新しい習慣は数が多いほど定着しないことを、私は身をもって実感しました。
昨年、私はスプレッドシートで睡眠、栄養など生活上の必須項目と優先度の高いアクティビティや習慣をトラッキングしました。
実行できた習慣のセルは緑に、実行できなかったものは赤にして記録しました。
すると、すべてのセルが緑になる日などないことがすぐにわかりました。つまり、エクササイズ、読書、友人とのおしゃべり、ピアノの練習、決まった時間の就寝など全部できる日はないということです。
そのため、私は、「連続を途切れさせるな」という習慣維継続法をあまり支持していません。私の場合は、週に5日できたら十分です。
継続できる習慣とできない習慣があった
スプレッドシートで記録をつけてみることで、生活のストレス度が高くなってくるとどの習慣を切り捨ててしまうかわかったのは興味深いことでした。
私はピアノが大好きですが、忙しくなると真っ先に省略してしまいます。ただでさえ忙しいのに、さらにやるべきことが増える感じがするからです。
一方、エクササイズは、何があっても継続できる習慣です。朝のヨガの練習と毎週のLes Millsのクラスを続けていられる限り、ほかのことは省略してしまえます。
また、忙し過ぎてYMCAに行けないときは、20分間散歩するようにしています。
コアの習慣を特定する
どんなに大変な状況になっても、コアの習慣を維持していると、得るものが多いようです。ハーバード・ビジネス・レビューは、次のような意見を紹介しています。
昨年は私たちにとって、物事の優先度を決める年になりました。
絶対必要な優先事項やアクティビティを識別して、着々と最適化しながら、重要ではあっても緊急度が低いことは嫌々ながらも切り捨てています。(中略)
毎日行なう習慣や週単位で行なう習慣の中で、長期的な目標の達成にプラスになるものは継続しやすく安定しています。
誰もが規則的に実践する自分なりの習慣があり、それを軸にして生活が形成され、心身の健康が維持され、生活を意識的にとらえることができています。
こうした習慣は常に重要であり、どんなに多忙で混沌としたときであっても欠かすことができません。
習慣化は1つずつ
それで、私はいったん立ち止まり、これというものだけを選び、優先順位をつけることにしました。
新しい習慣を身につけることはできないとか、新しい習慣を1つ増やしたら既存の習慣を1つなくすべきだという言いたいわけではありません。
習慣に関する専門家のJames Clearさんは、習慣は1度に1つずつ身につけるようにすること、達成率と効率が高まるように複数の習慣を行なう流れをつくることを推奨しています。
たとえば、朝のルーティンは次のような習慣の流れかもしれません。
1. コーヒーをカップに注いだら、60秒瞑想する。
2. 60秒瞑想したら、その日のToDoリストを書く。
3. その日のToDoリストを書いたら、すぐに最初のタスクをはじめる。
でも、真っ先にすべきことは、何があっても継続したいコアな習慣はどれなのか自分に問いかけることです。
そのコアな習慣を軸にして生活すれば、どんなに大変なときも継続できます。
──2019年6月15日公開記事を再編集して再掲しています。
訳: 春野ユリ/Source: NICOLE DIEKER, HBR, James Clear(1, 2)