PDFファイルをメールで共有したりクラウドストレージに保存するときは、ファイルサイズをなるべく小さくしてスペースを節約したいもの。
Macにはもともとプレビューアプリが内蔵されているので、それを使ってPDFのサイズを変更できるので便利です。しかし、このやり方だとファイルのクオリティが大幅に低下するのが難点です。
Macでファイルの画質を損なわずにPDFファイルのサイズを小さくする方法をご紹介します。
Macのプレビューを使用してPDFファイルのサイズを小さくする方法
先に、Macのプレビューを使用して簡単にPDFのサイズを小さくする方法をご紹介しておきます。
やり方は次の通りです。
- FinderでPDFをダブルクリックして、プレビューで開きます。
- ファイルが読み込まれたら、画面上部のメニューバーから「ファイル」→「書き出す...」と進みます。
- 表示されるウィンドウで、「Quartzフィルタ」のドロップダウンボックスを開き、「Reduce File Size(ファイルサイズを縮小)」を選択してからファイルを書き出します。

これでファイルのサイズは小さくなりますが、この方法の問題はファイルのクオリティが大幅に低下することです。
PDFが判読できないぐらいぼやけてしまうなら、適切なソリューションとは言えません。
幸い、Macでいくつかのファイルを微調整して、クオリティとファイルサイズのバランスを改善する方法があります。
ただし、そのためには、macOSの最新バージョンで重要なセキュリティ保護を無効にする必要があります。
SIPを無効にしてPDFのクオリティを調整する
2015年のOSX El Capitanから、AppleはSystem Integrity Protection(SIP)を導入しました。これにより、デバイスにある機密フォルダへのアクセスが制限され、Macのセキュリティが向上します。
しかし、今からご紹介するPDFの調整を実行するには、このSIPで保護された「/System」フォルダーにアクセスする必要があります。
それでもいいようであれば、System Integrity Protectionによる保護を無効にして(英文)、以下のご紹介する手順で進めてください。その場合は、Macを安全に保つために、必要な作業が完了したらすぐにSIPをもう一度有効にしてください。また、SIPをオフにしている間は、信頼できないソフトウェアをダウンロードしないように注意しましょう。
このやり方は避けたいと思うなら、もっと簡単にファイルのクオリティを損なわずにPDFファイルのサイズを縮小する方法(英文)もあります。
それは、ウェブツールを利用することです。SmallPDFなどの無料のサービスを試して、何もダウンロードせずにPDFのファイルサイズを縮小しましょう。
MacでPDFのクオリティを損なわずにファイルサイズを小さくする方法
SIPを無効にした後で必要なシステムファイルを微調整する方法は次の通りです。
まず、Finderを開きます。
メニューバーから「移動」→「フォルダに移動」を選択し、「場所/System/Library/Filters」と入力します。
表示されるフォルダの内容が、前述の「Quartzフィルタ」のドロップダウンにあるオプションを開きます。
「Reduce FileSize.qfilter」という名前のファイルが表示されるので、これをコピーしてデスクトップかそれ以外の便利な場所に貼り付けましょう。

複数のPDFの圧縮オプションを使用するには、「Reduce FileSize.qfilter」ファイルのコピーを複数作成します。
以下にご紹介するさまざまな値をファイルごとに別々に変更し、個別に保存すれば、同じメニューからさまざまな圧縮レベルにアクセスできます。
PDFのクオリティファイルを編集する
まず、作成した複製ファイルを右クリックします。
「プログラムから開く」→「テキスト編集」と選択するか、任意のテキストエディタを選択すると、XMLファイルとして開きます。
これは、人間とマシンの両方が読み取って理解できる方法でプログラムオプションを保存するための一般的な形式です。
このファイル内で、<key>タグ内にある「Compression Quaity(圧縮時のクオリティ)」行を探します。必要なら、「Cmd + F」を押して検索できます。デフォルトでは、この行より下の<real>タグの値は「0.0」に設定されています。
ただし、これは「-1」(最高の圧縮、最低のクオリティ)から「1」(最低の圧縮、最高のクオリティ)の間で任意の値に設定できます。

クオリティとファイルサイズの適切なバランスが見つかるまで、この値を何度か変更する必要があるかもしれません。中レベルの圧縮には「0.5」で試してみましょう。
これじゃダメだと思ったら、後で調整できます。さまざまなレベルの圧縮で複数のファイルを作成する場合は、「0.75」で試してクオリティの高いファイルを作成してください。
XMLファイル内で、次にチェックする必要があるフィールドは「ImageSizeMax」です。 デフォルトでは、これは「512」に設定されていますが、これを変更して圧縮後の最終的なサイズを大きくすることができます。中レベルのクオリティの圧縮(A4の紙に144DPIで表示)の場合は「1684」に設定し、高クオリティの圧縮(A4の紙に300DPIで表示)の場合は「3508」に設定してみてください。
最後に、ファイルの下部にある「名前」フィールドを探します。作業を完了すると名前が「Quartzフィルタ」のドロップダウンボックスに表示されるので、わかりやすい名前に変更しましょう。
新しいファイルを2つ作成する場合は、中レベルのクオリティのファイルには「Reduce File Size Better(ファイルサイズをより良く縮小する)」を、高クオリティのオプションには「Reduce File Size Best(ファイルサイズをベストに縮小する)」を使用できます。

プレビューに新しいPDFエクスポートオプションを追加する
上記の作業が終わったら、各ファイルを保存します。
Finderの中でファイルの名前を変更して、XMLで指定した名前と一致させ、コピーして元のファイルを取得した「/System/Library/Filters」に貼り付けます。うまくいかないときは、SIPが無効になっていることを確認してください。SIPが有効になっているとファイルをこのフォルダーに移動できません。
これで、プレビューで「エクスポート」メニューを使用すると、「Quartzフィルター」のドロップダウンメニューに新しい圧縮オプションが表示されます。それらを使用して、デフォルトほどクオリティを低下させずにサイズを小さくしたPDFを作成できます。
ファイルの見栄えが気に入らないときや、ファイルのサイズがまだ大きすぎるときは、ちょうどよくなるまでで値を少しずつ調整してみましょう。満足できる新しいエクスポートオプションになったら、SIPをオンに戻すことを忘れないでください。
Finderに高クオリティのオプションを追加しておくと便利
これで、macOSでクオリティを下げずにPDFのファイルのサイズを小さくする方法がわかったと思います。SIPを無効化することが欠かせないステップなので、PDFのサイズを変更する頻度が低いなら、ここでご紹介したやり方をわざわざする必要はないでしょう。
一方、Finderでこのオプションを常に使用するようなら、同メニューに高クオリティのオプションを作っておくと便利です。
MacでPDFを使ってできることは他にもいろいろあるので、必要に応じて試してみてください。
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Image: MakeUseOf
Screenshot: ライフハッカー[日本版]
Source: SmallPDF
Original Article: How to Reduce PDF File Size Without Losing Quality on Mac by MakeUseOf