最近、同僚がこう言いました。「忘れること(Unlearning)が新しい学び(learning)なんだって」。

その言葉のバカバカしさに笑って呆れていましたが、それから、多くの人がどのようにキャリアを形成したり、キャリアアップしているかという、もっと具体的な話になりました。

誰もがキャリアを積み重ね、収入や肩書、責任の範囲を広げ、増やそうとしています。より多くのものを得るために、より多くのことをやりたいと願います。

しかし、新しい目標を達成するために必要なエネルギーや余白、時間をつくるために、何をやめるべきかを考えることはほとんどありません。

これこそがUnlearn」、つまりいらない知識やアイデア、行動などを諦めたり、放棄することです。

自分がベストを尽くすことを阻んでいるもの(行動)に気づき、それを手放せば、自由になることができます。そうすることで、それまでとは違う新しい行動が可能になり、より多くの恩恵が得られます。

忘れることで、言葉や視点も明らかに変わります。

忘れることは、別のことをするための学びだと言う人もいます。間違いありません。

また、仕事や行動に対する考え方を変えることで、新しいことに挑戦する魅力が増し、その結果、成功につながるのです。

忘れるための方法

専門家が提案する、忘れる方法は簡単です。その一例をご紹介しましょう。

  • 自分が今やっていることで、効果のないもの、無意味なもの、無駄なものに気づき、認める
  • そのような無駄な行動に変わる、新しい情報や行動や考え方を探す
  • 新しいものを推進し、古いものを手放す、という新しい行動に自分を没頭させる

何となくわかりますよね?

大事なのは、何を手放すかを見極めることです。これが最初の一歩であり、一番難しいことでもあります。

今回は、職場で自分のパフォーマンス(と幸せ)を向上させるために、手放すべきもののご紹介します。

成功するために苦しむことを手放す

苦労なくして得るものなし」という考え方が、いまだに仕事や労働に関して根強く残っています。「より長い時間、よりがんばって働くほど良いことだ、休みや休暇は弱さの表れだ」という思い込みです。

さらに、忙しいのはステイタスシンボルであり、忙しくない人は付加価値がない、つまり成功するために全力を尽くしていないとみなされます。

このような考えや思い込みによって、燃え尽き症候群医療費の高騰、職場の惨状へとまっしぐらに進んでいるのです。

しかし、にもかかわらず多くの人にとって、この思い込みを手放すのは非常に難しいことでもあります。

このような思い込みがある人や、この思い込みを手放したほうがいい人は、1日に休憩を多く取るという小さなことからはじめてみましょう。散歩に行くようにしたり、週末に働く時間を短くしたり、というようなことです。

職場の人たちの噂話を手放す

ほぼすべての人が巻き込まれるおそれのある、一番大きな時間の無駄があるとしたら、それは噂話でしょう。

他人のことをとやかく言ったり、他人の不幸を喜んだりすることで時間を無駄にすることです。

しかし、そのような噂話をされる人の立場に立って、自分が他人のおしゃべりの話題になっていることを想像すれば、それがいかに時間を無駄にしているかだけでなく、人間関係を悪くし、信頼を損ねるものだということがわかります。

噂話をするのがやめられないのは、それがある目的を果たしているからです。

Forbes誌でPeggy Drexlerが、「人類の歴史を見れば、噂話は他人と連帯感を生む方法であり、そのグループを支持しない人を孤立させるツールでもあった」と書いています。噂話は連帯感を育むので、参加したいという誘惑に駆られるのです。

この欲求を手放すには、そのような話がはじまった時に、話を逸らすお決まりのフレーズをいくつか持っているといいです。さり気なく話題を変えたり、もしくは「ちょっと、他人の噂話はやめようよ」とはっきり言ってもいいでしょう。

いずれにしても、噂話をしないのは誰にとってもいいことです。

欠点や短所ばかり考えるのを手放す

忙しかった1日が終わると、振り返って、やれなかったことに気づくのは自然なことです。

もしくは、転職を考える時に、自分にない経験にばかり意識が向くことがあります。

これは、自分にできることを考える前に、自分がやってこなかったことを考える行為であり、欠点や短所を元に考える罠に陥っています。

このような考え方では、リスクを取ることを躊躇するだけでなく、自分が達成したことを認めたり、再現することも阻んでしまいます。

このような考え方を手放すには、自分の成功や学んできたことを振り返る時間を設ける必要があります

これは、わざわさ時間を設けるだけの価値があります。研究では「1日の終わりに15分間、学んだことについて振り返った社員は、振り返りをしなかった社員に比べて、10日後のパフォーマンスが23%向上した」ことがわかっています。

今度、自分ができなかったことや、やれなかったことを嘆いていることに気づいたら、自分がやれたこと、学んだことについて考えるよう切り替えましょう。

どんなに大変な仕事でも、「良い決断や問題解決ができた」「人間関係が構築できた」などの瞬間があります。そのような瞬間に目を向けるべきです。

忘れることは新しい学びでしょうか? そうかもしれません。確かに、ほんの少し考え方を変えるだけで、誰もが新しいスキルや行動、信念を身につけられます

手放さなければならないことを見極めることで、それをもっと生産的なものに置き換えることができ、それを定着させられるようになります。

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Source: National Library of Medicine, Emeritus, Oxford Academic, Behavioral Science & Policy Association, Forbes, Harvard Business Review