KonMari Media Japan株式会社 砂子貴紀さんに学ぶ「自分のやりたいことが見つかる 減らす、整える、デジタル片づけ術」連載。
第2回は世界が注目する「こんまり®流片づけメソッド(以下、こんまり®メソッド)」に基づき、編集部員のPCと個人・共有のクラウドを片づける方法をレクチャーしていただきました。
3分でわかる「クラウド片づけ」動画もお見逃しなく。
>> Vol.1はこちら
「デジタルデータの散らかり」が招く残念な事態

いつも探し物をしていてすぐに仕事が始められない。仕事で発生する無駄な時間を減らしたい──。
そんな悩みを抱えるライフハッカー[日本版]編集部に砂子さんが提案してくれたのは、「毎日使っている自分のPCと共有クラウドの片づけ」です。
レポートやプレゼンテーションの資料、スプレッドシートなどのデジタル文書。これらの大きな問題は、なんでも保存できるので、ついそのままにしてしまう、ということ。
その結果、あまりにも多くのデータが溜まりすぎて、制御不能な状態に陥ってしまう…。保存スペースがなくなる、必要なものが見つけられない、デバイスの動きが遅くなるなど、業務効率が大幅に低下してしまうのです。
「デジタルデータもリアルな机の上と同じ。散らかっていると、効率的にも精神的にも決してポジティブとはなりません。まずは自分のデスクトップ(PC)を整理することから始めましょう」(砂子さん)
「究極の片づけシンプルスキーム」でデータを整理
砂子さんいわく、デジタルデータの整理は「ビジネス領域のコア片づけ」。
前回うかがった「究極の片づけシンプルスキーム」をもとに、描く→出す→選ぶ→戻すという4つのステップで、PCにたまったデータを整理していきます。
究極の片づけシンプルスキーム

- 理想を描く
- 現状持っているモノをすべて出す
- ときめくモノだけを選ぶ
- 選んだものだけ定位置に戻していく
最初のステップは、PC環境における“理想の状態”をイメージすること。「こんまり®メソッド」において、いきなり片づけ始めるのはNG。
ビジネスと同じで、まずはビジョンを描くことが重要だと砂子さん。
「理想の状態」の例
- スッキリしている
- 一目瞭然でフォルダやファイルが区別できる
- 求めているメールやファイルをすぐに見つけられる
- 検索しなくてもいい!(検索すると膨大なファイルが該当する、という問題を解消する)
PCが理想の状態になったら、自分の業務効率がどのように改善しそうかも明確にイメージしましょう。
このイメージを思い描きながら、「一気に短期に」片づけることが成功の秘訣! これを「こんまり®メソッド」では「片づけ祭り」と呼んでいます。
デスクトップは「何もない」のが基本

砂子さん自身は、デスクトップもリアルな机の上も、「何もない」状態にするように心がけているそう。
おもてに出すのは「未処理フォルダ」(リアルであれば未処理ボックス)と「保存フォルダ」のみ。
「未処理」はできるだけ早く処理を行い、残すべきものだけを「保存」します。
「とても簡単なエッセンスのようですが、極めて合理的です。
このように条件づけをしてすぐに整理する習慣をつけると、自然と仕事も整理されていきますよ」(砂子さん)
「保存」フォルダに入るのは、次の3つに分類されるデータです。
<PCに保存する3つのデータ分類>
- 今使っている doing
- しばらく必要である for a while
- ずっととっておく forever
1と2は、進行中のプロジェクトなどに必要なもの。
3は契約書類などの重要なデータや、「これは残しておきたい」という特別な“ときめき”を感じるものが該当します。
「データや書類はつい溜め込んでしまいますが、『こんまり®メソッド』では“forever”以外は“全捨て”が前提。
無茶に聞こえるかもしれませんが、“全捨て”が基本だと思うと、自然と本当に残したいものが決まってくるはずです」(砂子さん)
共有クラウドを整理するメリットは?
続いてはクラウドなど、チーム間で共有するデータの片づけです。
砂子さんのチームでは2019年の秋にクラウドの整理に取り組み、2日間×4時間をかけて作業したそう。
「これ以降、チーム間で『あのデータ、どこにあったっけ?』とファイルを探す時間が圧倒的に減りました。
それに加えて、ファイル探しを依頼したり、依頼されたりするときの心理的ハードルも下がりました。
依頼する側も相手がすぐに探せることが前提だし、される方も負担がない。そもそも、自分で簡単に探せるから人に頼むこともなくなります」(砂子さん)
共有データの片づけでは、「究極の片づけシンプルスキーム」でいう「出す&選ぶ」工程が作業のポイントとなります。
共有クラウドを整理する5つのステップ

