のか? この問いに対して、『行動の品質』(伊藤健太 著、フォレスト出版)の著者は次のように主張しています。
成果を出す人は、決定的に「行動の品質」が高い。 成果を出さない人は、決定的に「行動の品質」が低い。 (「はじめに」より)
意識的であるか無意識的であるかは別としても、成果を出す人は「行動の品質」にとてもこだわっているというのです。
ちなみに「行動」は「量」「スピード」「質」などに分けて論じられることが多いものの、それらは「どれがいちばん大切か?」と比較できるものではないのだとか。
ただしそこにはバランスが求められるため、バランスを自覚したうえで、「どのような行動をとっていけばいいのか」を見極めることが重要だということ。
著者は、起業家のためのコンサルティング事業などを推進しているという人物。10年間で1万人以上の起業家を支援する過程において前述した「うまくいく起業家と、うまくいかない起業家」との違いを目の当たりにしたのだそうです。
つまり本書の核である「行動の品質」は、そうした実績のなかから導き出されたもの。
ポイントは、「行動の品質を高めるには、いくつかの必要不可欠なエッセンスがある」ということのようです。そこで、きょうは第2章「『行動の品質』を高める3つのポイント」のなかから、要点を抜き出してみたいと思います。
マインドセット=「行動の品質」を大切にする
ところで、そもそも「行動の品質」とはなんなのでしょうか?
著者によればそれは、「成果を出すために、最小のエネルギーで、最大にして最高の成果を得ようとする考え方・行動」のこと。著者が定義したものであり、「よいマインドセット」を言語化したものだと考えることもできるのだそうです。
なお成果とは、お金を生み出すことだけを指しているわけではないのだといいます。
問題を解決することや、成長すること、わかりやすく成果を出すことすべてを含んでいるというのです。しかもそれは、なにに対しても、誰にでも使え、世界中で通用するものなのだそう。
また、短期の視点、中期の視点、長期の視点、それらどの視点でも当てはまるもの。“この瞬間の問題解決”という、短い視点だけの話ではないということです。(30ページより)
「行動の品質」を高める3つのポイント
なお、「行動の品質」をさらにわかりやすく分解すると、次の3つになるそうです。
① 最速最短最小で最大最高最適な成果を出すことを最優先で考える。
② 1つの行動がそれだけで終わらず、良い波紋を広げることを考える。
③ 自分だけでなく、そもそもまわりを巻き込もうと考える。
(31ページより)
それぞれを見ていきましょう。
1. 最速最短最小で最大最高最適な成果を出すことを最優先で考える
これは、時間、やり方、エネルギー、お金、ストレス、考え方、手段など、ありとあらゆる要素をできるだけ使わず、「最小で使って、最速で、最大にして、最高にして、最適な成果を得ようとする」考え方。
したがって、どんなときでも「最速最短最小で最大最高最適な成果を出す」ためにはどうすればいいかという問いを持つべきだというのです。
努力することを否定しているのではありません。努力を向けるべき方向を変える必要があるのです。
ズルをするわけではもちろんなく、一刻も速くゴールにたどり着けたほうがいいわけですし、そこにエネルギーも、お金も、時間も本来はかからないのであれば、それに越したことはありませんよね。
いっさい否定されるものではありません。 そのための大切な視点が、「最速最短最小で最大最高最適な成果を出すこと」なのです。(49ページより)
そのため、最初から努力が必要と思わず、どうやったらもっと「最速最短最小で最大最高最適な成果を出すこと」ができるか、それを問うようにするべきだと著者は主張しているのです。(33ページより)
2. 1つの行動がそれだけで終わらず、よい波紋を広げることを考える
圧倒的な成果を出す人は、常に「いまやっていることをいまだけの時間軸に収まらないように意識しながら取り組んでいるもの。
いまの行動が未来の意味につながっていくように、自分だけに影響するものではなく、まわりへの影響も意識しながら、「ドミノ倒しのようになるような選択」「レバレッジを意識した選択」「貯金になる選択」などを同時に行っているということです。
自分が何かをやることを、「どうしたらもっと遠くへ、もっと大きな成果に変えることができるのか」と考え、「この瞬間だけで終わらないように、無駄にならないように」と考えています。
1つのことをやって1つを得るのか。
1つのことをやって、波紋の如く広がっていくことを選択するのかの違いです。(59ページより)
成果を出すためには、一石二鳥、三鳥、四鳥、五鳥を目指したいという考え方です。(59ページより)
3. 自分だけでなく、そもそもまわりを巻き込もうと考える
圧倒的に成果を出す人は、自分ひとりでできることの少なさや小ささを知っているもの。したがって、「まわりをどうやったらうまく巻き込むことができるのか?」を構想する前から考えているのだといいます。
まわりをうまく巻き込むためには、自分はどうあるべきか、どのように行動すべきかを考えることが必要。独りよがりな人では、成果を出しにくくて当然。
つまり「まわりを巻き込む」という考えには、そうしたさまざまなことが含まれているわけです。(63ページより)
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著者の考え方には大胆な部分もあるように思いますが、しかし行動の品質を変えれば、たしかにいろいろなことが解決できそうではあります。より確実な成果を出せるようになるために、活用してみる価値はありそうです。
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Source: フォレスト出版