『メンタルコーチが教える 潜在能力を100%発揮する方法』(鈴木颯人 著、KADOKAWA)の著者はメンタルコーチ。競技・プロアマ・有名無名を問わず、そのコーチングによって多くのアスリート、チームのパフォーマンスを激変させてきた実績を持っているのだそうです。
注目すべきは、コロナ禍の影響で思うような成果が出せない選手がいる一方、不測の事態に屈することなく、いまだかつてない成果を出している選手も多いということだといいます。
だとすれば、両者にはいったいどのような違いがあるのでしょうか? なぜ、大きな差がついてしまうのでしょうか?
著者によればそれは、「自分の潜在能力を引き出そうとしたかどうか」の違い。
潜在能力とは、誰もが持っている「内に秘めた力」のことですが、その能力を発揮できている人は少ないのが実情だというのです。だとすれば、そこをなんとかしたいところです。
潜在能力を発揮するポイントは、大きく2つ。
「自分を正しく知ること」と「思い込みを解除すること」です。
眠っている能力を引き出すことができれば、今までにない結果を、自分らしい形で得ることができます。(「はじめに」より)
そんな本書のなかから、きょうは「自分を正しく知る」ための手段を紹介したSTEP1「秘めた潜在能力を見つけ出す『セルフリサーチ』」に目を向けてみたいと思います。
潜在能力を引き出すカギは「自分を正しく理解すること」
結果を出すアスリートの多くは、“強い思い込み”を持っているものなのだそうです。裏を返せば、スポーツ界においては、強い思い込みがあってこそ未来を切り開くことができるということ。
もちろんそれは、ビジネスにおいてもいえることでしょう。とはいえ誤った思い込みや世界観を持ってしまうと、泥沼にはまってしまう可能性があることも否定できません。
そうならないためには、なによりもまず自分を正しく理解することが重要だと著者。行動や生き方は、自分という人間をどう捉えているかによって変わってくるというのです。
心理学の世界的権威とされるキャロル・S・ドゥエック氏も、著書である『マインドセット「やればできる!」の研究』(今西康子訳、草思社)の中で、世界の捉え方によって、結果は大きく変わることを伝えています。(25〜26ページより)
このことに関連して、著者はある力士のケースを引き合いに出しています。
その力士は突っ張り(平手で相手力士を突く技)が得意だと思い込んでいたものの、突っ張りを多用することで、相手にたやすくまわしを取られてしまう場面が増えたのだそうです。
対戦相手が体格差のある力士だったり、パワー勝負の取組になれば負けないのに、少しでも想定外のことが立合(取組開始の瞬間)で起きると、一転して劣勢になってしまうというのです。
そんなときは体勢が前のめりになり、気合が空回りして勝てない取組が続いたのだとか。
しかし彼は「自分の得意技は本当に突っ張りしかないのか」と自問自答したのち、ある取組をきっかけとして突っ張り相撲をやめる決心をしたのだそうです。
“技”にこだわるのではなく、“立合で相手の体を起こすこと”に意識を向けた結果、自分なりに勝つコツをつかんで白星を重ねるようになったというのです。
たとえばエピソードからもわかるように、自分の得意なことの捉え方を見なおし、行動することで、もたらされる結果が変わることは多いわけです。思い込みを知り、自分を正しく理解すれば、潜在能力は一気に開花するということなのでしょう。(25ページより)
「小さな失敗」を賢く積み重ねよう
苦手意識を口実にして、チャレンジを避けてきたというような経験は誰にでもあるもの。しかし当然のことながら、思い切って取り組んでみると、思った以上に違う世界が開けるものでもあります。
そういう意味でも、「向き・不向き」を自分で決めつけるべきではないのでしょう。
ただし潜在意識を発揮するうえでは、チャレンジする際に「失敗を最小限に抑える」ことも大切。そのためには回り道を極力避け、着実に経験を積み上げる方向に舵を切るべきだと著者は主張しています。
ポイントは「前例」を調べることです。
チャレンジしたいと考えていることの前例や、それに似た取り組みが過去にないかリサーチします。
企画の仕事に就いている人であれば、過去、先輩が提出した企画書や採用になった企画書を調べます。
他にもインターネットや書籍で調べたり、上司や同僚、友人に相談したりする方法が考えられます。(46ページより)
つまり情報を集めていると、「こうやったら、うまくいきそうだな」というように、スムーズに進めるためのコツが見えてくるのです。
そして、ここまで準備をしたうえでチャレンジすれば、大失敗の可能性は低くなるわけです。仮に失敗したとしても、情報が事前にあるため被害を最小限にとどめることができるはず。
「チャレンジ」と、それに伴う「小さな失敗」を繰り返すことによって、実体験に基づいた向き・不向きのジャッジができるようになるということ。
したがって、「ここさえ気を付ければ、それなりの成果は出せそうだ」といった自信も生まれてくることに。
もちろん、チャレンジすること自体はとてもいいことです。
しかし、下調べもせずやみくもに勝算の低い挑戦ばかりを繰り返して失敗ばかりしていると、「なにも考えていない人」というレッテルを貼られる可能性も否定できないということ。
そのため、そんな事態を避けるためにも、基本の心構えとしてきちんと準備をし、「小さく失敗する」ことが大切だという考え方なのです。
大切なのは、それを意識しつつ、自分の可能性を模索していくこと。なお、大きく失敗しても仕方がないと判断していい唯一のケースが、「調べても前例がない」場合だそうです。
いずれにしても、リスクの大きいチャレンジは周囲からも否定されがち。とはいえ生きていれば、ときには前例のない大勝負に挑むことが必要となる場合もあるものです。
だからこそ、逆風のなかの挑戦にひるむことなく成果を出すためにも、普段から上手にチャレンジし、「小さな失敗」によって経験を積んでおく必要があるということです。(46ページより)
*
自分でもなかなか気づくことができない潜在能力を発揮することができれば、可能性を大きく伸ばすことができるはず。ワンステップ上を目指すためにも、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか?
>>【最大50%OFF】Kindle本 ビジネス書キャンペーン2/18まで
あわせて読みたい
Source: KADOKAWA
Photo: 印南敦史