もしあなたが、資産形成を長期的な視点で運用している「パッシブ型」の投資家だとしたら、ポートフォリオをどれくらいの頻度でチェックすべきだと思いますか?
多くの人は、ネガティブなニュースへの過剰反応を招く「損失回避バイアス」を持っています。では、「知らぬが仏」でのんびり構えているべきなのでしょうか? それとも、株式市場の動向を毎日凝視すべきなのでしょうか?
その答えは、どちらの選択肢がより自分にとって「退屈」であるかどうかで決まります。
ポートフォリオから感情を排除する
ポートフォリオを見る頻度よりも重要なのは、ポートフォリオの動向に対して感情的にどう反応しているか、ということです。
多くの人は、お金が増えた喜びよりも、お金が減った痛みのほうをより強く感じます。そうした経験を積み重ねた結果、損失回避バイアスが形成されることになります。
これが、ポートフォリオを頻繁にチェックしすぎると、衝動的で間違った決断をしてしまうおそれがあると言われるゆえんです。
こうした背景から、一般的にポートフォリオは四半期に一回以上、または月に一回以上確認しないようにすることが推奨されています。
距離を置くことで、ポートフォリオのパフォーマンスを、より合理的に見ることができます。短期的な“ノイズ”によるストレスから解放され、長期的な目標の達成に集中することができるのです。
言い換えるなら、株式市場のボラティリティ(変動性)に心がかき乱されるようなら、自制心が十分に鍛えられていない限り、毎日ポートフォリオをチェックすべきではないということです。
そのかわりに、合理的かつ「退屈」でいられるように、ルーティン化しておくべきなのです。
どのくらいの頻度でポートフォリオをリバランスするべき?
ポートフォリオのリバランスとは、自分が受け入れられるリスクレベルをあらかじめ設定しておき、それぞれリスクやリターンが異なる株式、債券などのさまざまな資産の組み合わせの全体が、設定したリスクにマッチするようにコントロールすることです。
たとえば、株式の調子が良いと、ポートフォリオ全体の価値が増加します。その結果、債券などの他の資産よりも、株式が過剰に重視されることになります。リバランスとは、そうした場合に適切な資産配分を維持するために、投資資産を売買することを意味します。
金融情報サイト「Investopedia」は次のように説明しています。
ポートフォリオのリバランスは、病院で健康診断をしたり、車のオイルを交換するような、定期的なメンテナンス以上のものではありません。
これが、多くの人が毎月、または四半期ごとにリバランスをする理由です。とはいえ、株式市場が5%以上変動するなど予期せぬ事態が市場に発生し、ポートフォリオのバランスが崩れそうなときには、リバランスは行われるべきでしょう。
理想的なリバランスの頻度は、実用性、取引コスト、ポートフォリオのドリフト許容範囲に基づいて決定されます。
もっとも、ポートフォリオのリバランスの頻度は、長期的にはそれほど重要ではないというエビデンスもあります。
Investopediaによると、2009年にバンガード社が行った調査で、ポートフォリオのリバランスを月に一度、四半期に一度、年に一度行っているパッシブな投資家たちのグループでは、平均年率換算リターンとボラティリティがほぼイコールであることが明らかになったそうです。
これが、Vanguardがポートフォリオのチェックは、半年に一度、または年に一度を推奨している主な理由です。
結論
ポートフォリオの資産配分はそれほど頻繁にいじる必要はありません。したがって、長期投資を毎日チェックする必要はまったくありません。
それでも、投資の日々の動きを観察するのが好きな人が多いことも事実です。感情的に距離をとりながら静観できている人もいますが、市場の変動性からストレスを受けている人たちもいます。
ですので、短期的なボラティリティのせいで判断が狂ってしまうようなら、月に一回、または四半期に一回チェックするだけの、傍観主義的なアプローチのほうが適していると言えるでしょう。
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Image: GettyImages
Source: Investopedia
Mike Winters - Lifehacker US[原文]