必要なステップは下記の通りです。
1. 全てのファイルをできるだけ⼀箇所に集める
→ 過去のフォルダ/とりあえず/仕事系など。
2. 書類直下のフォルダをデザインし(大カテゴリ)、フォルダを先に作る
→ 「ビジネス」「プライベート」「XX株式会社」「OO法人」など。
3. 大カテゴリ直下をデザインし(中カテゴリ)、フォルダを先に作る。番号を定める
→ 01_人事 02_財務 03_マーケティング など
4. 定めたルールに沿って、一箇所に集めたファイルを一つひとつ確認。
5. doing(今すぐやる)、 for a while(一定期間必要)、forever(一生残す)に分類する
「私たちのチームでは、それぞれのフォルダのオーガナイザー(管理者)も決めて、フォルダ名に“org”として記載しました。
こうすることで、そのフォルダを誰が作ったか、誰が管理しているかを確認することができ、ファイルの別バージョンが増えていくといったトラブルの防止につながります」(砂子さん)
編集部も共有クラウドを片づけてみました!

砂子さんのレクチャーを受け、さっそく共有クラウドの整理に着手した編集部。
必要なデータを見直し、フォルダを精査。すべてのフォルダにナンバリングを施し、共有情報周知したことで、以前と比べて格段にデータが探しやすくなりました。
片づけた結果どうなった?
共有書類が一目瞭然になったことで、大きく変わった点は、3つ。
- 必要な情報にすぐアクセスできる
- 業務の引き継ぎがスムーズに
- 保存場所に悩まない
「個人の書類や資料を探す時間と確認する時間が激減! 一人だとたった数分でもチームとしては大きな変化です。これによって仕事の効率はもっと上がっていきそうです(編集M)」
これを見た砂子さんからはさらに「フォルダのナンバリングは9つ以内に収められるとベスト」とアドバイスが。
類似するフォルダはできるだけ統合し、スクロールなしでスッキリ見られるようにすることで、「ときめく」共有フォルダになるといいます。
3分でわかる「クラウドの片づけ方」
季節は春、これから新しいスタッフを迎えるライフハッカー[日本版]編集部にとって、このタイミングで共有クラウドを整理できたことは大きな成果となりました。
「共有クラウドを整理しておくメリットのひとつは、引き継ぎや権限委譲が非常にスムーズなことです。
OJTもデータの片づけも、『私はこうしています』ではなく、『私たちのチームのスタンダードはこれ』という流れで教えるべき。
そうでないと、同じ人がずっと引き継ぎの役目を担うことになってしまいます。共有クラウドの整理やオフィスの片づけは、その第一歩です」(砂子さん)
KonMari Media Japan株式会社 砂子貴紀さんに学ぶ「自分のやりたいことが見つかる 減らす、整える、デジタル片づけ術」、次回はタイムマネジメント編。
編集会議の大幅な短縮につながった、“時間の散らかり”を解決するメソッドをお届けします。
砂⼦貴紀 Sandy -Takanori Manago-

KonMari Media Japan(株) 代表取締役社長 / KonMari Method Business School Founder
こんまり®︎メソッドを自社・他社関わらず、企業経営や事業マネジメント、コミュニケーションに日本で最も活かしてきた現役経営者 兼 プロコーチ。こんまり®︎メソッドの発案者である近藤麻理恵とは 12年以上前から親交があり、「チームこんまり」の経営に参画するまで メソッドの良き理解者であり実践者でもあった。外資系金融機関最年少支社長というキャリアを周りの反対を押し切って手放し、三児の父であるにも関わらず、全てをリセットした経験があり。ジョブレス中、家族で世界一周へ。
こんまり®︎メソッドのビジネス応用に関する企業研修・オンライン研修・講演・著名人との対談などの実績多数。(早稲田大学・リクルート社・Facebook社 etc.)
あわせて読みたい