自分の行動以外の情報にもとづいて長期計画を立てるときには、世界がどれほど予測不可能であるかを十分に理解しておく必要があります。
特に、計画を後押ししてくれるような「有利な」情報がいくつも見つかっている場合は、つい浮かれて調子に乗ってしまいがちです。
Collaborative Fundが同社のブログに、「計画や予測を立てるときに頭にいれておくべき12の原則」という記事を掲載しています。
同記事はおもに投資予測に焦点を当てたものですが、ここで紹介されている原則は、どんな種類の計画を立てるときにも覚えておくべき優れものばかりです。
信じたいものだけを信じてはいけない
予測を信じようとする気持ちの強さは、あなたがその予測が真実であることをどれほど必要としているかに左右される。
これは、あらゆる種類の予測に当てはまる、誰もが持っているフィルターです。
このフィルターのせいで、人は間違った政治的信念にしがみついたり、奇跡の治療をうたう藪医者に惚れ込んでしまったりするのです。
このフィルターがかかっていると、自分にとって都合の良い結果を暗示させる予測を信じがちになります。
その予測が間違っていると自分に非常に不都合なことが起きるからという理由で、それを真実だと思い込もうとしてはいけません。
たとえば、飲酒に肯定的な研究論文をいくつか読んだからといって、飲酒が健康に良いと決めつけてはいけません。
数多くの研究が、アルコールが癌につながることを示しています。
リスクを受け入れると判断するのは自由ですが、リスクがあることを無視してはいけません。
自分以外の人を考慮に入れること
自分以外の人々の行動を予測するには、その人たちの動機や社会的規範がどのようなものであるか、また、そうしたものすべてがどう変化するのかを理解していなければならない。
自分のゴールを達成するには、自分以外の人たちのゴールが何であるかを理解しなければなりません。
それは、非常に複雑で困難な作業です。
「経済のようなものを予測するのが困難な理由の1つは、私立大学を出て年間数百万ドルを稼ぐエコノミストたちが、全世界の人々(その78%は、ぎりぎりのその日暮らしをしている)の消費行動を理解しようとしていることにある」と、Collaborative FundのMorgan Housel氏は言っています。
またこれが、企業や行政などの組織に、サービスを提供する相手と同じくらいの多様性がなければならない理由でもあります。
無数の消費者製品、サービス、非営利活動、政府プログラムが失敗に終わった原因は、全員が男性で構成されたチームや、全員が白人で構成されたチームが、自分たちとは異なる多種多様な人々のニーズや欲求を予測できなかったことに行き着きます。
自分以外の人たちが、何を求めているのかあまりにわからなすぎて、自分がわかっていないことすら、気づかないことがよくあります。
この原則を私生活に適用するとしたら、あなた自身の欲求にもとづいて、家族やパートナーの欲求を予測してはいけないのです。
また、企業生活なら、上司や経営者があなたを昇進させたり、解雇する動機は何であるかを考えるべきだということです。
自分とは異なる人生経験をもつ人たちが、どんなことで気分を害し、どんなことで勇気づけられるかを考える必要があるのです。
今回紹介した原則は、特に目新しいものではありません。意識的に心に留めておかなければ、うっかり忘れたまま人生を送ってしまうようなものばかりです。
復習のために、もういちど読み返しておきましょう。
──2019年9月12日公開記事を再編集して再掲しています。
翻訳: 伊藤貴之/Source: The Collaborative Fund