経験則として、怒りがこみ上げたときにメッセージやメールを送ることについて、次のようなことが言えます。

それは、「怒っている状態でメッセージやメールを送るな」というものです。

自分がどんなに怒っているかを文章にして相手にぶつけたくなったら、まずは深呼吸をしてください。

怒りから一歩引いて、腹立たしい状況をどう扱うべきかについて、判断するためのやり方はいくつもあります。それらを実行すれば、画面や端末越しから相手を怒鳴りつけているような印象を残さなくても済みますよ。

文面の細かいニュアンスは相手に伝わらない

デジタルコミュニケーションはいまだ不完全です。つまり、メッセージやメールでは、細かいニュアンスが失われてしまうのです。

受け手にとっては、文章の行間を読み、送り手が伝えたいと思っている感情の機微をつかむのは難しいものです。特に判断が難しいのが、文章に込められたトーンです。

こちらの真意としては、残念に思っていることを伝えたいだけだったとしても、相手はとてつもない怒りをぶつけられたように受け取ることもあります。

コミュニケーションスキルのトレーナー・Almarie Meyer氏は2017年のLinkedInの記事で、次のように説明しています。

メール文面のトーンは、送り手が意図していたよりも常にネガティブに読み取られることが、研究により判明しています。特に感情を交えずに書いたつもりでも、ネガティブな印象を持たれてしまいやすいのです。

たとえ改善のための提案であったとしても、批判と解釈されかねません。そして、ほんのわずかにでも批判のニュアンスを含む文章を書こうものなら、手厳しい批判と受け止められてしまうのです。

つまり、正当な理由のある大切な内容を伝えようとしても、文面から伝わる怒りという感情に、肝心の中身が押し流されてしまうというわけです。

文章を書いたら、送信前に散歩しよう

頭に来ているけれど、早々に返信をしなければはならないときはどうしたらいいのでしょうか?

そんなときは、まず自分の気持ちを文章にしてから、送付する前に10分間、散歩に出かけましょう

仕事でもプライベートでも、即座に返事をしなければならない状況が生じることはあるものです。胸にたぎる怒りを抱えながら、一方で「早くメッセージを作成しなければ」と感じる状況はよく理解できます。

それでも、ちょっとでも手を休める時間が取れるなら、メッセージを送る前に散歩をして、気持ちを鎮めましょう。

散歩している間は、深呼吸を心がけてください。そして、自分がなぜ怒っているのか、その理由を考えてみるのです。

その上で、自分の意図したことをより効果的に伝えるために、もっと相手の気持ちに寄り添った文面にできないか工夫してみましょう。

散歩は性に合わないという人は、他のことを試してみてもいいでしょう。ストレッチでもいいですし、絵を描いたりダンスしたりしてもかまいません。

怒りを鎮め、冷静な判断ができるようになることであれば、何でもいいのです。

怒りを文章にしたら、一晩おいて見直そう

どうしても必要なら、怒りをすべてぶちまけましょう。湧き上がる感情や激しい怒りを全部吐き出すためにメモを書くのです。

けれども、絶対にそれを相手に送ってはいけません。感情のままに、罵詈雑言に満ちたメールやテキストメッセージを書いたら、それを下書きのまま、10時間は送らずに保存しておきましょう。

そして次の日の朝、気持ちが落ち着いてから読んでみるのです。

怒りが去った後なら、下書きを書き直して、感情に任せた表現を大幅に抑えることができるはずです。

友達や同僚からアドバイスをもらおう

人は、自分の直感を信じがちです。でも、怒りで我を失っているときは、直感を信じるのは大きな間違いです。

怒りは冷静な意思決定の能力を損ない、適切な判断を妨げる要因になると、多くの研究結果が指摘しています。

自分の直感をむやみに信じるのではなく、激しい感情をなだめてくれる親しい友達や信頼できる同僚(あるいはセラピスト)に相談してみましょう。

気持ちが落ち着くまでメッセージを送らないようにするのは、怒っていない「もう1人の自分」に相談するようなものですが、それと同じように、偏りのない、明確なセカンドオピニオンを他の人から得られれば、あなたのためになるはずです。

どの道を選ぶにしても、そこから得られる教訓は同じです。それは、その場の感情に流されて後悔するより、そもそもほとんど後悔がない人生のほうが、ずっと楽に生きられるということです。

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Source: LinkedIn, Scholar at HARVARD

Sam Blum - Lifehacker US[原文