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「キャリアデザイン」ということばは、とかく「上昇志向」「出世主義」「勝ち組」というようなイメージで捉えられがち。しかし『キャリア迷子 自分らしく働けない人のための「生き方提案」』(小林さとる 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、違った考えをお持ちのようです。

本来「キャリア」とは、仕事における出世の道といった狭い意味の言葉ではなく、もっと広い、いわば「人生の歩き方」といった意味を持つ言葉なのです。

本書で提唱している「キャリアデザイン」は、決して「上昇していくための仕事選び(いわゆるキャリアアップ)」といった狭い意味で使うのではなく、ポジティブな「キャリアダウン」、つまり、収入が下がったとしても働きがいや満足度が高くなる仕事に就くという選択肢も含めた意味で使うようにしています。(「はじめに」より)

“ポジティブな「キャリアダウン」”という捉え方は、たしかに重要かもしれません。キャリアについて不安や悩みが生まれて迷ってしまったとき、そうした広い視野でキャリアについて考えられれば、「どう進むべきか」が見えてくるはずなのですから。

ちなみに著者は、キャリアコンサルタントとしてこれまでに約3800名以上の求職者に対し、キャリアデザインの考え方を伝え、サポートしてきたという人物。現在はいくつかの大学で、キャリアデザインの科目も担当しているそうです。

つまり本書においては、著者自身が多くの求職者と接してきた経験を軸として、「これを知っていればキャリアデザインを描いていくうえで必ず役立つだろう」と思える考え方のポイントやコツをまとめているわけです。

そんな本書のなかから、きょうは第3章「これからの働き方と仕事」に焦点を当ててみたいと思います。

仕事・職業・労働はどう違う?

「仕事」「職業」「労働」という3つのことばから受ける印象は、はたしてどう違うでしょうか?著者は、「正解、というわけではないのですが…」と前置きしたうえで、これらについて次のように解説しています。

まず、「職業」「労働」より広い意味があるのが「仕事」ということば。たとえばガーデニングを趣味にしている人が休日に自宅の庭で作業をする際、「畑仕事をする」「庭仕事をする」という表現が用いられます。また、「赤ちゃんは泣くのが仕事」というような使われ方をすることもあります。

しかし、そこには報酬が発生しているわけではありません。つまり仕事とは、有償無償を問わず、なにかの意図を持って意味のある作業をする場合に使われることばだということ。

一方、「職業」や「労働」という場合、通常は趣味の家庭菜園や赤ちゃんの行動などは含まれません。いわば、生活の糧となる対価を得て行う場合にのみ、職業や労働ということばが用いられるわけです。

「職業」ということばには、任務や使命といった「やるべき価値のあること」「誇りを持って取り組んでいること」というニュアンスが含まれるもの。

しかし「労働」となると、「生活のためにやらざるを得ないもの」「命令されて行うもの」というような、ややネガティブなニュアンスが感じられたりするようです。(88ページより)

キャリア迷子が働くことに「前向きになる」には

キャリアについて迷っている「キャリア迷子」の方々は、「仕事」「職業」「労働」のすべてにネガティブな印象を抱いていらっしゃるかもしれません。

たしかにそれらはすべて、「働く」という動詞で表される内容の行動を伴うもの。憲法で「勤労の義務」が定められているように、働くことには強制的、義務的なニュアンス、別な表現を用いるなら「やらされ感」が多少なりともついてまわるということです。

とはいえ、そんなふうに捉えるのはもったいないこと。たしかに働くことには、苦痛が伴う場合もあるでしょう。しかしその一方、大きな喜びや達成感、楽しさを感じられる瞬間もあるもの。

そういう意味で働くとは、幸せな人生を築くための重要な要素でもあるのです。事実、最近では「キャリア権」といって、働くことを義務と捉えるのではなく、「働く人が自分の意欲と能力に応じて希望する仕事を選択し、職業生活を通じて幸福を追求する権利」と解釈する流れにも注目が集まっているようです。

ところで著者はここで、次の寓話を読んで考えてみてほしいと記しています。

18世紀のイギリスの話です。街角でなにか建物の建設工事が行われており、そこに3人の石工が働いていました。

脇を通りかかった人が、働いていた3人それぞれに、「あなたは何をしているのか」とたずねました。

最初の人は、つまらなそうな顔で「仕事だよ。これで食べている」と答えました。

2番目の人は、手を休めずに、「石工さ。私は腕のいい職人なんだ」といいました。

3番目の人は、嬉しそうに目を輝かせながら、こういいました。「教会を建てているんだ」。

さて、3人は働くことでなにを求めていたのでしょうか? 少し考えてみてください。(91ページより)

これは昔からある寓話なのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、話のなかでは、3番目の人はさらに「この地域の心の拠り所をつくっている」とつけ加えたとされているそう。

いうまでもなく、この寓話が考えさせてくれるのは働くことの意義や価値です。

生活の糧を得ること、自分が持つ技能や知識を活用すること、こういったことでも、もちろんある程度の満足感を得ることができるでしょう。

しかし、それらを超えて、直接、社会の役に立つことをしたり、自分が心から信じるものを実現したりすることで、より大きな満足感が得られるということです。

3番目の人の答えは、他者(地域の人々)の役に立つことが自身の満足につながっているから出たものです。

このように“誰かのために働く”と答えることは美しいと考えられがちですが、これも問いに対する唯一の正解というわけではありません。(92ページより)

このことについて、どんな答えを思い浮かべたでしょうか? 小さなことだと思われるかもしれませんが、改めて考えてみることは決して無駄ではないはずです。(90ページより)

著者も述べていますが、最終的に自分のキャリアをデザインしていくのはほかならぬ自分自身。とはいえ、最初はなにから手をつけて、どう考えていけばいいのかはわからないものかもしれません。だからこそ、そんな方は本書を参考にしてみるべきではないでしょうか。

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Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン