学び続けると見えてくる、いつの時代も変わらないもの

——リスキリングのために一通りの学びを終えたあとは、何が必要になりますか?

私が講座の受講生の方に卒業式でいつもお伝えしているのは「学び続けるマインドの大切さ」です。今、新しいことを私たちのスクールで学んでも、それは2年後にはもう古い技術になっているかもしれない。ITの世界では、常に新しい情報を学び続けることが重要です。

もしかしたら、終わりのない消耗戦のように聞こえるかもしれませんが、それを続けていると、逆にいつの時代にも変わらない普遍的なものが見えてくるんです。人類が過去70年以上、積み上げてきた計算機科学のルーツについて興味を持つようになります。

おもしろいのが、ある程度の期間プログラミングを学んだり、仕事に就いて数年キャリアを積んだりしたあとに、ベースとなる知識であるコンピューターサイエンスをもう一度学び直す人が多いんですよね。

プログラミング(コーディング)という分野自体、そもそも計算機科学=コンピューターサイエンスのうちの15%程度の要素でしかありません。ただ、その部分に対する理解が深まると、ベースとなる普遍的で古典的な知識に対する興味も高まるんです。

時代が変わり続けるなかで、貪欲に新しい情報をキャッチアップし、学び続けるマインドを持つこと、そこからより普遍的なものにも目を向けていくことが大切だと思っています。

——これからリスキリングに取り組みたいと考えている人や、その選択にプログラミングを考えている人に、メッセージをお願いいたします。

リスキリングというのは結局、「自分を見つめる作業プロセス」だと思っています。現状での不安や焦りからなにか学びたいと思う方も多いとは思いますが、それ以上に、学ぶこと、挑戦していること自体が楽しいと思えることも大切です。

重要なのは主体性をもって取り組むことなので、あまり考え過ぎずに、もっとポジティブにリスキリングを捉えて取り組んでいけばいいのではないでしょうか。

そのなかでプログラミングは、PC1台あればすぐにはじめられる分野。まずは、最初の20時間から続けてみてほしい。そうすれば、見える世界も広がるはずです。


リスキリングの重要性について、そしてプログラミングを学ぶ意義、学んだ先の可能性について広く熱い想いを語ってくれた鶴田さん。

後編では、実際にCODEGYM1期生としてプログラミングを習得し、現在エンジニアとしての新たな道を拓いた卒業生の方のエピソードをお届けします。

まとめ:リスキリングに「プログラミング」を選ぶ意義

  • リスキリングは、「この時代をサバイブしていくために必要なものは何か」が出発点であり、「自分を見つめる作業プロセス」。異業種への転職を目的にすることもあれば、職域を広めることも目的になる。
  • 目に見えないものを扱える人と扱えない人との間で「21世紀の教育格差」が広がる。ITがすべての産業に侵食する中で、抽象化されたものを理解し、扱えるようになるには現状維持では×。
  • 学びやスキルの獲得は5年、10年の単位で前倒しになっている。技術の進歩や発展に取り残されないためにも、世代や国を超えた先に目を向け、学びに主体的に取り組もう。
  • プログラミングは、自分の価値観や思考回路を変えてくれる。まずは20時間諦めずに取り組み、具体的な「学ぶ目的意識」を見つけよう。
  • 時代が変わり続けるなかで、貪欲に新しい情報をキャッチアップし、学び続けるマインドを持つこと、そして学びのベースとなる普遍的なものに目を向けていくことの2つが大切。

▼後編はこちら

30代未経験でエンジニアに転職。コードジム卒業生に聞く「リスキリング」をキャリアにつなげる秘策 | ライフハッカー・ジャパン

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鶴田 浩之(つるた・ひろゆき)

鶴田 浩之(つるた・ひろゆき)

1991年、長崎県生まれ。13歳のときからWebサービスをつくり始め、16歳で起業。慶應義塾SFCに入学後、20歳のときに株式会社Labitを創業。リクルートグループ、Gunosy、KADOKAWA等に事業譲渡/M&Aを経験後、2017年に株式会社メルカリに参画。メルカリの新規事業の創出を担うグループ会社、ソウゾウ執行役員に就任。2016年、渋谷・道玄坂に新刊書店・コーヒースタンド「BOOK LAB TOKYO」をオープン(2018年にインフォバーングループへ営業譲渡)。2019年に株式会社LABOTを設立し、2020年より日本初「出世払い」を支払い方法の1つとして採用したオンラインのエンジニア養成学校「CODEGYM」を展開している。2023年からは、完全無料の研修を経て転職支援が受けられる「ENGIN」という新サービスに挑戦中。

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Source: CODEGYM

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