ヴィーガン向けに、スクランブルエッグの代わりになる唯一の選択肢として、ブランチのメニューに入っていることも多いのが「スクランブル豆腐」です。
でも、正直に言いますと、個人的にはあまり食欲が湧かない料理です。
きちんと火が通っていない崩れた豆腐が、ニュートリショナル・イースト(ベジタリアン向けにチーズの代わりに使われる食材)とターメリックで味付けされていて、さらにドライのオレガノが必要以上にまぶされています(なぜオレガノと決まっているのでしょう?)。
しかも塩気も足りません。
栄養面では完璧なメニューかもしれませんが、要するに、おいしくないのです。ヴィーガン向けの食事だって、おいしくつくれますし、そうあるべきです。
今までスクランブル豆腐を食べたことがあって、ことごとく期待外れだったという人は、わざわざ自分でつくってみる価値はないという印象があるかもしれません。
しかし、そんなことはないと断言できます。
よくできたスクランブル豆腐は、スクランブルエッグと同様に、塩気が効いていてクリーミーで、ヴィーガンメニューの朝食では欠けがちなたんぱく質も豊富です。
自作するのに必要なものは、フライパンと、このメニューに向いたタイプの豆腐。そして、しっかり塩とスパイスを効かせた調味液です。
適したタイプの豆腐を選ぶ
おいしいスクランブル豆腐のための第1の秘訣は、適したタイプの豆腐を選ぶことです。
アメリカの豆腐で言うと、「ファーム(硬い)」か、それより少し柔らかい「ミディアム」を選び、「エクストラファーム(かなり硬め)」は絶対に避けましょう。
エクストラファームタイプの豆腐は、もそもそしたゴムのような食感になってしまうおそれがあります。
卵を使ったスクランブルエッグでも、こうした食感のものを私も食べたことがありますが、より柔らかくとろりとした、ファームあるいはミディアムタイプの豆腐の食感のほうがずっと好印象です。
味付け
第2の秘訣は、味付けです。ヴィーガン向けミルクと乾燥スパイスを混ぜ合わせた調味液で味をつけましょう。
私も以前は、卵を使ったスクランブルエッグと同じやり方で、スクランブル豆腐をつくっていました。つまり、強火で加熱し、火を消す直前に味付けをしていたのです。
けれども、この方法でつくったスクランブル豆腐のできには、いつもがっかりしていました。
ところが、豆腐をソテーしてから、ヴィーガン向けミルクとニュートリショナル・イースト、刻んだニンニク、ターメリックを混ぜ合わせた調味液を投入し、弱火で加熱するようにしたところ、印象ががらりと変わったのです。
乾燥スパイスをミルクに混ぜることで、均等に混ざり合うだけでなく、スパイスが水分を含み、香りが引き立ちます。
この風味豊かな調味液を使い、豆腐を弱火で調理すれば、スパイスが浸透し、どこを食べてもしっかりと味がついたスクランブル豆腐になります。
基本的に、このシンプルなステップを踏むだけで、「味気ない崩れた豆腐の山」が、「クリーミーで、驚くほど卵に近いスクランブル豆腐」に化けるのです。
材料
空腹の大人約2人分のスクランブル豆腐をつくるのに必要な材料は、以下の通りです。
- 甘味が加えられていない、プレーンなヴィーガン向けミルク(自分の好みは豆乳かオートミルク):カップ1と1/2(アメリカサイズのカップ1=240ml)
- ニュートリショナル・イースト:カップ1/4強
- 刻みニンニク:大さじ1
- ターメリック:小さじ1
- 砂糖:小さじ1/2
- 塩:小さじ1/2(味見して適宜加える)
- ミディアムあるいはファームタイプの豆腐:1ポンド(約453.6グラム)、崩しておく
- ココナッツオイル:大さじ2(オリーブオイルや普通のサラダ油でも可)
手順
- ボウルか計量カップに、豆腐とココナッツオイル以外の材料すべてを入れ、塩が溶けるまでかき混ぜる。
- 大きめのフライパンを、強めの中火で加熱。温まったら油を入れ、フライパンを回して底全体がまんべんなく油で覆われるようにしてから、豆腐を加える。
- このまま動かさずに2〜3分加熱してから、先ほどの調味液を入れ、火加減を中火に落とす。
- 時々かき混ぜながら、水気がほぼなくなるまで火を通せばできあがり!
食べ方はお好みですが、自分はこれを、朝食用のタコスの具にしてみました。スモーク・パプリカパウダーで味付けしたポテトと合わせ、サワークリームと、「Valentina Black」ブランドのホットソースを添えました。
でも、テンペベーコンと一緒にサンドイッチの具にするのも同じくらいおいしいですし、そのまま単品でいただくのもおすすめです。