本記事の筆者Derek Sivers氏は、起業家、プログラマー、ミュージシャン、音楽配信サービス「CD Baby」の創立者でもあります。また、自著『Anything You Want』を出版しています。
実に多才なSivers氏ですが、自身のブログに「やりたいことを成し遂げるためのアドバイス」を載せてくれていました。
同時にいろんなことをやろうとして、結局なにも進んでいない? 1つに絞ったほうがいいのはわかっているけれど、全部やりたいことだから…あなたはそう言うかもしれません。
それはわかります。問題なのは、あなたが短期的な視点で考えていることです。
まるで、今週中にすべてやってしまわないと一生できなくなっちゃう! とでも言うかのように。
長期的な視点で考えてください。数年で1つのことをやれば十分。それを達成したら、また次の数年で1つ、それを繰り返すのです。
「ビュリダンのロバ」から学ぶ、未来について考える力
ビュリダンのロバというたとえ話があります。
あるロバが、水の入った桶と干し草の間で立ち往生してしまいました。ロバは立ちすくみ、水の桶へ行くか、干し草へ行くか、きょろきょろするばかり。結局、どちらも選べないうちに飢えと渇きで死んでしまいました。
きっとロバは未来について考える能力がないのです。もし、考えられたなら、まず先に水を飲み、それから干し草を食べればいいのは明らかです。
くれぐれもロバにならないように。あなたは望むことを何でもできます。ただ、未来を考える力と、少しの忍耐力があれば。
長い目で見れば大体のことはできる
あなたがいま25歳だとして、やりたいこと(行きたい方向)が7つあるとします。1つに10年ずつかけたとしても、95歳までにはすべてを成し遂げられるのです(きっとそのころには平均寿命も延びているはず)。
25歳のうちに95歳までの計画を立てるなんてばかげている! と、思うかもしれません。しかし、いずれはそのときがくるので、考えておいてもおかしくありません。
今やあなたは、いずれはすべての望みが叶えられることを知っているので、気を散らしたり迷ったりせず、目の前のことに完全に集中できるはず。
とはいえ、小規模なことでいえば、誰でも普段からやっていることです。
何か緊急事態が起こり、どうしてもその日のうちにやるべきことがあれば、迷わず集中して取り組むはずです。もちろん、気を散らす思考はやってきます(そういえば映画のDVDをレンタルしていたっけ…)。
しかし、あなたはそんな声に惑わされず、タスクに集中することができるはず。なぜなら、タスクを成し遂げてから映画を見ればいいとわかっているからです。
そうです、これを1カ月や1年の単位に拡張すればいいのです。ほかのことはその後にやれるのですから、一度に1つのことに集中しましょう。
大半の人が、自分が1年間で何ができるかを過大評価しているのです。逆に、10年間でできることは過小評価しています。
長期的な視点で考えてください。
未来を有効に使い、短期的な視点で考えないでください。ロバにならないでください。
──2019年12月31日公開の記事を編集のうえ、再掲しています。
訳:伊藤貴之
Source: Derek Sivers, CD Baby, Wikipedia, Amazon.co.jp