「Internet Explorer(IE)」の完全無効化が、正式に宣言されました。
Microsoftが2月14日に公式発表したもので、具体的には、デスクトップ版のInternet Explorerサポートページがアップデートされ、以下のような一文が付け加えられました。
「サポートが終了したInternet Explorer 11デスクトップアプリケーションは、Microsoft Edgeの更新プログラムによって、Windows 10の特定のバージョンにおいて完全に無効になりました」
これは衝撃ですね。
とはいえ、Internet Explorerと、インターネットブラウザ全般の動向に注意を払ってきた人なら、かなり前から無効化されると知っていたことでしょう。
Microsoftは2015年以来、現行のウェブブラウザ「Microsoft Edge」にサポートを集中させ、レガシーであるIEブラウザは脇に追いやられた格好でした。
しかもそれだけでは済まず、2021年に入ると、MicrosoftはIEを引退させる計画を発表。徐々にこのブラウザからの移行を図り、2022年6月15日には正式にサポートを停止すると発表しました。
最近カレンダーをチェックしていない読者の方のために説明すると、この2022年6月15日というのは、今から約8カ月前です。つまりMicrosoftとしては、IEを半年以上も前に引退させていたわけです。それでも、引退は完全無効化とは異なります。
Microsoftは、簡単にできるEdgeへの切り替えを進めつつ、この時代遅れになったブラウザを使い続けるためのハードルを上げてきましたが、それでも、技術的にはIEでウェブを閲覧することは可能でした。
もちろん、こうした使い方は推奨されてはいません。年季の入ったIEは、2022年の時点では相当使いにくいブラウザではありましたが、それだけでなく、サポートが終了したIEはセキュリティ上のリスクと化していました。
それでも、Internet Explorerは生きながらえていました……この状況を「生きている」と呼べるなら、の話ですが。
では、時計の針を2023年2月14日に進めましょう。この日は偶然にもバレンタインデーでしたが、今でもInternet Explorerを愛しているという人には酷な日となったことでしょう。
このアプリに長く幸せな引退生活を送らせる代わりに、Microsoftは全廃を決め、Windows 10の特定バージョンでは永久に無効化することにしたのです。多くのケースでは、今後はIEをまったく使うことができなくなるでしょう。
かつてワールドワイドウェブの世界に君臨したInternet Explorerの栄枯盛衰
Internet Explorerはかつて、ウェブを閲覧する際の定番ブラウザでした。
例えば、2003年にネットへ接続していた人なら、当時はおそらくIEを使っていたはずです。というのも、シェアがピークに達していたこの年、IEは実に市場の95%を占めていたからです。
この圧倒的なシェア獲得に一役買ったのは、Microsoftによる、強引にも見えるWindowsへのIE統合でした。これにより、当時人気のブラウザだった「Netscape」など、ほかの選択肢を検討することさえ難しくなったのです。
実際、Netscapeの親会社だったAOLは、Microsoftの市場優位性を利用した独占的慣行に対して訴訟を起こし、結果としてこの裁判に勝訴しています。それでも、状況に変わりはありませんでした。
IEを選ぶユーザーが(意識的に選んだと言えるかどうかはともかく)あまりに多かったからです。
しかし、Internet Explorerの栄光は長くは続きませんでした。