コロナ禍で浸透した在宅勤務。しかし、去年くらいから出社を義務付ける会社が徐々に増えてきています。
もっとも有名なところだと、イーロン・マスク氏による「出社して仕事しなければクビ」発言ではないでしょうか。また、Appleの経営陣も従業員に出社するよう呼びかけました。
先日は、米スターバックスがサポートセンターに勤める従業員に対して週3日以上の出社を命じ、ディズニーのCEOであるボブ・アイガー氏も、従業員に対して週4日の出社義務を命じました。
対面で働く重要性とは?
ボブ・アイガー氏はディズニーの従業員に向けて、以下のようなメールで出社の重要性を伝えています。
過去数カ月にわたってチームの人たちとミーティングをしてきたが、共に働いている人たちと一緒にいることはとてつもない価値があるのだと再認識させられました。
繰り返し言っていますが、クリエイティビティとは私たちが誰であるかの魂や心であり、私たちがディズニーでやっていることなのです。
そして、私たちのようなクリエイティブ業にとって、物理的に一緒にいることで得られる仲間とのつながりや観察、想像する力、リーダーやメンターから学ぶプロとして成長する機会は何にも勝るのです。
情報の共有速度が段違い
コロナ禍でリモートワーク化が急速に進み、働き方や暮らし方が見直されつつありましたが、反対に出社する意義を再認識した人たちも多かったようですね。
在宅勤務を15年してきた私個人としては、出社したほうが作業効率が上がるしキャリアアップしやすいと考えています。それは、出社したほうが情報の共有速度が段違いに早いだけでなく、アイデアが広がるからです。
在宅でも、SlackやZoomといったアプリを使えば必要な情報は共有してもらえますが、文字伝達は声色や表情が読み取れないために対面よりも気を使います。Zoomも便利ですが、相手と時間を合わせなければならず気軽さに欠けますよね。
出社しているなら、気づいたことや相談したいことを、相手の仕事具合を伺いながらすぐに共有できます。意見交換や、新たなアイデアを生むチャンスも豊富です。仕事の仲間にできるだけ気を遣わせずに、かつ、もっと貢献したいと思ったら出社が1番効率が良いと感じました。
ポジティブな同調圧力で意識が変わる
また、周りが働いているからというプレッシャーでダラけることも減り、かつ向上心が湧いてきます。私はこれを「ポジティブな同調圧力」と捉えています。
一緒に働くことによるメリットは、情報の偏りを防ぐ面でも感じられます。
昨今はあらゆることの変化が早く、ニュースやSNSを追っているだけでは情報収集が足りないと感じることもあります。また、アルゴリズムの影響で情報が偏りやすくなっています。
人と顔を合わせて会話する、もしくは人が集まる場所に身を置いて周囲の動向に目を配ってみるだけでも幅広い考えや異なる視点が手に入ります。
コロナ禍ならではの出社スタイルが求められているのでは
ここまで色々と出社のメリットを書き並べましたが、日本で一般的になっている長時間労働が良いと言っているのではありません。せっかく世の中が在宅勤務を受け入れているのだから両方のメリットを最大限生かせるスタイルが望ましいのかな、と思います。
ディズニーのボブ・アイガーCEOが言うところの「物理的に一緒にいることで得られる仲間とのつながりや観察、想像する力、リーダーやメンターから学ぶプロとして成長する機会」を得るための出社と捉えて、ワークスタイルも洗練させていくのが望ましいのではないでしょうか。
ちなみに、アマゾンは引き続き在宅勤務のスタンスを変えていないようです。出社しないこと=働き方の多様性を認めること、という考えもある今、各社の対応や方針に注目していきたいところです。
Source: NPR