複数のワクチンが完成、世界各地で接種が行なわれていますが、変異ウイルスも登場し、コロナ2年目も油断できません。

マスクの2枚重ねは本当に効果的?

今年に入って、わたしが住むアメリカでも変異ウイルスが発見されたというニュースを目にするようになったころ、マスクを2重に着用する人が増えているのに気づきました。

それを真似して、わたしもなんとなく不織布マスクの上に布マスクをするようになりました。寒がりには顔が暖かくなって一石二鳥(個人的には、これは高ポイント)。それに布マスクのほうが、不織布マスクよりファッション性もあります。

ですから、2月10日に米国疾病予防管理センター(CDC)がマスクの2重着用についての実験結果を発表した時、なるほどと納得しました。

CBS Newsによると、

実験では、使い捨てマスク1枚の時には飛沫侵入の防止は42%でした。使い捨てマスクの上に布マスクを重ねた場合には、咳から出る飛沫を92.5%防ぐことができました。

マスクをこのように2枚重ねた場合、マスクをしていないソースによって広がる飛沫からの「累積暴露」を83%減らすことができたと報告されています。

飛沫を飛ばす側と受ける側のダミー両方にマスクを2重に着用した場合には、累積暴露の減少は96.4%まで上がりました。

CBS Newsより引用翻訳

この結果から考えると、マスクを2枚着用すると、自分が飛沫を飛ばすことも、他人から飛沫を受けることもかなり防げそうです。

ただし、CDCは、上に重ねるマスクが、下のマスクの端を顔に押し付けて隙間をなくすように着用することが重要だと注意を促しています。

また、NHKあさイチで取り上げられた東京大学の研究によると、不織布マスクの上にウレタンマスクを重ねた組み合わせがもっとも飛沫の侵入を防げたそうです。

おまけに自分が飛沫を飛ばすのを防ぐ効果も高くなるとか。ウレタンマスクはフィット感が高いので、この組み合わせは良さそうです。

不織布マスク1枚でも隙間を減らす方法

つまり、単にマスクの層が増えれば良いというわけではなく、隙間を狭くしてマスクがもっと顔にフィットすることがポイント。

たとえば不織布マスクの紐に結び目をつくって隙間を小さくすることでも、感染予防効果があるとCDCは述べています。

マスクを1枚つけているだけでも苦しいのに、2枚重ねなんてできないという人にはこの方法がおすすめです。

UNC Health: Pro Tip to Help Your Earloop Mask Fit More Tightly
Video:UNC Health/YouTube

こちらのノースカロライナ大学の動画では、不織布マスクに結び目をつくる方法が解説されています。

不織布マスクに結び目をつくる手順

  1. マスクを縦半分にきっちりと折ります(0:12〜)
  2. できるだけマスク本体に近く結び目をつくります(0:17〜)
  3. 鼻の部分のワイヤを合わせます(0:53〜)
  4. 結び目に近い部分のマスクを、隙間をなくすように内側に折り込みます(1:04〜)
  5. マスクを広げて、顎から鼻まで覆って着用します(1:25〜)
  6. 呼吸に合わせてマスクが動くようなら、正しく着用できています(1:42〜)

2重にしてはいけない時もある

CDCによると、マスクを2重にすべきではない場合もあるそうです。

簡易的な使い捨てマスクを2枚重ねる

→ 簡易的な使い捨てマスクは、しっかり顔にフィットするようにはできておらず1枚以上使ってもフィットは向上しない

KN95マスクを別のタイプのマスクと重ねる

→ KN95は一度に1枚だけ使うべき

CDCより引用翻訳

マスク着用のポイントは、適切なタイプのマスクを重ねること、マスクと顔の隙間をできるだけなくすこと。もちろん、顎から鼻までを覆うように着用する重要性はこれまでと変わりません。

NHKの記事では、エアロゾルの専門家である慶應義塾大学の奥田教授、CBSニュースでは、ボストン大学公衆衛生のJha先生が、いつも2重マスクを着用する必要はなく、感染リスクが高い状況で使えばよいと異口同音に述べています。

今年になってから、メディアでもまわりでも見ることが増えている2重マスク。マスクが必要な生活はまだ続きます。このような手軽にできるハックを取り入れて、引き続き安全に過ごしていきましょう。

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Image: Gettyimages

Source: CDC, NPR, YouTube, CBSNews, NHK