないといけない」というタスクになってしまい、結局後回しになり、「積読」になってしまうことがあるからです。
図書館の本は、図書館内でのに読みます。
たとえば、気分転換も兼ねて「1時間だけ図書館へ行こう」と決めて向かいます。その時間内で次々といろいろな本に目を通していくのです。
時間が限られている分、ほとんどの本は最初から最後まで通読することはできません。自分に必要な分を素早く見出し、その箇所のみを読みます。
これは先述したシチュエーションを変えると記憶が定着しやすいという効果と相まって、速読であっても案外頭に残っています。
また、こうした行為は、書店と違って立ち読みするのに気兼ねがありません。もし手元に置いておきたい本に出会えたら、そのときはAmazonなどで購入すればいいのです。
ところで、どこの図書館にもある子ども向けコーナーの活用もおすすめです。難しいテーマであってもわかりやすく興味が持てる体裁でつくられているので、あっという間に読めて、サッと基礎知識が身につくのが子ども向けの本の特徴です。
詳しくは以下の記事に書きましたので、ぜひ合わせてご覧ください。
目的達成までの道のりはひとつではありません。
本記事最初にご紹介した本山勝寛さんは、戦略はPCDAを回していくことが肝心と語っています。一度立てたからといって、それを守り抜くことにこだわる必要はないのです。
勉強法をブラッシュアップしながら、目標達成に向けて取り組みましょう。